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ペンギンの転生者  作者: 北の国のルルル
転生
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出会いと脅威

何者かの気配を感じとったルルルは、気配の方向へ振り向く。

振りむいた方向には沈みかけの夕日が正面にあり、その光が直接目にあたってとても眩しかった。

(眩しくて……見えない)

思わず瞼を細める。そして、少しずつ目を開く。


そこには夕焼けに翼を照らされ、夕日の黄金色に全身を輝かせた鳥人の女性が立っていた。

ルルルはその美しい姿に心を奪われ、感動のあまり息を飲んだ。

風に揺らぐその姿は、とても幻想的で金色の外套をまとった女神のようだった。

彼女こそが英雄を探し、結界に侵入したエレンシアだった。

呆気にとられ無言で立ち尽くすルルル。

一方、エレンシアも彼の無言に戸惑い、どのように話を始めたら良いのか分からず、立ち尽くしている。夕暮れの湖畔に静寂が広がる……。


そんな時、湖畔に立つ二羽の間に突如として異変が訪れた。

急速に何かが進んで来る気配がする。その気配はだんだん大きくなり、獣の低い唸り声や荒々しい足音も聞こえてきた。

ルルルは一瞬にして状況を理解し、鳥人の女性を守るために身を挺して立ち向かった。

トライデントを手に握り締め、身構える。

「俺の後ろに下がって!獣が襲ってくる!」


声を出すと同時に近づいてくる獣の姿を確認する。

脅威の正体は、身体が大きく鋭い牙を持った狼のような獣だった。

二羽の心臓は激しく鼓動した。静かだった湖畔は一瞬にして獣のうなり声で満ちていた。


エレンシアは状況を理解できず、混乱したままルルルの言葉に従って後退した。

獣を警戒し身構え、同時に彼の即座の機転に感心した。

不安と緊張に包まれていたが、ルルルの冷静な対応によって少し安心する事ができていた。

(やっぱり凄いですわ。こんな凶暴な魔獣相手に立ち向かえるなんて)


夕陽が彼らの周囲を染め影が長く伸びる中、ルルルは身をかがめ目を凝らして狼の動きを観察する。

彼女を守りながら狼と戦う方法を必死に考える。

(狼の攻撃はいつ来てもおかしくない。どうするか、すぐに決断しないと……)

彼はトライデントを強く握りしめ、心臓を大きく鳴らしながら決意した。


「俺を信じて、合図をしたら真上に飛び上がって」

ルルルがそう告げると、エレンシアは一瞬、驚きの表情を浮かる。

しかし、すぐに瞳には決意の意思が宿り、二羽の間に無言の了解が交わされた。


狼はしびれを切らしたかのように突進してくる。その目は凶暴さを帯び、殺意を際立たせている。

そして、ルルルは叫ぶ。

「今だ!」

エレンシアは素早く翼を広げ、魔力を込めて真上へと飛び上がった。


ルルルは狼の後ろ脚の動きを観察し突進のタイミングを見定めていた。

狼が飛び掛かってくる瞬間、身をかわしながら狼の側面に回り込む。

攻撃を躱された狼の前には標的のルルルは無く。後方のエレンシアの姿すらなかった。

狼の鋭い牙は何もない空間をうなり声と共に引き裂いた。

少し戸惑ったが、真横に身構えるルルルに気づく。

狼はその胴体を側面に回り込んだルルルに無防備に晒す事となった。


野生の本能で危機を悟った狼は身体をひねり、真横にいるルルルに向けて前足を振り上げ引き裂こうとした。

決してそれが遅かったわけでは無い。

しかし、ルルルは機を逃さない。

彼の手に握られたトライデントが、輝きを放ちながら狼の横腹へ一直線に向かって行った。



読んでくださって有難うございます。

少しでも評価していただけると有難いです。

続きもマイペースにですが書いていきます。

懲りずに読んでいただけると幸いです。

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