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ペンギンの転生者  作者: 北の国のルルル
旅立ち
44/58

防衛

ルルル達が魔獣の素材で様々なものを作成していた数日間。


ヒョウアザラシの魔獣たちは住処である湖周辺の警戒にあたっていた。

彼らの住処である湖周辺には、普段は兎の魔獣やトカゲの魔獣が主に生息している。

彼らはボスの指示に従い、それ以外の魔獣の痕跡を探していた。

特に広い範囲の探索を命じられた3頭のヒョウアザラシは、群れに成果を持ち帰るべく時には住処に帰らず徹夜をすることもあった。


その日も3頭はかなり遠くの海岸線にまで足を運び探索をしていた。

すると、海辺に何か小さな生物の群れが見える。

3頭は気づかれないように静かに近づいていった。

その小さな生物は、身長70センチくらいの小型の獣であり、どうやら海の魚を狩るために群れで行動しているようだった。

ヒョウアザラシにとって、その小さな生物は決して脅威となる存在ではない。

普段なら迷わず餌として襲い掛かっていることだろう。

しかし、彼ら魔獣にとってボスの命令は絶対だ。弱者であるとわかりつつも、その生物の行動を観察することにした。





その日は村のペンギン達にとって久々にゆったりとした一日となった。

魔獣の素材加工もある程度の目途がたち、あとはライとロクが少しずつ作業を進めていくだけだ。

手の空いた成鳥たちはイワシ以外の魚を狩りに、少しだけ離れた海岸線でアジの群れを追いかけていた。

その時、魚狩り班のうちの1羽が、ひっそりと自分たちに近づき、岩場に隠れる黒い斑点のある魔獣の姿を見つけた。

「ねぇ、ルルルさんがいっていた魔獣じゃない?」

彼女は魚狩り班のリーダーペンギンにそのことを伝える。

「本当だ、流石ルルルさんだ。予定通り気づかないふりをして村へ帰ろう」

「みんな!そろそろ村へ帰るよ。例の魔獣がいるから気をつけて!沖にはでないように」

そうしてアジを狩にいっていた成鳥たちは、高鳴る胸の鼓動をおさえながら海へ潜り、村へと帰っていく。

気づかれているとも知らないヒョウアザラシ3頭は、一定の距離を保ったままペンギン達を追いかけていった。




なぜ、彼らは魔獣に追いかけられても冷静でいられるのか。それは今朝、漁に出かける前にルルルからの助言があったからだ。

「ルルルさん、今日は美味しいアジをみんなのために取ってくるね~」

リーダーのペンギンがルルルにそう伝える。

「あ、待って。ペンさん、実は気になっている事があるんだ」

「えっ、どうしたんですか?改まって」

ペンはルルルの真剣な表情に驚きながらも話を聞いた。

「実はね……この前倒したヒョウアザラシは仲間が何頭かいると思ってるんだ」

「ええ!あんなデカいのが他にもいっぱいいるんですか!?」

「いや、あそこまでデカいのがいっぱいいるとは限らないけどね。とりあえず今後の魚狩りは気を付けて欲しいんだ」

話を聞いたペンは言葉を失う。

「気を付けろっていっても……」

そんなペンを見てルルルは話を続けた。

「考えている策がいくつかあるんだ。聞いてくれる?」

「もちろんですよ」


ルルルから聞いた話はこうだった。

まずは、ヒョウアザラシに出会っても、焦らず村に帰ってきて欲しい。

今回の探索で手に入れた素材は、全てヒョウアザラシを撃退するために作ったものだから大丈夫だと。

そして村へ帰る際の注意事項もいくつか伝えられた。


まずは、沖には行かず海岸線沿いを泳ぐこと。

普段なら真っ先に沖へと逃げるペンギン族だが、今回に関しては逆だ。

追いつかれそうになったら、陸に上がって逃げる。

これはヒョウアザラシが陸地での移動に適していないとルルルが判断したからだ。


次に村の入口で合図をすること。

ペンたち魚狩り班は海中から洞窟へ戻る際に、洞穴のような通路を通って洞窟内の湖に出る。

ルルルはその通路に魚の浮袋と海藻で編んだ紐を使って警告装置を設置していた。

紐を引っ張ると洞窟内の湖に浮かんでいる浮袋が、一斉に音を立てて浮かんだり沈んだりするという仕組みだ。


最後にもう一つ、洞窟内の湖への出入りに関すること――




成鳥の魚狩り班が出かけている間、リリ達は2つの班に分かれて村の防衛にあたっていた。

1班は峡谷側の陸地の防衛、2班は洞窟内の湖の防衛だ。

陸地部隊はロドルが率い、湖班はリリが率いている。


ルルルとササラはどちらへも行けるように洞窟内で待機していた。

「ルルル~、アジ楽しみ~」

ササラは相変わらずマイペースに過ごしている。

一方、ルルルは自分の考えが思い過ごしであることを願っていた。

村の防衛のための設備はそれなりに整えたつもりだ。

数日間はヒョウアザラシの魔獣を警戒し洞窟で防衛にあたるが、何もなければ再び湖に探索に行こうとも考えている。

一応、村長をはじめ、村のペンギン達には自分の考えを伝えてある。

知らないのは雛たちと子供たちだけだ。


村のペンギン達が警戒態勢を取っている中、その時はやってきた。

バジャン、バジャン、バジャン。

洞窟の湖に浮かんでいた魚の浮袋が、何度も音を立てて浮き沈みを繰り返す。

「みんな!迎撃の用意!」

リリが2班のペンギン達に声をかける。

「了解っす!」「はいです!」

リリの班にはペルとギルも加わっている。


「ササラは例の武器をお願い!」

「りょ~かい、まかせて~」

ルルルとササラも立ち上がり迎撃の準備を整えた。

村のペンギン達にとって初めての防衛戦が始まろうとしていた。


読んでくださって有難うございます。

少しでも評価していただけると有難いです。

続きもマイペースにですが書いていきます。

懲りずに読んでいただけると幸いです。

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