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ペンギンの転生者  作者: 北の国のルルル
旅立ち
41/58

お調子者

ルルル達はひとまず洞窟へ戻り、魔獣の亡骸入口に置いた。

素材の処理はロクとライに予め頼んである。

少しの休憩を終えた後、彼らは再び探索に向かった。


探索は峡谷を中心に海と反対の内陸方向へ扇状に行っていった。

峡谷付近の魔獣はほとんどが羊の魔獣の生息地のようだった。距離が遠くなるにつれ、兎の魔獣も見えるようになっていった。

リリ達の探索は順調で兎の魔獣も問題なく倒せている。

倒しては洞窟に持ち帰り、また出発する。そんな手順を繰り返していた。

時折、帰りにルルルが仕掛けた罠に魔獣がかかり弱った魔獣にトドメを刺して洞窟に運ぶ事もあった。


夕方になると、探索の範囲が大幅に広がり、峡谷は遠く後方にかすかに見えるほど遠くまで進んでいた。

「ルルルさん、遠くに湖が見えます」

視力の良いロドルがルルルに報告する。

「湖かぁ、羊や兎以外の魔獣がいるかもしれないね。少し警戒しながら進んで行こう。俺たちも戦闘になるかもしれないから準備しよう」

湖は魔獣にとっても水場を確保でき、過ごしやすい環境のはずだ。羊や兎以外の強敵もいるかもしれない。

ルルルは全員に要警戒の指示を出し、ペンギン達は慎重に進んで行く。

しばらく進むと湖の姿がはっきりと見えてきた。大きな湖ではないが水も綺麗で魚もいそうだ。

しかし、魔獣の姿が一切見えない。

(おかしい……こんな良い環境なのに魔獣がいないなんて……)

ルルルは警戒を強めるが他のペンギン達は違った。

湖が近づくにつれて警戒心が緩み、浮足立っているのがわかる。

ペンギンの本能だろう。水を見るとついつい楽しくなってしまうようだ。


ペンギンの群れは湖の水辺へとたどり着いた。その時、気が緩んだのだろう。

「うぅううぅう、水っす!我慢できないっす」「リリさん、魔獣もいないみたい、泳いできます!」

若いペンギンが2羽、湖の中へ飛び込んでしまった。

「待って、ルルルさんの許可をとってから……」

リリは止めようとするがペンギンの本能は抑えられない。

バシャン!バシャン!

2羽が湖に完全に潜っていった。


他のペンギンも装備を地面に置き、同じように湖に向かおうとする。

「ルルル~、この湖。なんかいるよ~」

そんな時、ササラが湖の中央を翼で刺すと、ペンギンではない何かが湖を泳いでいる。

体をくるくると回転させながら華麗に泳ぐその姿。まるで水中を踊るように泳いでいてバレリーナのようだった。

(水中を踊るように泳ぐ生き物?……前世で聞いた事があるな……やばい!あれは危険だ!)

ルルルはその正体を思い出した。

水中のバレリーナ、それはペンギンの天敵、ヒョウアザラシだ。


「みんな!とまれ!湖に入るな!」

ルルルは慌てて大きな声をだした。

「みんな!武器を獲るんだ!臨戦態勢だ!急げ」

ルルルの慌てぶりを見たロドルは完全に危険な敵だと判断し、ペンギン達に指示を出す。

そんな中、湖に潜った2羽のペンギンが水面に顔をだす。お銚子者のオスペンギンとおっとり系のメスペンギンだ。

「みんな~、気持ちいいっすよ~!」「おいで~、魚もいるよ~」

はしゃぐ2羽のペンギン。緊張の眼差しで武器を構える他のペンギン。

「みんな~、どうしんすか~?」

オスのペンギンは不思議そうに尋ねるが、メスのペンギンは少し異変を感じ、後ろを振り返る。

「後ろから魔獣よ~!」

叫ぶメスのペンギン。

「ひえぇ~~!ぎょえぇ~!」

慌てて逃げる2羽のペンギン。しかし、後ろから来る魔獣の泳ぎは2羽よりもずっと速い。

このままでは追いつかれると感じたルルルは短弓を水中に向けて構えた。

「リリ!」

ルルルの言葉で気づいたリリも同じように短弓を構える。

まだ射程には届かない。


2羽の若いペンギンは懸命に泳ぐ、しかし、このままではヒョウアザラシに追いつかれてしまう。

短弓の射程にもまだ入ってこない。

(ダメだ!このままでは2羽のうちどちらかは食われる!)

ルルルは焦った。もはや自分の故郷であるペンギンの村。その村の若者が魔獣に食い殺されようとしている。

「援護を頼む!」

ルルルは咄嗟に湖へ飛び込んだ。対策を考えている時間の猶予さえないと感じたのだ。

「ルルル~!」

ササラが叫ぶがルルルには聞こえない。

ロドルは嘴をかみしめながら必死に短槍に魔力を込める。

もう、誰かしらの犠牲は避けられない状況になってしまった。


ルルルは水中に潜り前方を見る。2羽のペンギンの後ろにとても大きな魔獣の姿が見える。

体長は2メートル近くありそうだ。流線型の体にヒレのような手足、手足の先には鋭い爪が生えていて、上顎には狼よりも大きな牙が2本。

体中に丸い斑点のような模様がある。間違いなくヒョウアザラシだ。

牙には氷の魔力が宿っているようで周りの水が少し凍りついていた。

前世では、ヒョウアザラシを南極のハンターと呼ぶ者もいた。

水中での戦闘に特化しているペンギンもヒョウアザラシには敵わない。


無意識の内にルルルの翼には水の魔力が宿っていた。

すぐに若いペンギン2羽とすれ違った。

彼らは自分を助けに来てくれたルルルの顔を申し訳なさそうに見つめながら岸へ泳いでいく。

ルルルは水中で彼らと目を合わせ笑みを浮かべた。

目の前にはヒョウアザラシの魔獣の姿が迫る。

魔獣はルルルに気が付くが意識は若いペンギンに向いている。

(少しでも気を惹かなければ!)

ルルルは魔獣とすれ違う寸前で水の刃を魔獣に向かって打ち出した。





読んでくださって有難うございます。

少しでも評価していただけると有難いです。

続きもマイペースにですが書いていきます。

懲りずに読んでいただけると幸いです。

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