氷柱
雪原をゆっくりと進むエレンシアとルルル。
猛烈な吹雪の中で目を細めながら進んでいく。
エレンシアはネックレスを外し、自らの足で歩いていた。
2羽は氷柱木が無数に生えている雪原でその尖った枝に警戒をする。
吹雪が酷く、1メートル先も見えないような状態が続いていたが突如風も雪も弱まっていた。
不思議に感じ正面に目を凝らす、すると吹雪の先に圧倒的な存在感を放つ巨大な氷柱が見えていた。
直径10メートル位はありそうな太い氷柱が高さ15メートル以上はあるだろうか、どっしりと雪の大地に立っている。
その巨大な氷柱が2羽の風よけとなって吹雪を遮っていた。
「そろそろ休憩しておかないと。この氷柱の下で少し休もう。」
エレンシアを気遣いルルルは提案する。
2羽は巨大な氷柱の下に避難することを決め、雪原に穴を掘り始める。
穴が完成するとそこに入り、風よけとして利用する。
「ありがたいですわ。ここなら落ち着いて休めそうですの。本当に助かりますわ。ありがとう……ルルル。」
感謝を伝えながらも照れくさく下を向くエレンシア。
ルルルはとても賢く誠実で、信頼に値するペンギンであることがここまでの道のりで十分に理解できた。
敬意を表すために名前を付け足したのだが、何故か照れてしまったのだ。
「どういたしまして。とにかく体を休めよう。話を聞くのはそれからにするよ……エレンシア」
ルルルも同じようにエレンシアは意思の強い尊敬できる鳥人であると認識していた。
同じように照れながらも名前を付け足した。
穴の中は比較的静かで激しい風も遮られている。
ルルルは彼女の側に座り、彼女の魔力が回復するのを静かに待っていた。
安全な場所で身を休ませる事ができたエレンシアは、徐々に魔力を取り戻していた。
その翼には不思議な輝きが宿りはじめ、穴の中に幻想的な光景が広がっていく。
(神秘的な光景だなぁ)
彼女の翼が魔力を取り戻し力に満ち溢れていく様子は、まるで自然そのものが息づいているかのようだった。
魔力も十分回復し、身体も休まった頃。
本来の目的である話をすることになった。
「改めて、英雄ルルル様。私は鳥人の村、長老の孫エレンシアと申しますですわ。原初の精霊様の守護者として長老がルルル様との面会を希望しているのですわ。ご使命もあるかとは存じますが、どうか私の村までご足労いただけないでしょうか?」
エレンシアは急に思いついたように、畏まったような口調で告げる。
エレンシアの話にルルルは驚きを隠せなかった。
(やっぱり、彼女は俺を誰かと勘違いしてるのかな?)
一番に不思議なのは彼女がルルルを「英雄」と呼ぶことである。
しかし、疑問と同時に興味も湧いてくる。
異世界に転生してから会話ができる相手と出会ったのは、エレンシアが初めてだった。
そんな彼女の村へ行ってみたいという激しい興味も……。
「エレンシア、そんなに畏まらないで。それと……聞きたい事がいくつもあるんだ。まずは何故、俺が英雄なの?」
彼女はルルルの問いかけに少し驚いた表情を浮かべながらも答えた。
「え?ルルルは原初の精霊様の使途様ですわよね?守護者の子孫である私たちにとっては、英雄そのものですわ」
ルルルはその言葉に驚いたが、エレンシアの表情は誠実そのものだった。
「ごめん、全くわからないんだ。俺はこの世界の事をあまり知らないんだ。」
今度はエレンシアが驚いた表情をした。しかし、ルルルの表情こそ誠実そのもので決して冗談などを言っているそぶりは感じなかった。
「わかりましたですわ。では、全ては長老様にお尋ねしてみてはどうかしら?私が村まで案内するですわ」
答えに困りエレンシアはそう告げる。
「そうだね。ありがとう。エレンシア長老様に会ってみるよ」
これまでのルルルには何か目的がある訳でもない。
この世界で初めての知人について行くことを決めた。
読んでくださって有難うございます。
少しでも評価していただけると有難いです。
続きもマイペースにですが書いていきます。
懲りずに読んでいただけると幸いです。




