精霊
エレンシアが自己鍛錬に励み、目覚ましい成長を遂げている頃。
ルルルは原初の湖周辺の探索に日々を費やしていた。
彼はその広大な湖の岸辺を隅々まで調べ尽くし、探索中に遭遇する魔獣との戦いを通じて自らも成長の軌跡を刻んでいった。
ルルルは魔獣の攻撃パターンを獣の特徴や動きから読み取り、その攻撃を先読みして回避する技術を磨いた。
また、敵の隙を見つけ出し弱点を見極める洞察力を高めていった。
かつて、エレンシアを守るために戦った狼の魔獣との戦いを思い返せば、その時の戦いこそが今のベースとなっている。
狼の攻撃の選択肢を突進と噛みつきだと本能的に予測し、攻撃パターンの豊富な正面からの戦いを避けた。
そして、無防備な側面を狙って反撃した。その時は全てが運と感という不確定な要素で構成されていた。
しかし、今の彼は敵の攻撃パターンを瞬時に分析し、どのように対処するかを冷静に計画できるだけの戦略的思考と身体能力を身につけた。
探索にも疲れ少し休憩し、考え事をするルルル。
「岸辺には精霊らしき存在は確認できなかったし、探索範囲を広げてみようか?」
「それとも湖の水の中……。精霊は本当にいるのだろうか?」
数日かけて探索したが手がかりすら掴めない。そんな状況に少し苛立ちも感じていた。
(もし、原初の精霊が自分をこの世界に転生させたのならまだ生きているはずだよなぁ。しかし、なぜ見つからないんだろう?)
(何かを警戒して隠れている?可能性は大いにありそうだなぁ)
岩に腰を掛け、岸辺から湖を眺めながらぼんやりと考え込んでいた。
辺りはすっかり闇に染まり空の色は夜色になっていった。
湖にはこの世界特有の赤色と黄色の2つの月がゆらゆらと水面に揺れながら輝いている。
(今夜は満月のようだ。こんな不思議な光景を見る事ができるなんて夢にも考えなかったなぁ…)
夜空と水面に輝く4つの月の景色。とても幻想的で神秘的な光景だった。
異世界だからこそ見れる景色。探索で疲れはてた心を4つの光が癒してくれるようだった。
ルルルはすっかり見入ってしまい時の経過など忘れしまっていた。
2つの月はゆっくりと移動している。やがて赤い月と黄色の月が同じ高さとなり綺麗に2つの月が真横に並んでいた。
その時……湖面が不規則に波打ち始めた。
まるで何か大きな力によって揺さぶられているかのようだった。
水面からは銀色に輝く魚たちが驚きのあまり一斉に跳ね上がり、夜空に散る星のような輝きを放った。
「地震か!?いや、地面は揺れていない。」
何かが起きた驚きと神秘的な出来事にルルルは呆然と立ち尽くし瞬きさえも忘れていた。
急に景色がぼやけ、視界が歪む……。
幻術にかけられたように頭がクラクラして眩暈がする。
そんな状況に冷静さを失い混乱していた。しかし、彼は大きく息を吸い……ゆっくり吐き出した。
一度深く目を閉じる。そして、心を落ち着かせる。ゆっくりと目を開けた。
「なんだ!あれは?!」
彼の前に広がる光景は先ほどとは大きく異なるものだった。
湖の中には見慣れない島が浮かんでいた。赤色と黄色の月に照らされた、その島は神々しい輝きを放っていた。
島の上には小さな建築物があり、特別であろう不思議な力を放っている。
(とにかく、行ってみよう。絶対何かがあるはずだ)
ルルルは勢い良く湖に飛び込み空を飛ぶように泳いでいった。
島へと到着し、建物に足を踏み入れるルルル。
建物の中には輝かしい光のドレスを纏った少女がゆったりと椅子に腰をおろしていた。
内装はとてもシンプルだが壁はうっすらと光を帯びている。
少女が纏う白いドレスには花や動物の刺繡が施されている。そのどれもが実際に生きているかのように鮮やかで美しいものだった。
すぐに理解できるこの少女こそが精霊なのだろうと。
少女がルルルの方へ向く、瞳は閉じたままだ。
「ルルルですね。お会いするのが遅くなり、申し訳ありませんでした。」
「あなたが思う様に私が原初の精霊と呼ばれる存在です。そして、貴方をこの世界に呼び戻した者です。」
(………!?)
ルルルは原初の精霊の話をきいて驚愕した。
(………呼び戻した!?)
あくまでイメージです。
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