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ペンギンの転生者  作者: 北の国のルルル
旅立ち
49/58

ボス

ロドル達が辛くもヒョウアザラシを2体撃退した頃。

リリ達、遠距離攻撃班も激戦を繰り広げていた。


数多くの矢が突き刺さった体で進み続ける最後尾のヒョウアザラシ。

後方から数えて2頭目、3頭目のヒョウアザラシも湖岸のスパイクを渡り始めている。

状況を確認しながらリリはバリスタの狙いをつける。標的は最後尾から2頭目のヒョウアザラシだ。

そのヒョウアザラシは、今回襲撃してきたヒョウアザラシの中では最も体が大きかった。

(こいつは何としてでもバリスタで仕留めなきゃ!)

外すわけにはいかないという、緊張感がリリの心を支配する。

狙いを決め、弦のストッパーを外す。弾かれた弦は銛を空中へと解き放ち、狙いの通りの軌道を描いていった。

(よし!これで一頭仕留められる)

銛がヒョウアザラシの身体を貫こうとする寸前、湖岸のスパイクに腹部を引き裂かれたヒョウアザラシは体を大きく揺らし苦痛の叫びをあげる。


「え!そんな!」

タイミングがあまりにも悪すぎた。

バリスタから解き放たれた銛はヒョウアザラシの肩の一部を抉りとったまま後ろの湖へ落ちて行った。

ヒョウアザラシは驚いて悲鳴をあげるが、倒れず前に進み続けている。

もう、これ以上弦をセットしている余裕はない。リリはバリスタの追撃を諦めて短弓を手に取った。

「リリ、まだ諦めるな!俺たちを信じてくれ。」

バリスタの追撃を諦めていたリリにガドルが声をかける。

そのまま、他のペンギンと弦のセットに取り掛かった。

「みんな、俺たちの見せ場は今しかないぞ!!気合をいれろ!もう一撃、リリに打たせるんだ!」

「おお!村長!」

顔を真っ赤にして、弦を必死に引っ張るガドル達。

固い弦をなんとかバリスタに固定する。

「リリ、もう一撃、食らわせてやれ!」

翼を上に掲げて、リリに笑みを浮かべる老齢のペンギン。

掲げられた彼らの翼は度重なる作業によって擦り切れ、血がにじんでいた。

リリの瞳から涙が溢れる。

(こんなに擦り剝けるまで……)


「村長、今度は外さないから!」

リリは再びバリスタの狙いを定めた。今度は無傷のもう一頭に向けて。

「今度こそ!いけー!」

リリの掛け声とともにバリスタから最後の銛が発射される。順調な軌道でヒョウアザラシに向かって飛んでいく。

「貫け―!」

村長が大きな声で叫んだ。リリも心の中で同じように叫ぶ。

そして、銛は彼らの期待通りにヒョウアザラシの体に風穴を空けて湖に落ちた。


リリ達が最後の銛を発射している丁度その時、ようやく最後尾のヒョウアザラシが息絶えた。

短弓班は肩に傷を負ったヒョウアザラシを仕留めにかかる。

しかし、矢の数はもうほとんど残っていなかった。

悔しさて嘴をかみしめる短弓班。

そんな時、彼らに駆け寄るペンギンが居た。

ライが皮袋いっぱいの矢を持って現れたのだ。

「ライ……ありがとう、助かったぜ!」

「……うん」

ライと同世代の短弓班のペンギンが礼を言うとライは小さく返事し、握った翼を前に突き出した。

ライから矢を受け取った短弓班は肩に傷を負ったヒョウアザラシに矢の雨を降らせ続けた。

こうしてリリ達、遠距離班は後方に控える3頭のヒョウアザラシを撃退する事に成功した。



そのころ、ルルルは洞窟の入口にたどり着いていた。

峡谷の方に目を向けて状況を確認する。

切り立った崖の合間から、今までで見た中で最も巨大で獰猛そうな魔獣が、ゆっくりと歩きながらこちらへ向かっていた。

体長は3メートル以上、体は白ではなく灰色に近い。斑点の数が非常に多く、今までの相手とは全く違う恐ろしさを備えていた。

牙も非常に長く、冷気で周りの空気すら凍りついている。

ルルルは一瞬でこのヒョウアザラシが、彼らのボスだったのだと理解した。

(どう戦えばいいんだ。異常すぎる……)


ルルルは手に持った短弓を構え魔獣のボスに駆け寄った。

射程内に入ると魔獣に向けて矢を放つ。

しかし、ボスアザラシの体は皮が分厚く、痛みすら感じていないようだった。

ボスアザラシはルルルに気が付くと足を止め、大きく息を吸い込んだ。

その巨体が、さらに大きく膨らんでいく。

(何かが来る!)

ルルルは直感でそれを感じ、急いで横に走り出した。


「ヴォヴォヴォ―――――!」

ボスアザラシが叫びと共に、肺にたまった空気を一気に吐き出す。

吐き出すと同時に周囲の温度が一気に冷え、牙の周りに鋭く尖った氷の塊がいくつか形成された。

息と共に弾丸のように飛んでいく氷塊は激しい音を立て地面に突き刺さる。

そこは先ほどまでルルルが立っていた場所だった。

(これは……距離をあけたら不味いよな……)


短弓の攻撃が全くダメージを与えていないことがわかり、邪魔になる前に手放したルルル。

残るは接近戦しかないと覚悟を決めて駆けていく。

ボスアザラシは氷の息吹を躱された事に驚いた様子だったが、ルルルを未だ脅威とは感じていないようだった。

ルルルはボスアザラシに近づき周りを走りながら、弱点をさがす。

ボスの体は分厚い皮膚と脂肪に覆われて、筋肉の動きを読む事もできない。

通常の生物の弱点である、目や鼻も高い位置にあり届かない。

唯一、地上での動きの鈍さだけは弱点といえるかもしれない。

(素早さで翻弄し続けるしかない)

ルルルはそう感じ取り、翼に魔力を込めてた。込められた魔力は結晶となり、ルルルの翼を覆っていく。

結晶はやがて氷となりルルルの翼は氷の刃と変わっていった。

ルルルはボスアザラシの皮膚に氷の刃を突き立て切り裂いていく。


ボスアザラシは自分の周りをぐるぐると回り、攻撃をしてくるルルルに苛立った。

賢いボスアザラシは、素早い動きのルルルに対し広範囲の攻撃で対応することにした。

一旦攻撃を止め、身体を大きくねじって力をため込む。

そして、ため込んだ力を解き放つように身体をぐるっと一回転させた。


氷の刃でボスアザラシの身体を切り刻んでいたルルルは、一瞬動かなくなったボスアザラシを不審に思う。

(何か企んでいるな……)

少しだけ距離をとり、様子をみながら攻撃と離脱を繰り返す。

ルルルがボスアザラシの腹部に氷の刃を切り付け、再び後ろに下がった時だった。

ボスアザラシの身体が勢いよく回転をはじめ、風を切る音と共に巨大な尾がルルルに向かってきた。

(これは避けきれない!)

巨大な尾がルルルの体に直撃し、ルルルは吹き飛んだ。





読んでくださって有難うございます。

少しでも★評価していただけると有難いです。

続きもマイペースにですが書いていきます。

懲りずに読んでいただけると幸いです。

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