一、手紙
コチラの小説はフィクションであり、実際の名前、世界等は存在しません。
コチラの小説は戦闘シーン等も入るお話しです。
そこの所を御了承お願いします。
神風司 拝
何処までも続く漆黒の闇。
そんな空間に一人の少年が立っていた。
人の声や水音、ましてや風でゆれる木々のせそらぎの音も、全てが静寂と闇に支配されていた。
少年はその場に膝をつくとゆっくりと手を地面につけた。
手からは地面の暖かさも冷たさも何も感じてはこなかった。
少年はうつろな瞳でただただ一点を見つめている。
「もう少し…。あともう少し手を伸ばしたらとどきそうなのにな…」
手をゆっくりと地面から離すと少年は呟き空を見上げた。
空には星も、月も、何も存在はしない。
少年は目を細めると1つ溜め息をついた。
その刹那。
───い。
空間から声の高い少女のような声が響いた。
少年はゆっくりと顔をあげると辺りを見渡した。
「だれだ?」
少年は空へと問いかけてみるが、返事はなかった。返事のかわりに笑い声が聞こえる。
せ……ぱい──。
少年は少女の声に耳を傾けた。
少女の声は1つ、また1つと声を出す旅に大きくなっていく。
せ…ん…ぱ……い。
少年はやっと言葉が聞き取れるとふと笑みを浮かべた。
この声の主は
「先輩」
と呼ぼうとしていたのだ。
少年はこの声の高い声に聞き覚えがあった。
「この声は確か…。」
少年はゆっくりと瞼を閉じる。
その刹那。
何かが少年の頬をくすぐた。
少年はゆっくりと瞳を開いた。
目の前に広がるのは雲が1つもない爽快な空。
少年はゆっくりと視線を横へと向けた。少年の隣には少女が居た。
少女のは明らかに不機嫌そうな表情を浮かべていた。
「おはようございます、先輩。や〜とお目覚めですか」
「お前か…。ったく俺の昼寝を邪魔するなよ」
少女は少年の発言により、先程よりも機嫌を悪くした。
そしてぬいぐるみをどこからか取り出すとそのぬいぐるみを少年の頭をめがけてふりおろした。
ボン──ッ。
けいきの良い音が庭中に響いた。
少年ははたかれた頭を撫でながら少女をみる。
「酷いですっ!私はせっかく仕事がきた、て知らせに来ましたのに…。先輩は私を邪魔扱いしますし私の事を『双樹』って読んで下さらないし…。」
少女はおよよよと泣き真似をしながら涙を制服の裾で拭う仕草をした。
少女は桜月双樹。少年の1つ年下。つまり後輩だ。
双樹と少年は一緒によろず屋。いわゆる頼まれたら何でもする『何でも屋』を経営している。
双樹が言う仕事とは『よろず屋』の仕事の事だろう。
少年は頭を書くと面倒くさそうに少女を見つめた。
「悪かったな双樹。だけどなお前だって俺の事を『由紀』って呼んでくれないだろうが」
「だって先輩は先輩ですから♪」
双樹は人差指を立てると微笑んだ。
由紀は一瞬きょとりとした表情を浮かべていたがやがて喉の奥で笑うと双樹の頭を乱暴に撫でた。
「やっぱり面白い奴だな。……で?仕事の内容は?」
双樹は由紀からの問いかけにはっと思い出すと慌ててノートを取り出した。
ノートには何個もふせんがつけられていてふせんには日付が記されていた。
双樹は今日の日付が書かれたふせんの先を掴むとそのページを開く。
「えっと……、依頼者は花園可憐さん。という方で依頼内容は家にてお話ししたい、という事です。」
双樹はノートに挟まっていた紙を取るとパタン、とノートを閉じ、紙を由紀に渡した。
紙には依頼者の名前と住所が記されてあった。
双樹はニッコリと笑みわ浮かべると由紀へと視線をうつす。
「どうしますか、先輩。この依頼、受けますか?」
双樹の問いに由良はニッと笑うと手を後頭部へとまわした。
「もちろん受けるに決まってるさ。行くぞ、双樹」
「はい、先輩♪」
双樹は嬉しそうに微笑むと由紀の後についていった。
これから先、起こる事等全く気づきもせずに…。
皆さんこんにちは。神風司です。
初めての方ははじめまして!初めてではない方はお久しぶりです。
さて、Pocket☆Heartが始まりました!
この話ではまだ由紀と双樹は飛ばされませんが、次回の話では別世界に飛ばされています。
別世界に居るキャラ達は次回出てきますのでお楽しみに♪
では此処までお読みいただきありがとうございました。
またお会い出来る事を願って…。