なりすまし大作戦
今日もだいぶあたたかいなぁ。それに比べて俺の懐ってやつは...普通スライムがオークに勝つなんておもわないだろ。あいつ何者なんだよ。はぁ...どこかに大金おちてないかな。そんなことを思いながら外を歩いていると、なにかが目に入って足を止めた。よく見るとそれは、詐欺の注意喚起だった。
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なりすまし詐欺に注意!
犯人は魔法を用いてあなたの知り合いになりすまし、あの手この手で金品をだまし取ろうとしてきます。他人になりきるという都合上発生件数自体は多くないものの、犯人を見つけることは困難です。なりすませる人材は、案外あなたの近くにいるかもしれません。
いくら親しい間柄だとしても、お金の貸し借り等には慎重になりましょう。
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一通り目を通した後俺は、また歩きだすのだった。
俺は外を歩いている友人のアレンを見つけ声をかけた。
「よう。アレン」
「久しぶりだね、シン」
「これから暇だったら昼飯でも食いにいかないか」
「肉ならね」
それから、俺達は昼食を食べに適当な店に入った。席に着き、一通り注文した後、アレンが口を開いた。
「最近はなにしてるの?」
「最近はお金がなくてな、知り合いの子かお菓子をもらったり、無害な植物系モンスターの安全な食べ方の研究とか、いろいろしてんね」
俺がそういうとアレンは、やばこいつみたいな顔をしていた。何故なのか理解に苦しむところだ。
「この前だって、自分の鼓膜を破ることでマンドラゴラを無傷で引き抜くことができることを発見したんだぜ。まぁ、この辺にマンドラゴラの群生地なんてないから使いどころはあまりないんだけどな」
「鼓膜を破ることは無傷なのかなぁ...あと、この世界にマンドラゴラの群生地なんてないとおもうけど」
「そんなことより、今お金が全然なくてさ。数日間生きていける程度の金額貸してくれない。無利子で」
「図々しいなぁ、てかマンドラゴラ売れば結構な金額になったんじゃ?」
その後も、他愛もない話をしてしていると、あっという間に時間は過ぎ、解散になった。
俺は街を歩いているアレンを見つけ、声をかけた。
「よう。最近なにか面白いことあったか」
「あ~、シンか。めちゃくちゃだるい絡み方するじゃん。面白いことなんてそうそう起こるもんじゃないよ」
「それもそうだな」
「ところでさ、この前貸したのいつ返すの」
そんなことを言われた俺は、少し考えた後話し出した。
「俺、お前から何か借りたか」
「この前肉食ったときにいくらか金を貸しただろ」
「肉...?そんなことあったか」
「お前から誘ってきたんだろ」
「お前、それもしかしてなりすまし詐欺じゃないか」
不可解そうな顔をしながらアレンは、「そうなのか?」と首をかしげているようだった。そこで、俺はそうだと言わんばかりに、首を縦にふった。
「最近は物騒な世の中だからな。気を付けないといけないぞ」
「そうだね。そうゆうことが自分には起こらないとおもっていた僕の落ち度でもあるしね」
そのままこの話が終わった後、少し立ち話をして、俺達は別れた。
そうして歩きながら俺はほくそ笑むのだった。