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ペンギンの転生者  作者: 北の国のルルル
旅立ち
50/58

マグロ

ボスアザラシの攻撃によって吹き飛ばされたルルル。


ボスアザラシは回転を止め、吹き飛ばされたルルルを確認しようと姿をさがす。

小さなペンギンが倒れている姿を見つけ、もうこれで終わったと思ったボスアザラシ。

しかし、そのペンギンは立ち上がってきた。

驚愕するボスアザラシであったが、すぐに息を吸い込み氷の息吹でとどめを刺しにかかった。


ルルルは回転する尾が近づいてくる瞬間に避けきれないと判断し、防御に徹することにした。

両方の翼を胸の前に構え、氷の冷気を宿らせる。できる限りの分厚い氷をイメージする。

そして、体が弾き飛ばされる瞬間、わざと後方にジャンプして衝撃をやわらげた。

(な、なんとか……しのいだ……)

ルルルの機転により致命傷は避ける事ができた。

しかし、かなりのダメージを負ってしまった。

右肩は脱臼し、強烈な痛みが襲う。胸も何処かの骨にヒビが入っているのだろう、ズキズキと痛む。

それでもなんとか立ち上がり、ボスアザラシを睨みつける。

ボスアザラシが再び大きく息を吸い込んでいる。その動作に、先ほどの攻撃を思い出した。

(この場にいては不味い。横に逃げるか……いや、あそこだ!)


ボスアザラシは氷の息吹を吐く態になっており、無防備だった。

ルルルは真っすぐに走り出す。肩も胸も凄まじい痛みを訴えるが嘴を強くかみしめ痛みに耐える。

(このままじゃ、間に合わない!攻撃が来る!)

ボスアザラシが大きく息を吐き出す。同時に氷塊が生成され、前方から飛んでくる。

ルルルはギリギリのタイミングで前方に跳んで躱す。

そのままお腹で滑るように進み、ボスアザラシの前ヒレの付け根を目指す。

片方の翼で氷の刃を形成し、ボスアザラシの前ヒレの付け根に深く突き刺した。


「ヴォ――――」


前ヒレの関節を深く刺されたボスアザラシは、痛みに耐えられず大きな叫び声をあげた。

体を支えるためのバランスが大きく崩れ、横に寝転がるように倒れ込む。

ルルルは翼を間接に差し込んだまま、ボスアザラシに振り回される。

彼もまた、胸と肩の痛みが酷く、気を失う寸前となっていた。

振り回されながらもなんとか意識を保ち、突き刺さった翼をボスアザラシから引き抜く。

横たわったボスアザラシの真上に立つルルル。

痛みで意識がぼやける中、自分の足元がボスアザラシの胸の上である事に気づいた。

(ダメだ……痛みで頭がおかしくなりそうだ、少しでも攻撃をしなければ――)

ルルルは足元に氷の刃を突き刺し、残った魔力を振り絞った。

「もっと、深く……。もっと奥まで突き刺され!!」

意識が朦朧とした中で願った気持ちが通じたのか、翼に纏った氷の刃はその先端を長く伸ばしボスアザラシの胸の奥を突き刺した。

致命傷になるほどの傷を負わされたボスアザラシは、咄嗟に暴れだす。その反動でルルルの体は宙に投げ飛ばされた。

ルルルはすでに意識を失っており、激しく体を地面に打ち付け動かなくなった。


ボスアザラシの体からドクドクと、溢れるように血が流れだす。

自分の命が絶たれる前に、小さなペンギンの息の根を止めようと、這いつくばるように倒れたルルルに向かっていく。




ボスアザラシとルルルが激しい戦いを繰り広げている頃。

洞窟内のペンギン達は4頭のヒョウアザラシの撃退していた。

残るは肩に傷を負った一頭とロドル達と戦っている1頭。

傷を負っているヒョウアザラシは短弓班の攻撃により、もう倒れる寸前だった。

もう一頭のヒョウアザラシもロドル、ササラと他の短槍を持った2羽のペンギンに囲まれている。

ペンギン達の勝利は目の前だった。

「ササラ!先にルルルさんの方へ行ってくれ!こいつは俺らで倒す」

ロドルがササラにルルルの援護をお願いする。

「ロドル~、任せた。ルルルを助けに行く~」

その言葉を聞くと、ササラはすぐに洞窟の入口に向かって走り出した。


「ルルル~、お願い~。無事でいて」

必死に走りながらルルルの無事を願うササラ。

しばらくすると入口が見えてきた。急いで外に出る。

すると、そこには意識を失って血まみれに倒れているルルルの姿があった。

息を切らしながらも、真っ先にルルルの元へ向かうササラ。

「ルルル!ルルル~~~」

必死で呼びかけるが返事はない。

ルルルの胸に耳を当て、鼓動を確かめる。

「…………まだ、動いてる!」

ほっと、胸を撫でおろした。早くルルルを休ませてあげなければならない。


ササラは辺りを見回し、ルルルを傷つけた魔獣を探す。

少し離れた所に巨大な魔獣の姿を確認した。

魔獣は体から血を流しながら、こちらに向かってくる。

瞳は怒りに満ちていて、ルルルにとどめを刺そうとしていることが明らかだった。


「ゆるさない~!!ルルルに近づくな~!!」


我を忘れそうになる程の怒りを覚えたササラ。。

ササラの翼は大きな魔力で満ち、翼には大きな魔力の塊が作られ始めていた。

ゆっくりとボスアザラシに向かって歩くササラ。

真っすぐに敵を睨みつけている。


ボスアザラシは産まれて初めて恐怖を味わった。

ササラは歩きながら、2つの翼を重ね合わせ、魔力の塊を一つにまとめる。

徐々に形を成していく魔力の塊は、気が付けば氷の造形物へと変化していた。

圧倒的な物量兵器と化した氷塊は真っすぐにボスアザラシの元へと飛んで行った。

その姿は空中を弾丸のように泳ぐ、巨大な魚のようだった。


「マグロあた~~っく!!」


氷で出来た巨大なマグロがボスアザラシの体にぶち当たる。

ボスアザラシの身体は完全に潰れ、一瞬でその命を失った。

ササラの前には地面に突き刺さった氷のマグロだけが残っていた。


読んでくださって有難うございます。

少しでも評価していただけると有難いです。

続きもマイペースにですが書いていきます。

懲りずに読んでいただけると幸いです。

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