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ペンギンの転生者  作者: 北の国のルルル
転生
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転生の理由

ルルルは原初の精霊の言葉を聞いて驚愕した。

自分の予想とは違う答えが返ってきたからだ。

彼は思わず頭の中の大きな疑問を口にする。


「呼び戻した。とはどういう事でしょうか?元々俺はこの世界に居たって事ですか?」

精霊は微笑みながら答える。それはルルルに対する信頼を示す微笑みに感じた。

「そうですよ。ルルル。あなたの魂は元々がこの世界から誕生した者ものです。」

「まずは貴方が抱えている疑問を解決するためのお話から始めましょう。」


原初の精霊はゆっくりと優しい口調でルルルに語り始めた……。


「あれはこの湖に多くの精霊たちが住んでいた頃です。私たちは自然を少しだけ変化させながら生物の進化を促し、この世界を豊かに秩序あるものに発展させるため永い時間を費やしていました。」

「しかし、いくつかの精霊はもっと早く世界を安定させるために精霊の力で進化を操作するべきではないかと考えていました。」

「そして産まれたのが人族、人間という生き物です。」

原初の精霊はそこで少し苦く悲しい表情に変わる。

「人間を支援するため、現存の生物と距離を保つために多くの精霊が人間と共にここを旅立ちました。そして、人間はわずかな時間で急激に進化を遂げたのです。」

「進化した人間は知恵を武器に様々な生物の命と自然を破壊していきました。それはこの地を去った精霊たちも望むものではなかったのです。」

「後に人間の侵攻がこの湖周辺までに迫ると、残った精霊の中に人間を駆除する生物を生み出そうすると考えが芽生え始めました。」

「それが魔獣です。」

ルルルは少し驚いた。

(魔獣は精霊たちが生み出した生物だったとは・・・)

原初の精霊の話は続く。

「魔獣は人間と争い、人間をこの地から追いやりました。しかし、同時に元々住んでいた生物の生活も苦しめていたのです。」

「そして、魔獣を生み出した精霊も魔獣を監視するためにこの地を去りました」

ここで原初の精霊は話を一旦止める。そして、暫く沈黙が訪れる。


「どうしたのですか?」

ルルルが不思議に感じて質問すると彼女は申し訳なさそうに続けた。


「ええ……あなたには申し訳ない事をしたわ」

「魔獣の凶悪さに絶滅しかけた元々の生物達がそれに対抗するために自然の力で強く進化した姿が獣人族なのです。そしてルルル………」

再び沈黙が続く。なんらかの責任を感じているかのように話をためらっていた。


「…あなたは彼らのリーダーとして魔獣をこの地から遠ざける事に成功したペンギン族の英雄だったのです」

ルルルは言葉を失った。自分の前世がそんなペンギンだったなんて…。

同時に大きな疑問も生まれてくる。

「俺は前世でその後どうしたのですか?結局は何故、違う世界に生まれ変ったのでしょうか?」

「私たち精霊はこの世界の調和を大きく崩し、取り返しのつかない大罪を犯しました。そのころ人間、魔獣を生み出した精霊たちも力を使い果たし改善する術は残っていませんでした」

「ごめんなさい。ルルル……私たちは自然界の意思により誕生した獣人族、そのリーダーたるルルルに世界を委ねる事にしたのです。」

「そして、身勝手にも役目を押し付け人が栄える異世界にルルルを転生させ人間側の世界を学ばせました」

ルルルはその話を聞いて理解した。そして、感じたままに質問する。

「人間の価値観を学んだ獣人の俺にこの世界の調和の架け橋になって欲しい。という事ですね?」

しかし、精霊は首を大きく振った。

「違います。ルルル。私たちはもう、あなたに何も求めません。自然の秩序を歪め、あなたの魂にすら干渉してしまいました。これからはあなたの感じるままにこの世界を生きて下さい。」

「私は残る力をふり絞りあなたをこの世界に呼び戻しました。少しの加護も与えています。あとは自然のままに生きて下さい。それが我々精霊達の考えた最後の答えなのです」


ルルルは静かに考える。

(今の世界は獣人が危機的状況だと長老は言っていた。人間や魔獣の事は良く知らない……。とりあえずエレンシアや長老達の力にはなりたい。今更、精霊に何を願われてもこれだけは変わらないだろう。ならば結局は自分の好きなように生きていくしかないんだ)

「わかりました。自分は好きな道を進んで行きます!」

ルルルは瞳に力を込めてはっきりと答える。

その姿を見て原初の精霊は嬉しそうな表情で微笑んだ。

「あなたらしいわ。ルルル……私はもうこの結界を意地する力すら残っていません。最後に聞きたいことはありますか?」

「では、一つ。他の獣人はまだ生き残っていますか?」

長老にお願いされた他の種族を探す事、これに関する質問を行う。

「はい、彼らは隠れながらも生活を続けていますよ。ここから北に少し進んだところにある海岸線沿いに貴方の種族が暮らしていますよ」

「あなたには成長の加護を与えています。その加護はあなたと信頼関係を強く結ぶことで仲間にも恩恵があります。昔の様に仲間と幸せに過ごしてください」


その言葉を告げると原初の精霊はもう一度、優しく微笑んだ。慈愛に満ちた印象に残る微笑みだった。

ルルルは決意を固める。まずはエレンシアの村へ向かいこの会話の内容と自分の転生について正直に話そうと。




読んでくださって有難うございます。

続きもマイペースにですが書いていきます。


今回の話でルルルは転生した理由を知りました。

これからは自分の道を自分で探して歩いていきます。

世界の運命もルルルに少なからず左右されるでしょう。

ここまでを第一章といたします。

これからもご愛読、お願いします。


良ければ★の評価とブックマークもお願いいたします。

励みに良い作品になるように頑張ります。

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