表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ペンギンの転生者  作者: 北の国のルルル
旅立ち
32/58

マグロ

警戒する狼の群れに取り囲まれたルルル。

完全に絶体絶命と言える状況だろう。

しかし、冷静さを失わない。


ルルルは囲まれた状況に陥った瞬間、ボス狼と反対方向に走る。

ルルルの正面にいた狼は無理に撃退せずルルルを通す事を選んだ。

しかし、他の狼と連携しルルルを取り囲んだまま彼の進方向に移動した。

5メートル位ボスの反対方向に進んだルルルは各個撃破を諦めてその場に留まる。

狼達も学習している、前回の様に各個撃破はせさない。常にルルルを四方向から囲んだ状態を維持するつもりだ。

そして、徐々に狼達の包囲が狭まる。

3メートル四方に狼達が接近している。ルルルの水の刃のギリギリ射程外だった。


「ウォォン!」

ボス狼が吠える。

配下の狼達は飛び掛かろうとせず更に範囲を狭めて爪でルルルを引き裂こうとする。

狼が射程内に入るとルルルは水の刃で攻撃しようと翼を振り上げる。

まずは、正面の狼、翼を勢いよく振り下ろした。

しかし、正面の狼はルルルの攻撃を見切っていた。彼の翼から形成される水の刃には前回かなり痛い目にあっていたからだ。

彼らは賢い。魔力が水に変わった瞬間に後ろに飛び退いて交わした。

(くっ、見切られたか……予想以上に慎重だ)

しかし、ルルルは諦めない。勢いをそのまま身体を一回転させて今度は右方向の狼に狙いを定める。

右方向の狼は流石にそれを躱す事ができなかった。

切り裂こうと伸ばした腕と共に身体を水の刃で引き裂かれ、命を失いその場に崩れ落ちた。

(何とか一頭を仕留めたか……)

そうルルルが思った時、彼の左方向の狼の爪が迫る。即座に回避するが間に合わなかった。

ルルルの身体に激痛が走る、左肩を少し切り裂かれた。そして更に意識外から後ろにいた狼の爪がルルルを襲う。



ササラとロドルはルルルの必死の戦いを眺めていた。

かなり不利な状況であることは分かっていた。このままではルルルが危ない。

「ササラ、ルルルさんを助けなきゃ。行こう」

ロドラはその場でいる事に我慢できずルルルの方へ走ろうとする。

しかし、そんなロドルをササラが止める。

「今はダメ!陣形の意味を考えて~、ルルルは撃退マグロって言った~」

「マグロはルルルさんが犠牲になる陣形じゃないか、黙って見てられない」

「ちがう、撃退って言った~」

ササラとロドルは考える。ルルルは犠牲になるつもりなんてない。

撃退するために自分が犠牲になる陣形を選んだんだと。

そして、2羽は同時に気が付いた。ルルルがボス狼と反対の方向に走っていった意味を。

「ロドル、走れる~?」

「ああ、無理にでも走るさ」

「私がおとりになる、ロドルはルルルが最後に言った言葉とおりに~」

ロドルは頷く、ササラが少し早口なのは本気で集中している時だけだ。

彼女にはもう、策が頭にあるんだろう。

「いくよ~」


ササラは走った。ボス狼の元へ一直線に。

ボス狼はルルルと配下の戦いに夢中になり指示を出している。

それはそれで大事な役割なのだろう。しかし。

「私たちは~がんちゅうにないのか~犬っころ~」

ササラにしては珍しい罵倒の言葉、狼のボスはその声に驚き、ササラの方を向く。

そして、威嚇する。

「グウゥゥゥゥゥ~」

その唸り声には凄まじい殺気が宿っていた。

ルルルを殺せる大事な時に邪魔が入ってきた、その事に酷く苛立っていたのだ。

最初からルルル以外のペンギンなんて眼中にない。

なぜなら彼らにとって他のペンギンはただの餌でしかなかったのだから。


ボス狼の唸り声にササラは怯えもせず立ち向かう。

その両方の翼にはすでに魔力が宿っていた。

まずは片方の翼を振り下ろす。

「お手てカッター!」

ボス狼の前に3本の水の刃が現れた。ボス狼は驚いた表情をしたがすぐに後ろに飛び退いた。

ササラとボス狼が一対一で睨み合う。


ボス狼は自分の考えを少し改めた。ルルル以外のペンギンにも強敵はいるのだと。

しかし、その動きはルルル程には洗練されていない。さっさと引き裂いてしまおうと突進した。

ササラの攻撃の的を絞らせないようにジグザグに跳びながら襲い掛かる。

ササラもボス狼が躊躇なく襲い掛かって来るだろうと予想していた。

自分の射程距離にボス狼が入る瞬間に翼を振り下ろす。

「お手てカッター!」

彼女の前に3本の水の刃が現れ、ボス狼の身体を引き裂いた。

……かに思われた。しかし、ボス狼は襲い掛かるタイミングをずらしていたのだ。

相手の攻撃が来ることがわかっているのに突進して餌食になるボス狼ではない。

一瞬、飛び掛かったと思わせてタイミングを遅らせ、飛び掛かったのだ。

しかし、目の前の獲物は怯えていない。今から自分が切り裂かれて死ぬ事になるのに……。


ササラのお手てカッターが発動した時、ロドルはボス狼の後方に息を潜めていた。

ボス狼はロドルなんて相手にもしていない。そのことはすぐに感づいた。

最初にササラがボス狼を挑発し、切り札をワザと見せつけ注意を引いた。

それからは更にロドルの存在など気にもしていなかった。いや、もう存在を忘れている。

(悔しいけど……今の俺には魔力も使えないしその程度の存在なんだろうな)

後は息を潜めチャンスを伺うだけだ。

そして、チャンスは訪れた。

ボス狼がササラを襲う瞬間。完全に彼女を仕留めたと思い油断している。

(今だ!)

ロドルは利き手ではない物の握りしめた短槍に全ての力を注ぎ込んだ。

もう、何もかもを忘れて必死だった。

(この一撃はルルルさんの命もササラの命もかかってるんだ!どんな事があっても仕留める!)


その時、ロドルの翼は彼が気づかないうちに水の魔力で覆われていた。


読んでくださって有難うございます。

★★★★★評価していただけると有難いです。

続きもマイペースにですが書いていきます。

懲りずに読んでいただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ