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シデリアン洞窟編Ⅴ

そろそろ戦闘です。

2025/04/26 改稿。

 戦場。そう形容するのが相応しいと思った。本当の戦場なんて見たこともないけれど。

 洞窟の中で、なんでこんな地形ができたのかは分からない。けど、確かにあるのだから今は考えたってしょうがないことだ。


 こういう円形に窪んだ地形をクレーターって言うんだっけ? 昔本で読んだ気がする。なんか違う気もする気もするけれど、今は細かいことはいいか。


 対岸の崖の上に見える、ここからだと親指の爪ほどの大きさの穴。あれが、洞窟の奥に続く道なのかな?

 迂回路を探しても、めぼしい道はないみたいだし、やっぱり、下に降りるしかないっぽい。

 足下すぐの崖には梯子がかけてあるけど、もう何年前に設置したものなのか定かじゃないし、途中から踏板が腐り落ちていて、とてもじゃないけど使えそうにない。

 まぁ、私の今の全備重量じゃ、新しくても壊してたかもしれないけどね。


 梯子の残骸のすぐ横から、窪地の壁伝いに、鉄パイプを打ち付けて作った階段があった。こっちはまだ少し新しめで、強度も問題なさそうに見える。

 どうやら、これ以外に道らしき道も無いようだったので、私を先頭に進み始めた。


 一歩目を踏み締めながら窪地全体を俯瞰すると、このだだっ広い空間のあちこちで、魔物が出現し続けて、それと何人もの冒険者たちが戦っているのがぼんやりと見える。なんだ、結構人いるんじゃん。

 

 階段は時折、鉄パイプを打ち付けている壁からミシって音がして、そのたびに心臓が止まるかと思った。

 手摺り替わりの鎖も張ってあって、一応の安全対策はされているようだったけど、私には盾が邪魔で、鎖が持ちづらくてしょうがなかった。

「改善を要求する! もちろん鎖の方の!」

「設置した人も、お前のわがままに一々付き合ってられるかよ」

「言ってみただけだよぉ~」

 私のすぐ後ろを歩くロア君が、私の愚痴に突っ込んだ。

 そんな当たり前の事言われなくても分かってますよーだ。


 今思ったんだけど、この鎖を繋いで、梯子にして吊るせば良かったのでは? 本当に今更なので口には出さないけど。


 底が数メートル先に迫ったところ、今までの道のりを考えれば安心できる高さ。

 その道の終わりで()が空いた。

「急ごう!」

 私は言って、後ろの二人を促し、駆け下りた。

 だけど、あと数歩というところで穴が弾け、魔物が現れた。


 ――犬型が三匹。まだこちらには気づいていない。


 私は、パイプを蹴ってジャンプし、落下の勢いを乗せ、先頭の一匹の首目掛けて、盾を突き立てるように振り下ろした。

「真上は死角だよね!」

 盾は、ギロチンのように魔物の首を寸断して、一撃でその息の根を止めた。

 残りの二匹が、登場早々の奇襲に驚いて、狼狽(うろた)えたのが分かった。

 そこへ駆けつけた二人が、それぞれの武器を抜いて、すかさず斬りかかる。


 ――二つの犬の首が宙を舞った。


 こうして、待ち伏せするはずだった魔物は、三匹とも成す術なく、一方的に倒されたのであった!

 やったね! と三人でハイタッチした。


「気を付けてて良かったね。でなかったら今頃、待ち伏せの先制攻撃受けてたよ」

 二人が頷く。

 開幕戦を切り抜けた私たちは、たどり着いた窪地の底で辺りを見回した。

「壁伝いに下りてきて、今は、出口の道が右手側に見えるから、ぐるっと四分の一ほど回った感じかな?」

 このまま壁沿いに進んで、下りてきた時と同じような道を探そうかと三人で相談していると――


「おーい!」

 と、こちらに向けたであろう人の声が聞こえてきた。声の方に振り向くと、自分たちより少し良い装備の男の人が手を振りながら駆け寄って来ていた。

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