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ペンギンの転生者  作者: 北の国のルルル
転生
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危険

この世界に転生し、自分の体がペンギンに変わっていた事に気づいたルルル。

その日はずっと湖で泳いだり、魚を獲ったりとペンギンの体を満喫していた。

気付けば日も落ちてしまい、周囲は静寂に包まれ、星々が夜空を照らしていた。

「今日は危ない生き物に出会わなかったけど、寝る場所を探さないと……ついつい、楽しくて泳ぎに夢中になってしまった。」

本来なら先に安全そうな場所を探しておくべきだったのだろう。

暗闇の中で動き回るのは危険かもしれない。と感じるが恐る恐る周囲を見回す。

そんな時、ルルルは何かに気が付いた。

氷の張った湖の下でうっすらと光っている何かがあったのだ。

(なんだろう?)

好奇心に駆られ、ルルルは湖の中へ潜っていった。

夜の水中はとても暗かったが、だからこそ光を探すのは簡単だった。

光をたどっていくとそこには洞窟があり、入口から明るい光が漏れていた。

入口は小さく出来ており、ルルルが丁度入れる大きさだった。

中へ入ると少し上り坂になっている、しばらく奥へ行くと水が引いていて岩場となっていた。


洞窟の光の正体は、湖の底に住む微生物によって生み出されるものだった。

これらの生物は光合成や生物発光などのメカニズムによって光を放ち、洞窟内に幻想的な光景を作り出している。


「綺麗だ!すごい。これは格好の寝床を確保できたな!」

その光景は異世界を感じさせる美しいものだった。

「いかにも異世界。って感じで最高だ。今日はここで寝よう。大変な一日で疲れたよ……」

気合を入れて行った釣りの日に湖に落ちて転生。そしてペンギンの姿に……疲れて当然だった。

ルルルは目を閉じ、ぐっすりと眠りについた。


翌日の朝、ルルルは湖の周りを探検することにした。

(とにかく周りを確認して危険があるか、また他のペンギンがいるか確認しないとなぁ)

洞窟を出て水の中へと泳いでいく。

湖の外は雪や氷に覆われた極寒の大地と言う印象だったが、水中には緑や赤の海藻や昆布のような植物も生息しているようだ。

水中も少しぐるぐると探索した後、水面に顔を出し周りを確認する。


早朝の湖畔には美しい風景が広がっていた。

朝日が湖面に反射し、水面はきらきらと輝いていた。

風がそよそよと吹き抜け、鮮やかな色合いの氷晶花が咲き誇る。

厳しい自然でありながらも強く生きる花々の光景はとても幻想的だった。

水面に張った氷の隙間から見える湖の水は透明で、深い青色をしていた。

浅瀬の水底には綺麗な砂が広がり、魚たちが優雅に泳いでいた。

湖をわずかに照らす太陽の光が魚達の色鮮やかな鱗に反射し、まるで宝石のような輝きを放っていた。

ルルルは湖畔の美しい風景に心を奪われ、この世界の美しさを実感した。


(とても素晴らしい世界だ。綺麗だし、この身体は寒さをほとんど感じない。ペンギンに生まれ変れるなんて夢みたいだ。)

しかし、その美しい景色の中にも恐ろしい危険が潜んでいることをすぐに思い知ることとなる。


岸辺を歩いていると、急に茂みから奇妙な音が聞こえた。

(ん?)

ルルルは警戒心を強め、身を隠した。

ゆっくりと、その音の方向を見る。

逆光で良く見えないが何か大きな生き物が湖の淵に立っていた。

目も慣れ次第に見えるようになると、それが巨大な肉食獣の姿だと認識できた。

(なんだ!あれ!やばい!やばいよ!)


一気に興奮が押し寄せ、軽いパニックになる。しかし、すぐに落ち着こうとゆっくりと息を吸った。


獣に気づかれる前になんとか冷静さを取り戻したルルル。

彼は静かに息を止め、動かずにその場にとどまった。

(見つかっても獣を刺激をしないように、そして目を決して逸らさないように……。)

いつかTVで見た熊対策を思い出し、暫く身を潜める。

やがて、獣は彼に気づかぬまま、静かに立ち去っていった。

(なんとか助かったけど運が良かっただけだ。対処を考えないといつ襲われてもおかしくないかもしれないな。)

読んでくださってありがとうございます。

少しでも★評価やコメントといただけると嬉しいです。


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