表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

詩集

ボクノセカイ

作者: 天童美智佳

 ――ハジマリは思い出せない。オワリはまだ知らない。


 ボクの世界は、灰色だった。


 ――ショクブツは湿った紙屑に。ドウブツは乾いた埃に。


 ボクの世界から、イノチが消えた。


 ――傷口から零れる血潮さえ、澱んだ泥水に。


 ボクは、オカシイのだろうか。


 ――疑っているのは、きっと正気のアカシ。


 ボクは、そう信じていた。



 ◇



 ――ソトに出ると、マチを歩くと。


 黒いカタマリが蠢いていた。


 ――彼らは地上を覆っていた。


 ソレはきっと、ニンゲン()()()()()


 ――無機質な音の羅列。


 コトバがわからない。


 ――ムシしていたら、彼らは怒った。


 ハイイロがひびわれ、静かに崩れはじめる。


 ――コワカッタ。


 逃げて逃げて。


 ――辿り着いたのはガケ。


 海が見えた。


 ――背後にはバケモノ。行く手には一面のクロ。


 もうニゲラレナイ。


 ――ナラバイッソ。


 ボクは、飛んだ。


 ――オチテイッタ。


 ボクは、嗤った。


 ――ミナモに叩きつけられた。


 ウミの青とソラの蒼が、ひたすらに痛かった。


 ――水の中に息づく、きらきらしたおサカナ。


 ちいさなヒカリが、生まれては消えた。


 ――紺碧の深淵。


 ヌルイ闇が、カラダを包み込んだ。


 ――さがしていたボクノセカイ。


 誰もココにいない。

ご高覧、誠にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 相変わらず色彩選びの妙が聞き、イメージとコントラストのくっきりとした作品だと思いました。イノチの色を浴びて空と海をめぐって。それでもかさかさのグレーから、どよどよのブラックへ…実は主人公は…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ