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漫才『個性』

作者: 花音小坂

男性二人組

コンビ名『あの手この手』


                *


2人「どーもー! あの手この手の」


ボケ「あの手です!」

ツッコミ「この手です!」


2人「よろしくお願いしまーす!」


パチパチパチ――!


ボケ「いやでも斎藤さん」

ツッコミ「『この手』だっつってんだろ!」


ボケ「世の中すでにボケとツッコミという概念は今に合わないと思いません?」

ツッコミ「……それは常々俺も思っていた」


ボケ「いわゆるツッコミと言うのは非常識からの否定。常識に治すことによって笑いが生まれる。でも、僕は昨今の風潮は非常識が必ずしも悪いことじゃないと思うんです」

ツッコミ「うんうん。要するに、それは非常識じゃなくて個性だってことでしょ? 時代がそう言うの尊重する風潮になってきたからねぇ」


ボケ「……まあ、いいや」

ツッコミ「違うの!?」


ボケ「じゃあ、僕がたとえ出してくから、それが個性か非常識かどうか判別してよ」

ツッコミ「そりゃいいね」


ボケ「頼むよ、斎藤さん」

ツッコミ「『この手』だと言ってるのに、敢えて本名を連呼してくるお前のその個性……受け入れたよ」


ボケ「……ありがとね」(ひそひそ声な感じで)

ツッコミ「じゃ……やろっか」(照れた感じで)


ボケ「スクランブル交差点のど真ん中でベッドを敷くユーチューバー」

ツッコミ「それは非常識! 周りの迷惑を全く考えていないからね」


ボケ「コンビニのおでんに唾をはく店員」

ツッコミ「それも非常識! なに考えてるんだろうなぁ、あのバカどもは」


ボケ「玉子焼きにメープルシロップをかける男」

ツッコミ「それは個性! すっごく弱弱しい個性だけどね!」


ボケ「沖縄の辺野古移設に反対ツイッターを送る芸能人」

ツッコミ「それも個性! 個人の表現の自由は認められてますから。いや、むしろそんな時事ネタを放り込んでくるあなたの個性を尊重しますよ私は」


ボケ「ツイッターで政権批判をする芸人」

ツッコミ「それは個性! いいですねー、日本の将来を真剣に考える若者を、私は応援しますよ!」


ボケ「ツイッターで常に炎上している芸人」

ツッコミ「それも個性! なんかだいたい一人のことを指してきているのは私だけでしょうか?」


ボケ「相方の名前が中川パラダイスさんで、吉本興業に所属する毒舌芸人!」

ツッコミ「それはもう村本! ウーマンラッシュアワーの村本さんそのもの! お前、さっきからずっと村本さんのこと言ってただろう!」


ボケ「村本さーん! 一緒に安倍政権ぶっ倒しましょう!」

ツッコミ「それは個性! でも、今は漫才に集中して欲しいから次の次の総選挙ぐらいからで勘弁してほしい!」


ボケ「村本さーん! 愛してます」

ツッコミ「非常識です! それは言いすぎ! 好きとか尊敬するとかならまだ許せますが、愛してるという言葉をそんなに簡単に用いることは非常識です!」


ボケ「――結婚しましょう!」

ツッコミ「……ごめんやっぱ個性! そこまでの想いがあったのならさっきのも個性! 性別を超えた個性として尊重せざるを得ない!」


ボケ「と言うわけで、解散しよう、中村!」

ツッコミ「『この手』だって言ってるのに、前彼女の名前を堂々と呼ぶお前は非常識だ!」


2人「どーもー。ありがとうございましたー」






















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― 新着の感想 ―
[良い点] いきなり本名で呼んでいくスタイルが面白かったです。 また、素早いやり取りも、読みやすくて良いと思いました。
[良い点]  面白いです! ゲラゲラコンテストに応募していたらと思いました。 [気になる点]  時事ネタと今の流行を使っているネタなので、漫才としては、ある一定期間しか利用しにくいのが気になりました。…
[一言] 面白かったですww 私も村本さん好きですw 初めてバイトリーダーの漫才を見た時は度肝を抜かれましたよww
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