修練
翌朝、2羽は村を後にした。
エレンシアは青空へと羽ばたき、ルルルは狭い通路を潜り抜けた。
峡谷には変わらず危険が待ち構えていたがルルルとエレンシアは互いに協力し合い問題なく進むことができた。
峡谷の入口に近づくにつれ淋しい気持ちが芽生えてくるのがわかった。
互いに協力して困難を乗り越える、その充実した時間の終わりと暫く会えない事への淋しさだった。
エレンシアは空からルルルを見守りながら彼の変化に驚いた。
彼は格段に成長のスピードが早い。かつて苦労していた氷結蛇も今では氷晶花を刈るように容易に倒している。
彼の成長の頼もしさと彼と共に歩む事への難しさを思い知らされる事となった。
(いつか彼と共に旅をしていくなら、今の私の力じゃ足りませんですわ)
峡谷を抜け、やがて岩場に足を踏み入れた。
エレンシアは空から静かに地へと降り立ち、ルルルのもとへと駆け寄った。彼女は彼を優しく抱きしめ、二人は抱擁の中で言葉を交わした。
「ルルル、ここで村へもどるですわ。帰りも油断せずに気を付けて下さいですの」
彼女の目には少しの涙が浮かんでいた。
「エレンシア、見送りありがとう。なるべく早く用事を済ませる。待っていてね」
彼は別れを感じさせないように優しくエレンシアに言葉を返した。
「ルルル…時々空から原初の湖を見に行くですわ。ですから……体調に気を付けてですわ」
たまには結界の外で再会したい。その思いを口に出すことを互いに押しとどめた。
2羽には成すべき事が待っている。
その前に合う事は互いの決意が鈍ってしまいそうだったのだ。
この会話は二羽にとって再会を誓うものだった。
そして、彼らは離れそれぞれの帰るべき場所へ戻っていった。
村へもどったエレンシア、その日から、彼女の生活は大きな変化を遂げた。
ルルルと共に歩むという決意を胸に彼女は自分に何ができるかを真剣に考え始め、魔力を高める修練に熱心に取り組むようになった。
目的を持って取り組む彼女の努力は徐々に実を結び、日々の修練を通じて彼女を成長させていった。
彼女が努力する様子は周囲の村人たちにも注目され、その驚異的な成長ぶりが話題となった。
エレンシアの変貌はルルルへの深い思いと彼との約束を果たすと胸に強く誓った結果だった。
ルルルと再会する日のために、彼の支えになれる何かを掴むという意志は、辛い鍛錬の中でも決して揺らぐものではなかった。
後にこの修練の結果が自らの命をも救いルルルとの再開の手助けになろう事は彼女には知る由もなかった。
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