125.やばい攻撃
魔族シソを倒すには、尋常じゃあないパワーが必要となる!
「スペさん! 来い!」
僕はフェンリル……スペさんの前に立つ。
見上げるほどの巨大フェンリル。
その体から迸るのは、膨大な魔力だ。
紫電がバチバチと空間を焦がし、大気が震える。
『行くぞケースケ! 狼王魔閃光!』
スペさんが大きく口を開ける。
喉の奥に、紫色の超高密度魔力が収束していく。
キィィィィィィン……!
耳をつんざくような高音と共に、空間が歪む。
ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!
放たれたのは、極太の破壊光線。
触れれば塵すら残さない、必殺の一撃が、真っ直ぐ僕に向かってくる!
「何味方撃ってるんだよォォォォォォォォォッ!?」
横で見ていたヒキニートさんが、顔面を歪ませて絶叫する。
そりゃそうだ。傍から見ればただの仲間割れ、あるいは処刑だ。
だが、これでいい!
「――【収納】!」
僕はカバンの口を広げ、迫り来る極太レーザーを受け止める。
ズオォォォォォォ……!
本来なら消滅必至のエネルギーが、僕の【収納】という亜空間へ吸い込まれていく。
僕はスペさんの魔力を体内で循環させ、練り上げ、そして――倍化させて吐き出す!
「狼王魔閃光!」
カバンの口から、さっきよりも一回り太くなった紫光が放たれる。
標的は――スペさん!
「何やってるのさ君たち!? 心中か!?」
ヒキニートさんが頭を抱える。
倍化された光線がスペさんを直撃する。
しかし。
『ふんッ!』
スペさんは無傷!
それどころか、僕から返ってきた魔力を全身で浴び、さらに吸収してしまったのだ。
魔力が、膨れ上がる。
『良いパスだ! 受け取れぇぇぇ!』
「はいッ! 【収納】!」
「狼王魔閃光!」
『狼王魔閃光!』
僕とスペさんの間で、極太のビームが行き交う。
キャッチボールなんて可愛いもんじゃない。
撃つたびに魔力は倍々ゲームで膨れ上がり、光の柱は太く、凶悪になっていく。
「な、なんだあの二人の魔力が……天井知らずに伸びていく!? どうなってるの!?」
「え、賢者なのに、ヒキニートさんわからないの?」
「わかるわけねーだろ! 常識外れすぎて引くわ!」
「魔力を吸収して、吐き出す、その繰り返しをしてるの」
僕のカバン……【収納】によって、相手の魔力を吸収し、倍化して返す。
スペさんは僕の魔力とパスが繋がっているから、ダメージを受けずにそのまま自分の魔力として再吸収できる。
スペさんは僕の魔力によって体内許容量を拡張し、僕は彼女の攻撃を収納して、魔力を増やす。
魔力増幅の永久機関だ!
バチィッ!!
空間に黒い稲妻が走る。
今まで紫色をしていた魔力が……いつの間にか、漆黒に変化していた!
「黒い魔力光……! 超圧縮された、膨大な量の魔力は……黒く輝くと聞いたことがある……」
ヒキニートさんがガタガタと震えながら知識を披露する。
あ、そうなんだ。
なんだか……いつも以上に、体が軽いし、全能感が凄い。
僕とスペさん。二人の体から、ドロリとした重厚な黒いオーラが立ち上っている。
「準備完了!」
『待たせたな、シソ……』
「『おしおきタァァァァァイム!』」
僕はカバンをガパッ、と最大まで開ける。
スペさんもまた、限界まで顎門を開く。
コオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ……!
黒い魔力が、僕らの周りにわだかまる。
一つ、また一つ。
数え切れないほどの、黒い魔力の球体が生まれ、シソがいる空間を埋め尽くしていく。
「あ、あの玉一つに、狼王魔閃光1000本分の魔力が凝縮されてる……」
ヒキニートさんが腰を抜かした。
そんな玉が数千、数万と浮いているのだ。
シソの顔色が、絶望に染まる。
「ひぇ……お、おたす……」
「『死ねぇええええええええええええええええええええええ!』」
チュドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
一斉射撃。
無数の黒いレーザーが、一斉にシソめがけて降り注いだ。
回避も防御も不可能。
空間ごと塗り潰すような黒い閃光が、シソの体を細胞レベルで消滅させ、周囲の建物すべて、そして遥か彼方の山々までをも貫いた。
ズズズズズズ……!
爆風と衝撃波が遅れてやってきて、世界がひっくり返ったかのように揺れる。
後に残ったのは、綺麗さっぱり消滅したシソの居た空間と、更地になった風景だけだった。
【おしらせ】
※1/9(金)
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