137.
相手と自分の位置を高速で入れ替える『位置替え』。
それが新キエリュウの能力の正体らしい。一見するとただの移動技だが、それがどう脅威になるというのか。
俺たちが観察していると、新キエリュウはおもむろに虚空から禍々しい鉄の鎖を取り出し、ぐるぐると自分自身の体に巻き付け始めた。
「……なにしてるの? マニアなの?」
「誰がマニアだ! 黙って見ておれ!」
戦闘中に自縛を始めるというヤバい趣味を見せつけられ、俺がドン引きしていると、新キエリュウはニヤリと不敵に笑った。
シュンッ!
視界がブレたかと思うと、先ほどまで新キエリュウが立っていた場所に俺が立ち、俺の体にはあの禍々しい鎖が何重にも巻き付けられていた。
「なるほど……。こういう使い方ね」
「ふっははは! いかにも! それは『呪鎖』! 一度巻き付けられたら、二度と解けない呪いの鎖だ!」
少し離れた場所から、自由になった新キエリュウが勝ち誇ったように大笑いする。
「自らを縛り上げ、一瞬で相手と位置を入れ替えて拘束する! これこそが我が必勝のコンボよ!」
「ふんっ」
バキィィィィィンッ!
俺が気合と共に少しだけ力を込めると、絶対に解けないはずの呪鎖は、あっさりと飴細工のように砕け散って地面にバラバラと落ちた。
「なんだとおぉっ!?」
新キエリュウの笑い声がピタリと止まり、目玉が飛び出んばかりに驚愕している。
「ば、ばかなっ! なんで鎖がほどけるのだ!?」
「え? 普通に力込めたら壊れたけど」
俺が砕けた鎖の破片を払い落としながら首を傾げると、虚空からヒキニートさんが呆れ果てたような声で解説を入れた。
『多分、ケースケくんの純粋なパワーが、鎖の呪いのパワーを上回っちゃったんだろうね……』
「なんだその理屈はぁっ!?」
呪いというオカルト現象を純粋な物理的腕力で粉砕するという身も蓋もないパワープレイに、新キエリュウの血を吐くような魂のツッコミが木霊した。
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※3/4(水)
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