双子
河原でトカゲの魔獣に襲われていた、二人の獣人の子供、ココとロン。
彼らは狐の獣人族だった。狐の獣人族は各地を点々と移り住む流浪の民だった。
大人になると不思議な能力に目覚め、尻尾に魔力を宿すことができる。
その魔力によって自分たちの外敵のおおよその位置を探る事が出来き、外敵からうまく逃げながら暮らしていくという生活をしていた。
しかし、ここ数か月前から魔獣の姿を多く見かけるようになった。どこに行っても魔獣から逃れられない日々を過ごし、披露する狐獣人族。
魔獣から逃げる際に命を失う者や、別々の方向に逃げ、行方のわからなくなった者も多くなっていった。
ロンとココの二人もとうとう親とはぐれ、彷徨ったあげく魔獣に見つかり襲われる事となった。
逃げるうちに川辺まで追い詰められ逃げ場を失った二人。
ロンは必死で抵抗をこころみて足元にある小石を魔獣に投げつけるが、固いトゲによってことごとく防がれてしまう。
ココは普段から運動が苦手で、逃げる際に全ての体力を使い切ってしまったようだ。
ロンの心臓は飛び出るほどの大きな鼓動を繰り返し、小石を投げる腕ももう上がらない。
「ココ、もうダメかもしれない……」
「ぜぇ、ぜぇ、……ロン、ごめん。何も力になれなかった」
二人を仕留めるために勢いよく走ってくるトカゲの魔獣を見て、抵抗を諦めかけていた。
(ああ、咬まれたら痛そうだなぁ……死にたくないな)
嫌な想像をしながら目を閉じた、その時だった。
「川に飛び込め!!」
大きな力強い声が聞こえた。その声は自信に満ちていてとても安心感がある。何故だかそんな気持ちにさせる声だった。
声の方に振り返る余裕もなく二人は声を合わせた。
「飛び込むよ!(いくよ!)}
川に真っすぐに飛び込んだ二人の視界は一瞬で水の泡だらけになった。
普段から泳ぐ習慣なんてない二人は必死で水面に浮き上がろうともがく。
水面に手を伸ばし空気を掴んでは、また沈み目の前が泡だらけになる。
繰り返す度に身体から力が抜けていく感覚がする。
(息が苦しい……)
ロンは段々ともがこうとする意識も薄れていき、そのままゆっくりと水中に沈んでいく。
そんな時、水中を弾丸の様に真っすぐに飛んでくるペンギンの姿が見えた。
ガシっと体をつかまれて、勢いよく水面に浮上する自分の体。
パッと視界が明るくなり、青い空が目の前に広がった。
同時に息を大きく吸い、少し飲みこんでしまった川の水にむせる。
「ケホッ、ケホッ……」
近くを見ると同じように体を掴まれて水面に運ばれているココの姿が見えた。
(助かったのか……)
安心して体の力が一気に抜ける。
「ササラ、岸に運んで休ませてあげよう」
「りょ~かい~」
自分を運ぶペンギンがもう一羽のペンギンに話しかける声が聞こえる。
「ありがとう……」
ロンは小さくお礼を言った。
声をかけ川に飛び込ませたルルルはその場に荷物を全て置き、自分も川へ飛び込んだ。
ササラも同じように素早く後を着いてくる。
2羽は水中で合図をし、ルルルはロンをササラはココを助けるために全力で泳いでいった。
川の流れに逆らう様に泳ぐ2羽であったが、流石はペンギン。あっと言う間に二人の獣人を救い出し、岸まで引き上げた。
二人の獣人はまだ子供のようで白い毛に包まれた狐の獣人だった。
「怪我はないかい?」
ルルルは二人に問いかける。
「はい……ありがとうございます。僕ら……父さん達ともはぐれちゃって……魔獣もくるし、しくっ、しくっ……」
「泣かなくていい、もう大丈夫~」
ササラに抱きかかえられた子供は、しっかりとお礼を言うも辛い出来事が蘇ってきたのだろう、ササラに抱き着いたままずっと泣いていた。
「君も大丈夫?」
「はい……本当にありがとうございます。僕はロン、あっちはココです」
ロンは涙を隠す様に下を向いたままルルルに応えた。
親ともはぐれて辛かっただろうに必死になって涙を隠そうとするロンを見て、ルルルは切ない気持ちになっていた。
そっとササラの方を見ると、彼女も同じような気持ちなのだろう、ルルルの目をしっかりと見つめゆっくりと頷いた。
「ロンとココ。俺たちは少し旅をしているんだ。良ければお父さん達に会えるまで一緒に行動しないか?」
そこでロンは初めて顔をあげてルルルの顔を見た。頬を伝う涙、少し嬉しそうだけど不安な気持ちも入り混じった顔。
ルルルはそんなロンを見て一言付け加える。
「ずっと一緒でなくてもいいよ。自分達だけで行動できそうなら好きな時に離れていいよ」
ロンは小さく頷いた。
「お願いします……」
その答えを聞いたココはギュッとササラを強く抱きしめ、泣いた。
白い毛をした二人の狐獣人の子供。
まだまだ幼いがココを守ろうとする強い意思が感じられるロン。
ササラの胸で泣きじゃくる内気そうな性格のココ。
鳥人族の村を探すためのルルルとササラ旅はこうやって新たな仲間を引き連れる事となった。
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続きもマイペースにですが書いていきます。
懲りずに読んでいただけると幸いです。




