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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

関西女装少年と保健のセンセイ(♂)

作者: 青白

 やけに目を惹く女の子がいるな、と思ってから、それがよく見知った男の子であるとすぐ気づいた。

 ふんわりと肩に掛かる黒髪はウィッグだろうか。ゆったりめで柔らかな色をしたワンピースに、カーディガンを羽織っている。背丈が低めで、ほっそりとした体によく似合っていた。

 何より目がいったのはその風貌だった。ここ最近はほぼ毎日見ている顔なのに、印象が全然違う。目がぱっちりとしていて、頬が仄かに色づいている。薄く化粧でもしているのかもしれない。


 ――まるで本物の女みたいだな……。


 持田健介もちだけんすけは無意識のうちにポケットのタバコの箱をいじりながら、ぼんやりとそう思った。

 歩く人々に混じりながら、彼はまっすぐこちらに向かってくる。ふと顔を上げると、健介の姿に気づいたらしく大きく目を見開いた。


「げっ。健介センセイやん……」


 大きめな小声がこちらにも聞こえた。明らかに知っている声だった。もっともまだ声変わりはしていないので、周りの人たちは違和感に気づかなかったようだ。

 タバコを買いに街になんか出てくるんじゃなかった、と健介は後悔した。おかげで何の変哲もない大通りの一角で、女装した生徒に出会うはめになった。


「……甘宮あまみや、だよな?」


 いつまでも硬直しているのも面倒なので、首の後ろを掻きながら健介は声を掛ける。


「……あ、いや。ひ、人違いですっ!」


 その一声で我に返った彼は、関西弁特有の訛りがある言葉を残して一目散に逃げ去っていった。

 早い。あっと言う間にその後ろ姿は曲がり角へと消えていく。


「……まいったな」


 残された健介は、これまた無意識に買ったばかりのタバコを取り出して咥えてしまった。


  ♂♀


 甘宮薫あまみや かおるは、健介が勤務する男子中学校の生徒である。一年生だから、先月入学したばかりだ。

 関西からこちらにやってきたらしく、周りが標準語だらけでも臆することなく関西弁で話す。関西の人は陽気で活発などとよく聞くが、彼はまさにそれを絵に描いたような少年だった。中学生活が始まったばかりだというのに、友人も多い。そしてその友人を連れ立って、昼休みになるといつも健介の城である保健室によくやってきた。


「男で保健室のセンセイって珍しいんやない? 小学校は女のセンセイやったで」


 弁当を掻き込みながら、薫はそう気さくに話しかけてくる。普段の彼は髪を短く刈り込んでおり、猫のように人なつっこく笑うのが特徴だった。

 健介は白衣のポケットに手を突っ込みながら渋面を作る。


「小学校の時は共学だったろ。ここはがさつな男子しかいないんだから、がさつな俺が養護教諭でもまかり通るんだよ」

「ひでーなぁ、先生ぇ。俺らめちゃくちゃ繊細なんですけどぉ」


 誰か一人が声を上げて、グループ内でわいわいと盛り上がる。陽気な学ラン軍団。その賑やかさに健介は何となく日陰に追いやられたような気持ちになって、机の上の書類作りに戻った。あまり積極的に人と関わろうとしない健介にとって今は針のむしろ状態だった。


 ――こいつらが帰ったら、タバコでも吸うか……。


 ワイシャツの胸ポケットに入れた煙草の箱に触る。喫煙所は職員室にあるので、そこまで行くのは面倒だな、と出不精なことを考えていた。


「センセイ、煙草吸うんやな」


 不意に声を掛けられた。気づくと隣に立っていた薫がこちらを覗き込んできている。

 びくっとしてしまった。驚いたには驚いていたのだが、彼の顔を近くで見たことによくわからない感じを覚えた。今思えば、薫の顔立ちが女性的であることを無意識に感じていたのかもしれない。


「……おう。お前も吸うか」


 変な動揺を隠すために、あえてそんな冗談を言ってみる。薫はくすくすと可笑そうに笑った。


「遠慮しとくわ。ヤニ臭なったら、女子とちゅーも出来んようになるし」

「悪かったな、ヤニ臭くて」

「あれー? 先生が生徒にタバコ勧めていいんですかー?」


 あっと言う間に薫を中心に生徒たちが集まってくる。健介はその騒ぎに巻き込まれてしまっていた。

 そう、薫は何かの中心にいるような奴だった。


 ――そんなあいつが、まさか女の格好してるとはな……。


 ふう、と健介は換気扇に向かって紫煙を吹き掛ける。ボロアパートの自宅の台所に立って、タバコをふかしていた。


 ――まあさすがのあいつも、明日は保健室に来ないか……。


 そう考えると、どこか喉の奥で何かが引っかかるような感覚を覚えた。それを誤魔化すように、灰皿の底にタバコをぐりぐりと押しつけた。


  ♂♀


 窓の外から元気な声が聞こえている。見ると日差し照らすグラウンドで、生徒たちが健康的に短距離をしていた。まだ五月も半ばで寒いだろうに、活発なことだ。


 ――いやぁ、若いって素晴らしい。


 デスクで書類作りに勤しんでいた健介は自嘲気味に思う。授業時間中の保健室はとても静かで穏やかだった。今日は体調を崩したり怪我をこしらえてしまったりする生徒は来てない。時計を見上げると、丁度十一時になったところだった。

 もうすぐ昼休みか、と考えて、すぐに薫のことが思い浮かんだ。普段の姿と、昨日見た女装した姿と、順番に。


 ――まあ、来ないよな……。


 また気づけばタバコの箱をいじっている自分に気づく。そろそろまた禁煙にでもチャレンジするか、と首の後ろを掻いた時だった。

 トントン、と。入り口から控えめなノックの音が聞こえた。


「ほい、どうぞー」


 気の抜けた声でそう言うと扉が開く。健介はぽかんとしてしまった。そこにはバツが悪そうに俯いた薫が立っていたからだ。


「……センセイ。今、ええか?」

「……ああ、いいけど。お前、授業は?」

「気分悪いからって抜けてきた」


 とぼとぼと薫は中へ入ってくる。そしていつもの定位置である、部屋の真ん中のソファにぎこちなく腰を下ろした。

 ……沈黙。堅苦しい空気が漂っている。先ほどの穏やかさはどこへやら。薫はもじもじとしたまま一向に口を開こうとしない。

 仕方ないので健介から口を開くことにした。


「……昨日のことか」

「えっ。あ、うん、えっと……そう、やけど……」

「安心しろ。誰にも言わないから」

「あ、そか……」


 薫はほっと胸をなで下ろしたみたいだった。しかしその後も何か言いたげに指を擦り合わせ、こちらをちらちらと窺っている。いつもの明け透けさも形無しだった。健介は大きくため息をついて尋ねる。


「まだなんかあんのか」

「えっ、あ、いや……別にそういうわけでもないんやけど……」


 歯切れの悪い逡巡をいくらか繰り返して、彼はようやく決心したように本題に入った。


「そ、相談があるんや……」


 相談。珍しいことだった。しかしそれは養護教諭の務めの一つでもあるのだろう。健介は大体彼が何を言いたいのかわかった気がした。


「な、なあセンセイ……俺って、ヘンタイなんかなぁ……?」


 泣きそうな声を上げて彼はこちらを見つめてくる。笑っている顔は猫のようだが、すがりつく顔は犬に似ている。喜怒哀楽のはっきりした奴だ、と健介は思う。

 それから薫はぽつぽつと語り始めた。


「俺、別に女子になりたいとか、そういうことやないねん……。ただ何となくネットで女の着るような服見とったら、こういうの俺が着たらどうなるんやろうなってちょっとふざけて思いついただけや。んで、いざ通販で買ったやつ着て鏡見たら、案外悪くないやんってなって……それからはまあ、ずるずると」


 一気にまくしたてる。なるほど、と健介は頷く。確かに案外悪くないとは思ってしまうかもしれないな、と昨日見かけた彼の姿を思い浮かべる。そして俺は何を考えてんだ、と慌てて打ち消した。


「とりあえず、飲んどけ」


 デスクのすぐ近くに設置された小型の冷蔵庫を開けて、中から取り出した缶コーヒーを薫に放る。


「あ、おおきに……。これ、センセイの?」

「ああ、いつも常備してる」

「げっ、ブラックかぁ。俺、苦いの苦手やねん」

「いやなら返せ」

「いや、もろうとくわ。喉、カラカラやし」


 プルを開けた彼は一気にコーヒーを流し込んだ。それから無理矢理薬を飲まされた子供のように顔を歪ませる。

 健介は咳払いをした。とりあえず、話を仕切り直すことにする。


「まあ、大体事情はわかった」

「ほんま?」

「ああ」


 それから黙る。そわそわと薫は尻尾を振りながらこちらを見ていたが、あまりにも沈黙が続くので徐々に尻尾の動きが陰っていく。


「えっ、何でそこで黙んねん。何かないんか?」

「何かって何だ」

「何かこう、保健のセンセイならではのアドバイスみたいな、そんなん」

「んー、そうだな……」


 健介は無精ひげの生え始めた顎に手をやる。

 事情はわかった。確かにわかった、のだが。

 いかんせん事態が今まで健介の経験したことのないイレギュラーなものなので、どう対処したらいいかわからない。

 長考したのち、健介はようやく口を開いた。


「まあその、あれだ。……頑張れ」

「何やそれっ!」


 すかさず鋭いツッコミが飛ぶ。


「ようやく出たのが頑張れて! 今の流れのどこに頑張る要素があんねん! 他に何かあったやろ! 三流芸人でももっとマシなボケかますでほんまに!」


 再び早口でまくしたて、ぜえぜえと息を乱す薫。健介はぽかんとしてしまった。


「……元気だな、お前」

「誰のせいやねん!」


 追加迎撃。完璧な落としどころだった。

 もうしばらく彼がどこまで切れよくツッコめるのか見てみたいような気もしたが、目の前の問題をいつまでも宙づりにしておくわけにもいかない。

 健介は胸ポケットからタバコを取り出すと、口に咥えてライターで火をつけた。携帯灰皿は持ち歩いているので、後処理は問題ない。


「ここ、禁煙ちゃうの?」

「いつもはな。今は特別だ」


 煙を肺まで吸い込んで吐き出す。それでだいぶ頭の中を整理できた気がした。


「……お前はどうしたいんだ?」


 あえて声を低くしてそう尋ねた。薫はきょとんとしていた。続けて健介は言う。


「変態かどうかっていうのは、この際置いておこう。そんなのは個人の感覚だし自由だ。問題なのは、お前がこれからどうしたいかってことじゃないか、たぶん」

「ど、どういうこと……?」

「簡単に言えば、お前が女の格好をするのをやめたいのか、どうかって話だよ」


 また煙を吸って吐く。白く不安定なものが空気中に漂う。薫は意表を突かれたように口を開いていた。それから眉根を寄せて考え出す。


「そんなん考えたこともなかったわ……。どうなんやろうな、ジッサイ……」

「そんなに悩むほど難しい話じゃないだろ」

「いや、今までなんも考えんと感覚で突っ走ってきた感じやったから。改めて言われると、目からナマコやわ」

「鱗な」


 薫は腕を組んでうんうんと一人で唸っている。このままだと永久に答えが出ないような雰囲気が漂っていたので、仕方なく健介は養護教諭らしく口を挟んでみることにする。


「……お前さ、昨日の夜あの格好で外出歩いてただろう。あれはどう考えての行動だったんだ」


 助言、のつもりだったのだが、ますます薫の唸り声は大きくなっていく。


「むむ……どうって、家ん中で女子の格好すんのも慣れてきて、ほんならこれで外出たらどうなんやろって思うて……」


 そこまで言って、いきなり薫ははっと目を見開いた。それから泣きそうな顔でこちらにすがりついてきた。


「そ、それって人に見られたい思ったってことやないの!? あかんわ! 俺ほんまにヘンタイかもしれん! どないしよ!」

「おいっ、落ち着け! 肩を揺さぶるな! 灰が落ちるから!」


 必死のすがりつきを必死に引き離す。二人とも息絶え絶えになっていた。外から「いっけー!」と短距離走に勤しむ健康男児の声が響く。


「……それで、どうなんだ」


 一旦落ち着いて、タバコの灰を携帯灰皿に落としてから健介は言った。


「もう一度言うが、変態だなんだってことは無視しろ。答えが出ない不毛な問いかけだ。お前は続けたいのかどうなんだ。昨日街に出たのは、女の格好をしている自分を認めてほしかったんじゃないのか?」


 まっすぐに見つめてやると、薫は若干ひるんだようだった。ぎゅっと拳を握りしめて、目を逸らす。そして絞り出すように言った。


「……わからん」


 限りない本心のようだった。本当に自分の中でうまく処理できていないのだろう。


 ――それならもう、俺から言えることはないか……。


 携帯灰皿にタバコの先端を押しつけようとした、その時だった。

 いきなりがばっと薫が顔を上げた。


「そうや! センセイ、ちょっと手伝ってくれへん? 俺が女子の格好を誰かに認めてほしいんかどうか!」


 きらきらした眼差しがこちらを射貫く。気圧されて健介は椅子ごと後ずさる。


「ど、どういうことだ。何言ってる……?」

「そやから、えっと……上手い言葉が見つからんわ。とにかく女子の格好した俺と、デート? してくれってことや!」


 タバコが落ちた。「熱っ!」と膝にのっかってしまったそれを慌てて拾い上げ、携帯灰皿に放り込む。

 まだ薫はこちらをじっと見つめていた。手で掴めそうな期待感がぶつかってくる。


「おい、待て待て待て。……お前、本気で言ってんのか」

「本気も本気やで。甘宮薫、一世一代の大本気や」

「意味がわからん。大体何で俺がお前に付き合わなきゃいけないんだ」

「センセイにしかこんなこと頼めへんもん! もう全部話してしもたし!」


 じりじりと詰め寄られた。流れは完全に悪い方向へと向かっている。

 近くで見ると、薫は色白で中性的な顔立ちをしているのがよくわかる。どくっ、と心臓が妙な騒ぎ方をした。


 ――待て、俺は一体何を考えてんだ。


 頭はこの上なくこんがらかっていた。そして混乱したまま、ついに健介は口に出してしまった。


「――わかった! わかったら離れろ!」


 言ってから、ものすごく後悔した。あからさまに目の前の薫の顔が明るくなったからだ。


「ほんま? おおきに! センセイ、恩に着るで!」


 それから連絡先の交換をねだられ、勢いに乗せられるままに健介はスマホのアドレスを教え向こうのも教えられた。


「よし、これでオッケーや。詳しい日時とか場所は、センセイの方で決めたってな」

「おい待て。何で俺が……」

「だってセンセイの休みに合わせた方がええやろ。それに俺、こっちに越してきたばっかりでどこに何があるかとかさっぱりわからんねん」


 思い出したように間抜けなチャイムの音が鳴り響いた。上を見上げた薫が「あっ、そろそろ俺行くわ」と勝手に保健室を出ていこうとする。


「じゃあもろもろ決まったら、連絡よろしくなぁ。待っとるでぇ」

「あっ、おい! 待て甘宮!」


 無情にも引き戸は閉まった。嵐は去り、保健室にはまた穏やかな静寂が訪れる。いや、違う。全然穏やかではなかった。


「……まいったな」


 いつか呟いたことをまた口にしながら、健介はとりあえず二本目のタバコに火をつけるのだった。


  ♂♀


 その後。日時は日曜日の午後一時、待ち合わせ場所は学校の近くにある駅前の広場と決めて、薫にメールを打った。にっこりとした絵文字付きで、「了解! とびっきりお洒落していくわ!」とすぐに返信が返ってきた。

 スマホの画面を暗転させて、健介はため息とともに紫煙を吐き出す。いつも通り、自宅の台所に立ってタバコを吸っている。換気扇の回る音だけが部屋の中に響いていた。


 ――正直、ここまでする義理はないわな……。


 改めてそう思う。いくら自分が養護教諭であり、そういった繊細な悩みの相談に付き合う義務はあれど、そこまでだ。わざわざ生徒の一人と極めて個人的な理由で共に出かけるなど、明らかに業務の範囲外だった。それ以上に、色々と危うくもある。


 ――あいつが男でほんとよかった……。


 灰皿に灰を落とす。もしこれが女子生徒であったなら、見た目的にも中身的にも完全にアウトだ。下手をしたら世間的に殺される。二度と学校と名の付く職場にありつけなくなるだろう。


 ――いや、でもあいつ女の格好してくるらしいし……よそから見たらもう完璧にアウトか……。


 だからこそ当日向かう場所は細心の注意を払って決めた。あそこなら学校の知り合いとはち合わせるリスクも少ない。万が一何かあったら、姪か何かとでも答えておけばいい。どうせいつもと違う薫の姿には、誰も気がつかないだろう。


 ――……まてよ。じゃあ俺は何であいつに気がついたんだ?


 ふと疑問に気づく。彼の姿を見かけてからその正体に気づくまで、あまりスパンはなかったような気がする。

 女性の身なりをして、化粧まで施していた薫は見た感じ完璧に女の子といった感じだった。そこに違和感を感じたわけではない。じゃあ、一体なぜ。


 ――いや、あいついつも保健室に来てたからな。そのせいだろう。


 このことをこれ以上掘り下げると、とんでもない方向へ行きそうだったのでその結論でカタをつける。タバコを灰皿で揉み消して、手持ちぶさたの手でスマホをいじり始めた。


 ――ほんと俺、何やってんだろうな……。


 当日のルートを地図アプリで確認しながら、健介はそう思って首の後ろを掻いた。


  ♂♀


 当日。天気は晴天に恵まれ、この上ないお出かけ日和になるとテレビでやっていた。まったくその通りだったが、降り注ぐ日差しに対して健介の気分は重かった。ハンドルを大ざっぱに回して左折する。

 健介は車に乗って待ち合わせ場所の駅前に向かっていた。どこにでもある一般的な黒のセダンだ。もう乗り始めて二年ほどになり、大分親しんできたと思うが、まさか学校の生徒を迎えに行くことになろうとはこの車も思ってはいなかっただろう。

 駅前に着いた。それなりに人混みが出来上がっている。これも計算の内だった。人が多いほど、たぶん自分たちも目立たなくなるだろう。木の葉を隠すなら森、だ。

 駅の建物の正面にある駐車場に車を停めて、近くの広場に建っている変な銅像の前に行く。待ち合わせの目印だった。


 ――あいつ、ちゃんと来るんだろうな……。


 時計を見れば待ち合わせの十分前。今日はいつもの白衣姿でなく長袖シャツにジーンズというラフな格好なので、もしかしたら素通りされるかもしれないという危惧もあったがそれだけじゃない。薫本人が怖じ気づいて来ないのではないかという可能性がある。せっかくの休日に待ちぼうけはごめんだった。

 やきもきしてタバコの箱をポケットの中でいじくること、五分。


「お待たせー! 待ったかぁ?」


 やけに明るい薫の声が聞こえてきた。完全に杞憂だったようだ。やれやれと思いながら振り向く。

 わかってはいたが、やっぱりぎょっとしてしまった。

 まず桜色のフレアスカートが目に入る。青いデニムジャケットの下にはボーダー柄のカットソーを合わせているようだ。春の中ほどになった今の時期にぴったりな、フェミニンなファッションだ。だがそれより驚いたのは。

 頭がツインテールになっていた。毛先が肩にしだれかかるほど長い。おそらくこれもウィッグだろう。そしてやはり、顔。ほんのりと化粧をしているのか、いつもより大人びた印象を受け、中性的だった作りがやや女性の方に傾いている。これは誰も、この人物が男であることも、はたまた薫自身であることも疑わないだろう。


「センセイも普段着やし、何か変な感じやなぁ。ん? どうかしたんか?」


 ぽかんとしている健介を薫が不思議そうにのぞき込んでくる。慌てて顔を逸らした。


「いや、お前その格好……」

「これ? あはは、せっかくのデートやもん、いつもよりずっと気合い入れてきたんや。どう、可愛い?」


 おどけてその場でくるりと回ってみせる薫。スカートがふんわり膨らんだ。


「……ああ、よく似合ってるよ」


 口に出してしまってから、何を言ってるんだと我に返る。しかし遅かった。


「え゛っ」


 ぼっと火が灯るように、白い薫の顔が真っ赤になったのだ。見開かれた大きな目が健介を映す。気まずい。


「おい、何だその顔は」

「なっ! せ、センセイが変なこと言うからやろ!」

「ふってきたのはお前だろうが。……もういい、さっさと行くぞ」


 先に歩き出す。「あっ、待って」ととてとて薫が後ろからついてくる足音がした。


「おおっ、センセイ車持ってたんやなぁ」


 健介の車を見て、薫は大げさに驚いた素振りを見せる。健介は運転席のドアを開けた。


「当たり前だろ。これで学校に通ってんだよ俺は」

「……車ん中で変なこと、せんといてな?」

「誰がするか。さっさと乗れ」


 健介は運転席、薫は助手席に乗り込む。「シートベルト締めろよ」と言ったあと、車を発進させた。


「そういえば今日は、これからどこ行くん? 待ち合わせ場所しか聞いてへんけど」


 車が走り出してしばらくした頃、妙にそわそわとしている薫が口を開いた。おそらく慣れない他人の車に乗って落ち着かないのだろう。


「……水族館だ」


 言おうか言わまいか軽く逡巡してから、健介は答える。薫の顔が意外そうになるのがわかる。


「すいぞっかん?」

「すいぞくかん、だ」


 もちろん映画館やショッピングモールなど、華やかな場所は少し遠出すればある。しかし現在の状況に対し、それらの施設はどうも不釣り合いなような気がしたのだ。健介自体が滅多に足を運ばないというのもあったし、学校の生徒たちと遭遇する可能性もあった。

 そういったことを考慮した結果、健介は導き出せた結論は水族館だった。近頃の子供はそういった場所に友達同士で気軽に足を運ばないだろうし、健介自身も何度か訪れているからだ。


「へえ、水族館かぁ。この辺りにそんなところがあるの、全然知らんかったわぁ」

「まあ車で三十分以上掛かるがな。それでもいいか?」

「ええよ。だってセンセイが選んでくれたんやし」


 視界の端に、何故かにやにやとしている薫が入ってくる。


「……なんだよ」

「いやぁ、別に。ただセンセイも、結構小洒落たトコ知っとるんやなぁって。おあつらえ向きのデートスポットやろ、水族館って」

「前に付き合ってた奴に、しょっちゅう連れて行かされたんだよ。出かける場所はそこしか知らん」


 イラっとして、つい口を滑らせてしまった。薫がこれまた大げさに驚愕の表情に作る。


「おい、今度はなんだ」

「……センセイ、彼女おったんやな……意外やわ……」

「お前の中で、俺はどんだけ徳が低い人物設定をされてんだ?」

「まあまあ、ええやんか」


 ぱんぱんと手を叩いて、薫は勝手に話を打ち切る。それから背もたれにもたれ掛かって、前の方に顔を向けた。車は町中を抜けて、海沿いの道路を走っている。日差しが若干眩しい。


「……センセイ、タバコ吸わへんの?」


 唐突に尋ねられた。


「あ? いいだろ別に。俺の勝手だ」

「とか言って、車ん中で俺が煙たくならんように配慮してるんやろ?」


 左膝貧乏揺すりしとるで、と指摘される。確かに無意識のうちに揺すっていた。家から車を出して、一本も吸ってない。普段ヤニくさい車内に消臭スプレーを撒き、芳香剤を置くという自分にしては珍しい行為を無駄にしたくないというのもあった。


「……違えよ。禁煙チャレンジ中なんだ」

「またまたぁ。ほんまツンデレやなぁ、センセイも」

「ツン……?」


 笑い出して崩した表情を、薫はすぐに引っ込めた。


「……そういうとこ、ほんま男前やわ」


 ぼそりとした呟きがもろに耳に入ってきてどきりとした。

 やけに真面目な響きに、居心地の悪さを感じる。ちらりと横に目をやれば、整った顔の少女が座っていた。尚更変な感じになる。

 何となく落ち着かなくなって、ごまかすために健介はアクセルを強めに踏み込んだ。


  ♂♀


「おぉーっ!」


 開口一番、薫は感心の声を上げた。太陽の光を受けてか、眼差しは爛々と輝いている。水族館の建物を前にした彼はあからさまにはしゃいでいた。

 ドームの入り口のように、丸みを帯びた湾曲な構造だ。壁は涼しげな水色で統一されていて、巨大な波を思わせる。出入り口の近くにはマスコットキャラらしきキャップを被ったイルカの像が出迎えをしていた。


「すっごいなぁ! 正にすいぞっかんって感じや!」

「まあ、水族館だからな」


 入る前から大騒ぎである。ひとまず健介はそんな薫を連れ立って、入り口でチケットを買い求めることにした。


「大人と子供、一枚ずつで」

「あっ、俺の分は俺が出すからええよ」

「いいよ、別に。計算とか面倒だしな」


 健介はそう言って二枚分のチケットの料金を受付の人に払い、チケットを受け取った。子供の方を薫に渡す。


「ほら、落とすなよ」

「おおきに。さすがセンセイやなぁ。女子のエスコートの仕方、ようわかっとるわ」

「うるさいな。ほら行くぞ」


 チケット係に自分たちのチケットを渡して、ゲートをくぐる。自動ドアを通ると、近代的なデザインのロビーに出る。全体的に青をモチーフにしたデザインで、落ち着く空間だった。


「はぇー。中はこうなっとるんやなぁ。俺、こういうとこ初めてやから新鮮やわ。センセイは何回も来とるんやろ?」

「まあな。……おい、甘宮。あんまり俺のこと先生って呼ぶなよ。あとその格好で、俺っていうのは違和感あるぞ」

「あっ……」


 口を押さえた薫が改めて自分の姿に目をやる。それから照れくさそうな笑みを浮かべた。


「でも今更ウチ、とか言うのも変な感じやんか。それにセンセイのこと、何て呼んだらええの?」

「んー、確かにそうだな……」

「ま、ええわ。ウチ、あそこの水槽気になるわ。行くで、健ちゃん!」


 そう言って薫は正面にある淡水魚の小さな水槽の元へ走っていく。


「……健ちゃんはないだろ……」


 呆れながら、健介は彼の背中を追いかける。

 さすがに日曜日だからか、館内は家族連れや時々カップルなどで繁盛していた。これなら自分たちの姿も特別目立たない。いちいち周りに気を遣う必要などなさそうだ。

 ……というのは、完全に健介の計算違いだった。


「おーっ! 見て見て! ここにでっかいエイおるでエイ! うわぁ、平べったぁ」

「うわっ、何かめっちゃ綺麗な魚が群れで泳いどるで! すごいなぁ、自然の芸術やぁ」

「おぉっ! カワウソやぁ! こいつって泳ぐの上手なんやなぁ。おっ、何か食うとるで!」


 何かを目にする度に、大体薫がこんな感じなのである。大声で感想を叫び、目をきらきらとさせる。周りから微笑ましそうにくすくすと笑い声が上がる始末だった。


 ――こいつをここに連れてきたのは間違いだったな……。


 早くもげっそりとする健介。しかし彼はどんな場所でもおそらくこんな調子であるだろうから、逆に言えば映画館などでなくてよかったのかもしれない。とはいえ、水族館の静かなイメージは台無しだった。


「おい、甘宮。もう少し静かに……」

「お? ごめんな、初めて見るもんばっかでテンション上がってもうて。今から抑え目に……って、サメやん! うおぉっ! デカっ! 喰われる喰われる!」


 舌の根の乾かぬうちに、薫は前方にある円型の水槽を泳ぐサメに食いついて騒ぎ出す。健介は頭を抱え、今すぐ他人の振りをしたくなった。


 ――でもこういう感じは、初めてかもしれないな……。


 ちらりとオーバーリアクションをとり続けている薫を見て、健介は思う。

 今まで付き合ってきた女性は、皆もの静かな人ばかりだった。あるいは無気力な健介に合わせて、あえてそのように振る舞ってくれていたのかもしれないが。

 この水族館が好きだった彼女も、そのカテゴリーに入る女性だった。主に小さな水生生物が好きで、彼らの泳ぐ水槽を眺めてじっと黙り込み、佇んでいた。まるでプラネタリウムでも見上げるようにぼんやりとした目をして。


「可愛いか、それ」


 と健介が尋ねると、


「わかんない」


 と本当にわかっていなさそうに言って、穏やかに笑っていた。一瞬目の前にある水槽にその笑顔が映ったような気がして、健介は首を振るった。どうにも目に焼き付いてしまっているようだ。


「おっ、外にセイウチとかアザラシがいるらしいで! 早う行くで、健ちゃん!」


 ふと我に返ると、案内看板を見つけたらしい薫が今にも走りだそうとしていた。


「あ、おい待て!」


 とっさに手が出ていた。彼の手を、掌の中に握り込んでしまう。


「えっ。あっ……」


 薫が立ち止まり、繋がれた自分たちの手を見た。途端。

 みるみるうちに彼の顔に色がつき、耳まで真っ赤になった。薄暗い館内でもその様子がはっきりと見て取れた。


「わ、悪い……」


 慌てて手を離す。あちこち走り回って体に血が巡り回っていたせいか、薫の手はほんのりと熱くなっていた気がした。活発なくせに白く、小さな手。何考えてんだ、と健介は目をぎゅっと閉じた。


「サメすごいねー」と話しながら家族連れが水槽を覗きにやってきた。だが二人の間だけ時間が止まっている。

「……あ、いや。あんまり走ってたら、スカート、めくれるぞ……?」


 必死に頭を巡らせて、ようやく出てきた言葉がそれだった。自分でもなんだそれは、と思う。

 だがそれで薫も自分自身がどんな格好をしているのか思い出したのか、はっとなりフレアスカートを押さえた。女性らしい仕草に健介まではっとなった。


「そ、そうやね……。気をつけるわ……」


 俯いて言いながら、彼は弱々しく手をこちらに差し出してきた。その意味が一瞬呑み込めず、健介は呆然とそれを見つめる。


「その……ウチ、また走り出すかもしれへんから。はぐれたらメンドいやろ……?」


 すがるような上目遣い。微かに動いた尻尾がスカートを押し上げるのが見えたような気がした。

 息を吐いて、健介はその手を再び掴んだ。


「……そうだな。ほら、セイウチ見にいくんだろ」

「うん……」


 妙にしおらしくなった薫を引き連れて歩き出す。

 手の中に感じる温度は、やはり熱いほどだった。


  ♂♀


 その後、セイウチとアザラシを見て回り、ペンギンショーなるものとイルカショーなるものを順番に観覧した。

 最初は大人しかった薫だが、徐々にいつも通り騒がしくなっていった。セイウチの大きな牙におののき、アザラシののんびりした風貌に悶え、ペンギンのよちよち歩きに感激し、イルカの芸達者さに心を打たれる。リアクション芸人顔負けである。

 おかげで健介も、ほとんど退屈だと感じる暇がなかった。横で誰かさんがひたすらに満喫してくれたおかげで、こちらまで実は楽しいではないかという気分になってきたのだった。


 ――って、何だよそれ……。


 ハンドルを握っていた健介は動揺する。危うく直進の道なのに左折のウインカーを出すところだった。

 フロントガラスには、夕日の赤い光が映り込んでいる。もうすぐ日が暮れる。水族館からの帰り道、健介は待ち合わせ場所だった駅に向かって車を走らせていた。

 助手席にそれとなく目をやる。静かだった。それもそのはずで、そこに座っている少女の姿をした少年は大いに眠りこけている。気持ちよさそうに目を閉じ口を開け、端からよだれをこぼした間抜けな寝顔。おそらくはしゃぎて疲れたのだろう。子供か、と思う。子供だが。

 車内には穏やかな寝息とタイヤの回る音が聞こえている。これだけ豪快な寝姿なのに、彼はいびき一つ掻かず静かなものだった。


 ――何か、落ち着かんな……。


 ちらちらと薫の姿を盗み見る。完全に油断しきった格好を晒す少女。ここまで素を見せつけられるのも変な感じだ。

 女という生き物は、男という生き物を前に百パーセントありのままの自分を見せることはないんじゃないだろうかと、健介は今までの経験上そういった印象を持っていた。


 ――まあ、こいつは男だけど……。


 そう、あくまで見た目上だけの話だった。目の前の少女の中身は血気盛んな中学生男児。当たり前だ、そんなことはわかっている。

 だが今日体験してきた中身と外見のギャップが、健介を混乱させているのも事実だった。こうやって黙っていれば薫は、楚々とした美少女そのままなのだ。だから脳が処理しきれない。


 ――あっ……。


 ふと、気づいてしまった。だらしない格好故に、彼の履いているスカートが大きくめくり上がっているのを。むき出しになった太ももは思いの外肉付きがよく健康的で、それでも真っ白だった。ムダ毛など皆無で、雪の平原状態だ。


 ――男のものとは思えないすべすべとしてそうな足だな……。って、俺は何を考えてんだ。


 思わず生唾を呑み込みそうになった自分に気づき、一度左手で額を殴りつけた。痛みで頭がはっきりしてくる。そのかわり、今感じたばかりの感情の動きの断片は残っていた。

心臓が微かに騒いでいる。


 ――いや、こいつは男だろ……。見た目に騙されるな……。


 動揺に動揺を重ねた健介は、訳の分からない自己暗示を繰り返すのだった。

 そうこうしているうちに、車は駅前についた。空は完全な夕焼けに染まっている。

 車が停まったにも関わらず、薫はまだ平然と眠り続けていた。仕方なく肩を揺さぶって起こす。


「おい、甘宮起きろ。着いたぞ」

「んあっ……? もう食べられへんって……」

「寝ぼけるな。駅に着いたぞ」

「おお、そか……」


 ゆるゆると目を開けた薫は、欠伸をしながらその場で大きく伸びをした。これまた無防備なポーズ。健介は目を逸らす。


「それで、結局どうだったんだ?」

「ん? 何が?」

「自分が女の格好してるのを誰かに認められたいかどうか確かめるために手伝えって、お前言ってただろ」

「……あー、あれなぁ」


 しばらく寝起きの顔でぼんやりしたのち、彼は「すまん!」とこちらに向かって手を合わせてきた。


「楽しすぎてそのへん、すっかり忘れてたわ」

「……だろうな」


 健介は座席にもたれてため息をつく。もちろんそうだろうということはわかっていた。わかってはいたが、どっと徒労感が湧く。


「悪かったって。俺、ひとつのことに熱中すると他が吹っ飛ぶタイプやねん。ごめんなぁ」

「いいよ、気にすんな……」


 ふとセレクトレバーのところに投げ出していた手に、ふわりと温かなものが覆い被さってきた。それが薫の手だと気づくのに少し時間が掛かった。彼はじっと真摯な眼差しでこちらを見ている。


「……ありがとな、センセイ。こんな俺に付き合ってくれて。今日もめっちゃ楽しかったし、感謝しとる」


 そう言って彼はにっこりと笑顔を咲かせた。夕日が当たり、それは本当に眩しく、鮮やかに、健介の目を焼き付けた。

 呼吸が止まる。心臓が強く脈打つ。


「ふえっ……?」


 気づけば健介は薫の肩を掴み、ぐっと引き寄せていた。顔と顔の距離が一気に縮みそして――当たり前のように唇と唇が、重なり合った。

 思っていたよりずっと柔らかで小振りな感触に、健介は背筋がぞくぞくとするのを感じていた。

 どれくらい時間が経ったのかはわからない。我に返った時、目と鼻の先に目を見開いて呆然としている薫の顔があった。


「……な、何してんの……?」


 絞り出すような声。彼は自分の唇に手を当て、震えていた。


「あ、いや、違う。これは……」

「ファーストキスやったのにッ!」


 大声で叫び、薫は助手席のドアを開けて飛び降りた。なりふり構わず駆け出していく。


「あ、甘宮……!」


 疾風の如く去っていく彼の後ろ姿を、健介は見送るしかなかった。夕焼けの下、何度も翻るスカートがやけに目を引いた。

 しばし思考停止する。そして健介は背もたれに身を埋めると、ポケットのタバコを取り出して口に咥えた。火をつけると、久しい苦みが広がっていく。

 どこかで見た状況だと思った。そうだ、とすぐ思い出す。最初に女装している薫に出会った時も、こうして逃げられたのだった。


「……まいったな」


 他に思い浮かぶ言葉もなく、紫煙を吐き出して健介はそう呟いた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 女装ショタの薫くんが可愛かった 主人公が寝ているショタのめくり上がったスカートから覗くフトモモに目を奪われる所やはしゃぎすぎてスカートがめくれるぞと言われた後、『微かに動いた尻尾がスカート…
[一言] 面白かったです。
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