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ペンギンの転生者  作者: 北の国のルルル
旅立ち
25/58

水の魔力

結局、あの日の話はササラからの提案に乗るということで決着がついた。

ルルルはこの村でペンギン達から治療を受ける。

その代わりに怪我が治った後、村周辺の魔獣駆除に貢献することになった。


ルルルが目を覚ましてから3週間、ササラは献身的に看病を続けてくれた。

おかげで背中の傷は痛みが消え、身体のだるさも解消された。

そのことをササラに伝えると、外へ出ても良いと承諾を得た。

この村へきて、初めて村長の家の外に出る。


海岸に押し寄せた氷河の上に作られたペンギンの村は、氷を削って作られた家のような物が15軒ほど立ち並んでいた。

氷河は陸地と繋がっていて、陸地には氷やつららで覆われた岩山が聳え立っている。

村人に話を聞いたが、鳥人族の村を知る者は誰一羽としていなかった。

それどころか危険な陸地を旅するペンギンなんて聞いたこともない、とまで言われてしまった。


村の食事は海で採れる小魚でまかなわれている。交代で村人が漁に出ているとのこと。

海には多くのイワシが海遊しており食料には困っていない。

一番の脅威は魔獣。

村人から聞いた話によると、魔獣は時折陸地からやって来る。

魔獣がやってくる度に村人が海に逃げ込み、数日間沖で泳いだまま避難するという生活を続けている。

しかし、年老いたペンギンや怪我を負ったペンギンはその度に魔獣の犠牲となり、命を失ってしまう。

長年そんな状況が続き、村人は身も心も疲れ果てているようだ。

魔獣と戦う術はあるのか?とルルルは尋ねたが村人は皆、首を横に振るだけだった。

(この状況は流石に放置できない……何か良い手段はないだろうか?)

最初に思いつくのは武器と罠の作成。

他には防衛するための外壁などだろうか……どれも簡単にはいかなそうだ。

「まずは武器を作ろう。最初に作ったトライデントはイノシシの魔獣に突き刺したままだしな」

そう考えたルルルは物資を確認するために村長の家に戻り、ササラを探した。


「ササラ、いるかい?聞きたいことがあるんだ」

ササラの姿を見つけると気軽に話しかける。

この3週間、毎日なんだかんだと彼女と話をしているうちに、ルルルはササラの気楽な性格を気に入っていた。

彼女が自分に気を使わない分、ルルルも彼女に気を使わないで済む。

基本的に真面目な性格のルルルは、どうしても他人に対して丁寧過ぎる対応をとってしまう。

ササラのように気を使う必要がない存在はとても貴重だった。

「なんですかぁ?お兄さん、何か困ってるんですか?」

いつものように答えてくるササラ。

「俺を見つけた時、腰に袋のような物を巻きつけてなかった?」

ルルルが彼女に聞きたかったのはこれだった。

湖を出発したあの日、ルルルは熊狼の素材を皮袋に入れて腰に巻きつけていたのだ。

「ああ、あのガラクタ。ありますよ。えっと……ほら、これ」

ササラが袋をルルルに渡す。

「最高だよ!ササラ、流石だよ、ありがとう!」

嬉しさのあまり、満面の笑みでそれを受け取るとルルルは入口へ飛ぶように走っていった。


家の外で中身を確認する。入っていたのは熊狼の骨が1つと牙が1つ、ロープと鋭い岩の破片だった。

満足そうに微笑むルルル。彼は旅立ちの時、トライデントの予備の武器を作るための素材を皮袋に入れていたのだ。

彼が作ろうと考えていたのは短槍だった。以前の経験を元にさっそく作成にとりかかった。


作成を始めてから数時間、ようやく納得のいく短槍が完成した。

以前のトライデントのような攻撃力はない。柄の長さも圧倒的に短く、安全距離からの攻撃は厳しいだろう。

しかし、今のルルルには数々の魔獣を倒した経験がある。長い柄の武器よりも短く取り回しの良い武器のほうが使いやすいはずだと感じていた。

試しに短槍を片手で持ち連続で突きを繰り出してみる。


シュッ!シュッ!シュ!


空を切り裂く、鋭い音が響く。

今度は真横にステップして相手の攻撃を躱した事を想定する、即座に前方に踏み込み強烈な突きを繰り出す。


「うん、いい感じだ!それともう一つ!」


ルルルは3週間、ただ寝込んでいただけじゃない。彼は魔力を練る練習もしていたのだ。

短槍をもつ反対の手(翼)に意識を集中させる……イメージを形にしていく。

翼が青白い光を纏い、その光がじょじょに水色へと変化していく。そして、気づけばルルルの翼は水の膜に包まれていた。


ルルルは魔力の使い方を模索していた。


エレンシアは翼に魔力を纏い飛んでいた。

自分はペンギンとしてどんな性質の魔力を操れるのだろうか?と。


何度も練習するうちに、魔力を翼に纏わせることはできるようになった。

しかし、その纏った魔力をどう活かしていいのか、その良い方法が分からなかった。


ようやく答えに辿り着いたのは、自分が命を失わなかった理由について考えた時だった。

あの時落ちた崖は、どう考えても死んでしまうほどの高さだった。

だが、ルルルは辛うじて生き延びた。


翼に纏っていた魔力、崖の下に流れていた川……そしてエレンシアが話していた、ペンギン族の魔力の使い方……。

想像でしかないが、ルルルの翼に纏われた魔力が、水中で何らかの力を発揮し助かったのではないだろうかと考えた。

(もしかして……ペンギン族の魔力は水を操る力があるんじゃないか?)

そう思ったら後はイメージを強く、はっきりと持つことを意識するだけだった。

読んでくださって有難うございます。

少しでも★評価していただけると有難いです。

続きもマイペースにですが書いていきます。

懲りずに読んでいただけると幸いです。

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