8話 大きくなったな、総一郎45
JVA本部からの帰り道で、総一郎はヒルディスとその場で別れる振りをした。JVAからの監視があったのはすぐに分かったし、数分程度でそれも外れたのが分かって、好都合だが横着だとも思った。
それからすぐ、人気のない道で合流を果たした。ヒルディスは人の姿から亜人の姿に変わっていて、その上で先ほどとは別の装いで居た。カバラで伺い知るに、総一郎よりもよほど追跡がしつこかったようだ。二度の変装が経られたと知って少し可笑しかった。
「助かったよ。本当にちょうどいいタイミングで来てくれた。それに、リッジウェイ警部の襲撃作戦についても、知れて良かった」
「気にすんな。姐さ、あの天使風情から不意に呼び出されてな。あのアマ弱み握って強請ってきやがったから、仕方なく情報を集め、今日この場にはせ参じたって訳よ」
「白ねぇが……」
総一郎はその言葉をきっかけに強い虚脱感に襲われた。しばらく会っていない。白羽だけでなく、ローレルにも。ナイとはすれ違う事もあるが、それだけだ。
会いたい。総一郎は思う。そんな思いの余り涙さえ滲んでいる自分に気が付いて、情緒がおかしくなっていると精神魔法のアプリを起動した。
崩れた脳内物質のバランスを通常のそれになり、冷静に戻る。総一郎は「それで」と話を変えた。
「ヒルディスさんはどうするの? その、警察との総力戦に当たって、どう参加するのかって話だけど」
「そうだな。ARFか、さもなきゃJVAに所属しなきゃならねぇ。だが非ジャパニーズのオレからすれば、ARFしか選択肢はなさそうだ。あの天使風情が居ないARFなら戻れるが、こっちも無責任に何か月も空けてた身。今更副リーダーの立場を返せ、なんてのもな」
スケープゴートにもされたしよ。そうニヤリ笑いかけてくるヒルディスに「悪かったよ。乗ってくれて本当に助かった」返す総一郎だ。
「オレの察しが良くてよかったな。そんじょそこらの奴じゃあ、あの場は切り抜けられなかったろうぜ」
「まったくだよ。以前と今じゃ状況もガラリと変わったしね。――今のARFはかなりクリーンな組織だし、それを望まれてる。JVAと組む以上は、独断で犯罪めいたやり口はやれないんだろうね」
「つまり、そういう活動を行うオレは、受け入れられないってことか」
「うん。残念だけれど」
表向きはね、と付け加える。ほう、とヒルディスが反応する。
「分かった。歩きながら話そう。新本部はこっちだったな?」
「うん」
連れ立って進む。進みながら思う。楽だな、と。多くの決断を迫られる立場の今の総一郎にとって、決めてもらえる、というのは気楽でいい。
安心感、安定感。そういうものが、ヒルディスにはあった。同い年のヴィーを娘に持つだけあって、父らしい決断力を備えている。
父。随分会っていない。もう、顔もおぼろげだ。だが、少し前まで毎日行っていた修練では、毎日のように会っていたようにも思う。脳裏に浮かぶ父は、笑っていた。
今は、修練そのものを行っていない。そんな時間はなかった。もう何日寝られていないのかもわからないほどに忙しいというのに、習慣に割く時間など。
「おい、大丈夫か? 急に黙り込んで」
「え、あ、いや……」
少し考え事をしただけだよ、と誤魔化す。それから、最近はずっとこんなだ、と嘆息する。少しでも集中力が途切れると、思考が明後日の方向に走り出すのだ。そうなると、止まれない。誰かと話している、というタイミングですらそうなる。
それは、総一郎が弱いからか、あるいは。
「仲間が居るのに、孤独なんだ。まるで、あの雪山の時みたいに」
「あ? 何の話だ?」
「え……? 俺、何か言ったかな」
「ああ、言ってた。孤独だ何だってな。見た感じ体は元気そうだが、表情に歪さが見える。ソーイチロ、しばらく休んでないな?」
その一言に、総一郎は激昂した。「君も、休めだのなんだのと言うのか?」と、口調こそ静かなままに問い詰める。
ヒルディスの答えはこうだった。
「いいや? 立派なことじゃねぇか。男にはそうしなきゃならねぇ時もあるよな」
「……ぇ、うん……」
肩透かしを食らって、総一郎はパチクリとまばたきを繰り返した。「何だよ、変な顔しやがって」と言われ、「いや……」と咳払い。
「それで、ヒルディスさんがもし仮にARFに戻ってくるなら、っていう話なんだけど」
「あー待て待て、当てる。――相談役、もしくは別組織としての形を保ちながらの汚れ仕事担当。このどっちかだろ」
「はは、惜しいね。正解はどっちも」
「カーッ、それなら正解だろおい! クソ」
冗談めかして悔しがるヒルディスに、総一郎は笑った。笑ってから、何日ぶりに可笑しくて笑ったのだろうと思った。
「となると……中々に仕事がありそうだな。ひとまずARFについたらソーイチロが抱えてるタスク一覧見せてもらえるか。オレの方で回せそうなもん全部持ってくからよ」
「それは、」
助かる。とても。助かりすぎるくらいに。
だが、良いのだろうか、とも思う。そうやって多くを任せて、上手く行かなかったら? どれだけの亜人を助けられなくなる。ここまでのARFの努力は。思考が硬直しそうになった時、ヒルディスは言った。
「ま、長年回してきた熟練のチームだ。キャパ限界まで高速で回して疲弊なし、なんてのが常のメンバーだから安心してくれていい。それに、ソーイチロも突撃前には流石に休んでもらわなきゃだしな」
「っ。さっき休めなんて言わないって」
「あ? 言い方が気に食わねぇんなら『備える』でどうだ。それとも、今の鈍い頭でリッジウェイに勝てるとでも?」
挑発的に言われ、総一郎は「勝てるさ」と豪語した。休んでなどいられないのだ。期限が刻々と迫っている仕事ばかりで、移動を兼ねているからこうやって話せているに過ぎない。
しかしヒルディスは鼻で笑った。
「ハッ、言うじゃねぇの。なら、リッジウェイよりも恐らく弱い、だが中々に仕上がってきたウチの秘蔵っ子とやり合ってもらおうか。それで勝てれば仕事を続けていい。だが負けたら拘束してでも休んでもらうぜ」
「ヴィーでしょ、上等だよ。俺が何年戦い続きの日々を送ってきたと思ってるんだ。いくら無敵みたいな力がある彼女だって、数分で片づけて仕事に―――」
衝撃。見くびっていた。総一郎ははっきりそう思った。
スラムの中でも、現在使われていない廃工場はいくつかある。その内の一つで、総一郎はヴィーに打ちのめされていた。傷はない。だが、足腰に来ている。立ち上がれない。
「イッちゃん、随分弱くなったわね。私が強くなったの差し引いても、弱くなってる」
その眼前で、杖をくるりと手元で回して肩を竦める少女が居た。赤髪麗しき魔女。ファイアーウィッチ、エルヴィーラ・ムーン。彼女は、退屈そうに目を細め、這いつくばる総一郎を見下ろしている。
そこに、遠くからヒルディスが声をかけてきた。
「ヴィーラ、ソーイチロは今まで二十日間近く睡眠なしで仕事をこなし続けてたんだ。もうちょっと手加減してやれ」
「ごめんイッちゃん、弱くて当然だと思う。っていうかそういうことは早く言いなさいよ! 結構ガチで殴りつけちゃったじゃない!」
ヴィーはヒルディスに大声で文句をつけた。しかし娘の怒りなど慣れっこなのだろう。豚の悪魔を惚けた顔で肩を竦めるばかりだ。
総一郎はヴィーの言葉を反芻する。殴る。そう、杖で殴られただけだったのだ。以前のように、彼女は火を使わなかった。使うまでもなかったのだろう。しかし以前と違って何倍も早くなった一撃を、総一郎は受け流せなかった。その衝撃で、こうなっている。
「まだ、まだ……」
総一郎は震える足で立ち上がった。ヴィーはそれを見て「えぇ、私疲れてる相手に追い打ちとかしたくないんだけど」と嫌がってヒルディスを見る。
しかしヒルディスは、「やってやれ」と言った。
「……分かったわよ。イッちゃん、こうなったからには手加減しないわ。全力で行くから、死ぬ気で捌いて。じゃなきゃ、死んじゃうわよ」
言いながら、ヴィーは踏み込んだ。それだけで、地面がめり込み、放射状にひびが入った。直後、ヴィーは眼前にて杖を振りかぶっている。総一郎は木刀を翳した。
受け流す、には僅かに遅かった。吹き飛ばされる。だが、今回はそれで終わらなかった。ヴィーが杖で地面を突く。途端総一郎の足元が赤熱し、火炎となって打ちあがった。
寸でのところで避ける。それから、荒れる息を吐きながら、ヴィーは本当に手加減なしで来ていると理解した。事実、凝視と言えるほどの鋭さでこちらを見つめている。
視界が定まらない。気分が悪い。出来るはずの動きが出来ない。少し激しく動いただけなのに冷や汗が止まらず、全身にガタが来ている感覚があった。
辛い。こんな状況で、戦えない。
「ソーイチロ。まだやるか?」
ヒルディスに言われ、総一郎は睨むように彼を見た。だが、あの悪魔も動じずにじっとこちらを見つめている。
「当たり前だが、リッジウェイはヴィーよりも強いぞ。以前のお前はある程度やり合えてたようだったが、それでも互角かどうかってところだったって聞いてる。そんな相手と、お前はそんな疲れ切った状態で戦えると思ってるのか? リッジウェイをなめ過ぎてないか?」
「……でも、休むわけには。俺が、俺がARFを引っ張って行かなきゃ……!」
総一郎は四肢に力を入れて、立ち上がろうとする。だが、力が入らず崩れてしまった。何故、と思う。どうしてこうも上手く行かない。生物魔術用にも用意した自動詠唱アプリを立ち上げようとしたが、うまく作動しない。
「んお、珍しい現象を見たな。魔法拒否か。お前に力を貸してた亜人連中も、今のお前には力を貸せねぇってよ」
「なに、それ……。意味が、わからない」
「日本人ってのは亜人から魔法親和力ってのを受け取って魔法を使ってるんだろ。つまり、亜人の魔法を借り受けてるわけだ。ならと当然、亜人側が『やっぱ力貸さねぇ』って首を横に振ったら、魔法は発動出来ねぇよな」
「……? そんなはず、だってそれなら、ウッドだった時、虐殺を繰り返してた時、魔法が使える訳が……」
総一郎は、理解が出来ないという顔でヒルディスを見つめた。一方ヴィーはもう戦う気がないらしく、近づいてきて総一郎を助け起こそうと手を差し伸べ、言った。
「その時は、まだイッちゃんに力を貸したかったんでしょ。どんなに暴れてても、そんなイッちゃんを肯定してた。でも、今のイッちゃんは自分から壊れてってる。あなたを好きだった人ほど、今のあなたは認められないわ」
「……そんな」
総一郎はふるふると首を振って理解を拒絶した。ヴィーの推測は外れている。そんな訳がない。
けれど、ヴィーは総一郎の曖昧な否定を許さなかった。「そんな、何? 言いなさいよ」と総一郎の腕を掴んで引き上げる。
総一郎は、抵抗しながら言った。
「俺に、そんな価値がある訳ない。まっとうな人なら、ウッドとして暴れる俺を見た時に幻滅してるはずだ。力を貸そうだなんて思えないはずだ」
「イッちゃん、それ、ARFのみんなに言える? みんなに助けられて、イッちゃんはウッドから元に戻ったって聞いたわよ。それはイッちゃんのためでしょう?」
「みんなが俺を助けてくれたのは、みんなが優しかったからだ! 俺に助ける価値があったからじゃない。俺じゃなくても、みんなはきっと助けた。その証拠に、みんなは今でも亜人全員を助けようと奔走しているじゃないか」
「それを引っ張ってるのはイッちゃんじゃない。イッちゃんが誰よりも頑張ってるから、みんなも頑張ってるんじゃないの?」
「違う。俺は、そんなんじゃない。罪滅ぼしみたいなものなんだ。俺は、壊れてもいい。だって、そうじゃないか。白ねえっていうすごい、本当にすごい人から、ARFを任されたんだ。死ぬ気でやらなきゃ、どうにもならない。けど死ぬ気でやれば、少しくらいは白ねえと同じくらいにやれるかもしれない」
「だから、イッちゃん本人は犠牲にしたっていいって?」
ヴィーの言葉に幾人かの顔がよぎる。白羽、ローレル、ナイ。彼女らのことを考えて、総一郎は自発的に死ぬという選択肢を捨てた。償う事を止め、償わされるその瞬間を待つことにした。
だが、今していることはどうか。総一郎は自壊しながら、白羽の目指した道へと突き進んでいる。それを、どう判断すべきか。
「……死ななければいい」
総一郎は、視線鋭く、口端を引き締め、答える。
「だましだましでも、少しずつおかしくなっても、死ななければいい。俺のために泣いてくれる人から居るから、死ぬことは選べないけれど、苦しむ分にはいいんだ」
その為の大義名分はあるんだから。総一郎は、言って視線を背けた。
そこで、ヒルディス親子は揃って溜息を落とした。それから「こう言ってるが、どうする」とヒルディスが何者かに言葉を投げかける。
総一郎は、彼の視線に従って首を動かした。凍り付く。
「なるほど……ソーはそう考えているんですね」
冷ややかな目で、離れた場所からローレルが総一郎を見下ろしていた。総一郎は、何も言えなくなる。今一番会いたい相手の一人に、最も会いたくないタイミングで対面して、思考が乱れてしまっている。
「え、あ、ローレル、何で君がここに。今日君は、薔薇十字で資産運用チームの……」
「外れました。ソーが、とっても、頑張ってくれているので、こっちは非常に楽ですから。私一人外れても問題ありません」
総一郎は、それを聞いてこう零した。
「……そっか。それは、よかっ」
「何がいいんですか」
食い気味にローレルは問い返してきた。カツカツと近づいてくる彼女を見ながら、総一郎はヴィーに引きずり起こされる。
「だって、君は楽なんでしょ? それは、いいことじゃないか」
「馬鹿ですかソーは。監視カメラの記録確認して私、言葉を失いました。18日ですよ。18日、あなたは寝ていないんです、ソー」
「へー……そんなに寝てなかったんだ」
何とかなるものだね、と言ったら、至近距離にまで至ったローレルが総一郎の顔を両手で挟んだ。非常に力が強くて、ちょっと痛いくらいだ。
「あの……ローレル?」
「何とかなってますか? 本当に何とかなってますか? 私の目を見て言ってください。もう一度、何とかなったと」
表情こそ真顔のままながら、ローレルから感じる圧は体験したことのないレベルだった。流石に思考のまとまらない総一郎でも、その怒りを理解し始めて「いや、その……」と口ごもり始める。
「だ、だって、俺一人がちょっと辛い思いをするだけで、みんなの仕事が簡単になってるんでしょ? それは良い事だよ、うん。実際、俺が今この瞬間死にかけって訳でもなし」
「死ななきゃいいなんて考えで、いいと思ってるんですか!?」
ローレルに怒鳴りつけられるなんて想像もしていなくて、総一郎は何も言えなくなった。ローレルは唇をわなわなと震わせて、総一郎の顔に触れる手を肩に下ろして強く掴んでくる。
「私、油断してました。ソーが、こんな、こんなお馬鹿さんだなんて、思ってませんでした。やっと自分に上手く言い訳して、罪悪感と折り合いをつけて死にたがりを止めてくれたと思った矢先に、これですか」
「え、あ、……なんていうか、ごめん」
ローレルは、目を細めて、睨むと見つめるの中間のような瞳で、問いかけてくる。
「何に、謝っているんですか?」
「え、何って……」
「何に謝っているか、はっきり言ってください。それがはっきりしなければ、私は謝罪を受け入れません」
総一郎の鈍った頭は、そこまで明確に述べることが出来ない。自分自身ですら何も分かっていないのだ。だが、こういうときにどうすべきかというのは習慣として出来ていた。手を動かし、視界の端に常駐する精神魔法アプリを起動すればいい。
だが、精神魔法は発動しなかった。先ほどの通りに。それも見越して、ローレルは止めもしなかったのだろう。そのままの体勢で、こう迫る。
「今のあなたに聞きたいんです、ソー。狡猾にスケジュールを組んで、私にも、お姉さまにも会わないように三週間弱も自分を追いこみ続けて、限界に達しようとしている今のあなたに」
「あ、え、えと、その、だから……」
総一郎は、精神魔法アプリに頼れなくなって半ばパニックに陥った。冷や汗がダラダラと流れ出し、手足が震え始める。
「辛いですか? 休みたいですか?」
ローレルに問いかけられて、総一郎はふるふると首を横に振った。それから精神魔法アプリを起動するも、魔法親和性は、かつて加護を結んだ亜人たちは応えない。
「辛くも休みたくもないなら、なんでこんな簡単な質問にも答えられないんですか? あなたは何に謝っているんですか、ソー。そもそも、ついさっきに自分が謝った事も覚えていませんか」
「なに、ローレル、なにいってるかわからないよ」
「ソー、人間は、休まなきゃおかしくなるんです。魔法に頼って無理をしても、いつか破綻するんです」
「ちがう。ちがう! やすんじゃならないんだ。俺は、まだやることが」
「あなたのやることは、ちゃんと全員に仕事を振れたなら今ほどは無いはずなんです! あなたは確かに非常に優れた人ですが、マネージャーとしては無能もいいところですよ。人に任せられない人が、どうやって組織を引っ張るって言うんですか」
「でも、みんなを無理させるわけには、いかないよ。無理するのは、俺だけでいい」
「そんなこと私が認めません。ソー、私はあなたに幸せになって欲しいんです。あなたの幸せを妨げるのならば、私はたとえあなたでも敵になるんです」
「っ……」
総一郎の胡乱な思考が千々に乱れる。総一郎はふるふると首を振るしか出来なくなって、「でも、でも」と渋るばかり。
その様は、まるでぐずる幼児のようだった。総一郎は、その自覚も持てないほどに衰弱していた。そこに付け入る形で、きっとローレルは総一郎を説き伏せ、強引に休ませようとしたのだ。
だが、その目論見は一通のメールで阻止された。
「……えっ?」
総一郎は、通知音に反応して反射的に視界の右端に目をやった。電脳魔術で表示されたその通知内容に、背筋に寒いものが降り、一気に思考が明瞭になっていく。総一郎は口を噤み、ローレルを見た。
「……ソー?」
「ローレル、ごめん。放してほしい。それから、ヒルディスさん。今日の仕事だけでも、お任せしていいですか?」
「お、おう。そりゃ構わねぇが……、急にどうした。やっぱ休む気になったか?」
総一郎は、その質問に答えなかった。ただ、知った情報を共有した。
「白ねぇの体調が悪化した。傍に、ついていたいんだ」