表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シア薬剤店  作者: レレナ
プロローグ
1/35

第1話 薬売りの少女

完全な見切り発車です。

どういった展開になるか未定です。


 首都でもなければ主要都市でもない。かと言って片田舎でもない。首都や主要都市に住む者からすれば『しょぼい』『こんなモノ』。田舎の村からすれば『大都会』『あんな所に住んでみたい』。


 ここレーンは、そんな場所である。


 ランクで言えば下から『村』『町』『街』『地方都市』『主要都市』『首都』の中で『街』くらい。


 レーンは経済的には一応『地方都市』の分類になるが、規模で言えば『街』。


 と、言うのも四方を山に囲まれた盆地で十数年前までは、近場の山で樹を伐るか山の獲物で位しか産業が無かったのだが、偶然マタギが山奥で大規模なダンジョンを発見してからは、冒険者やトレジャーハンターが来るようになり、彼等が落とす小金で急激に発展したのだ。


 盆地とは言え、四方八方山と言う事も無く、山と山の間にはなだらかな道が元々あり、発見されたダンジョンも未だ未踏破なほど大規模だが徘徊しているモンスターも弱く、凶悪な罠も無い。


 初心者の冒険者やトレジャーハンターには非常にオイシイ場所だが、如何せん大して広くも無い盆地。小金は落ちるが街としての規模が拡げられない場所だった。




 街の中心を貫く川には大きな石材性の橋、川と垂直にメインストリートがあり、その中心には中央広場。街全体は石畳だが、川べりは剥き出しの土舗装。


 この街で商売するに有利なのは、店舗を持った商会、メインストリートの個人商店、中央広場の行商人と順になり、中央広場から離れるほど不利となる。


 土舗装の川べりは不人気であり不利だが、中央広場付近の川べりだけは例外。


 ことり。


 中央広場付近の喧騒も微かにしか聞こえないほど離れた川べりの土の上に直に座り、手元には河原から拾ってきた拳大の石に掌サイズの板キレを立てかける少女。


 板キレには中央に大きく『薬』。左下には申し訳程度に『シア薬剤店』と炭で擦り付けただけ。


 文字を彫ったわけでも無く、浮かし彫でもない。板キレもその辺の廃材だろう。


 薄汚れたフード付きのローブを身に付けたその少女の名前はシアと言った。歳のころは10歳くらい。


 今はまだ早朝。朝モヤもまだ完全には晴れていない。中央広場付近ならこの時間の早朝でも人々の喧騒があるが、中央広場から離れたこの場所では、まだだれもいない。


 シアは、しばらく川の流れをぼんやりと眺めていると、三々五々、中央広場付近に露店を出す事の出来ない立場の低い売り子達が集まって来る。


 さらにぼんやりと時間を潰し、朝モヤもすっかり無くなったころ、じゃりっとシアの前に誰かが来た音がしてシアは振り向く。


 3人の冒険者。


 シアは一目で彼等の素性が解った。そういう格好をしていたからだ。おそらくこの後ダンジョンに向かうのだろう。


 かなり痛んだ革鎧。腰には丸い木の盾とさほど長くない剣。ショートソードと言うものだとシアは最近になって知った。知識は有っても実物を見た事は無かったし、どの長さからロングソードになるのか解らなかったからだ。


 3人共似たような格好。魔法使いはいないようだ。元々魔法使いがいないのか、パーティー内には居て今ここに居ないだけなのかは解らないが。


 シアはぺこりと頭を下げた。


 先頭にいた冒険者が何かを言ってきたがシアには彼等の言葉が解らなかった。


 言葉の中に『ポーション』と言う単語をが聞き取れてポーションが欲しいのだと判断する。


 「ポーション。無い。」


 シアはそう言って木切れを渡す。


 木切れにはシアが扱う粉薬の名前と値段が炭で書かれている。


 冒険者は怪訝そうな顔で木切れを受け取るとそれを見ると、またシアに何かを言ってきたが。


 「ポーション。無い。薬。それだけ。」


 冒険者は木切れとシアの話し方で、シアがあまり会話が出来ないと理解したのだろう。ニヤニヤとした表情で、木切れのに書かれている商品名を指差し、地面に金額を書く。


 値下げ交渉だ。冒険者はシアを見て計算も出来ない様な子供と見て希望の金額を提示して来る。冒険者の提示金額は、シアの提示した金額の1/5以下。馬鹿にした態度かがありありと出ている。


 「金額。不満。ある。買わない。構わない。」


 こういう手合いがシアには一番困る。シアはこの世界に来て一年ちょっと。商売上必要な単語は何とか覚えたが、キチンと伝わっているのか解らないからだ。


 断ったのが伝わったのだろうが、冒険者は怒り出した。腰から鞘ごと剣を取り出し鞘の先で地面の金額をガシガシ示す。


 結構長い間シアと冒険者は値段交渉していたが、隣で売り子をしていた中年の女性が二言三言冒険者に何か言うと冒険者は帰って行った。


 冒険者が帰った後、中年の女性はシアに何かを言ってきたがシアには何を言っているのか解らなかった。ただ、優しげな顔だったからシアを助けてくれたのだろう。


 シアは、ぺこりと中年の女性に頭を下げた。

サブタイトルに話数をいれました。


8/18 初校のままでは、シアの人物像とかが解らないので、説明とか増やしました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ