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路上の猫  作者: ぽむ
1/2

Street girl

「壊しちゃえばいいじゃん。ぜーんぶ」

 その少年に初めて出会ったのは、暗い森の中だった。

 身長は私とほぼ同じくらい、体のラインもほっそりとしていて、はじめ見たときは暗いこともあって女の子かと思った。


「何を悩んでいるの?」

 その少年は、なぜだか楽しそうな声で言った。

「悩んでる? 私が?」


 内心、男の子の声がして驚いていたが、私はそう返した。

「そうだよ、君の心が何かを欲しているのが分かるんだ」

 少年はクスクスと笑う。

 こいつは何を言っているのだろう、とそう思った。


「私が何かを欲しているだって? そりゃ、人間なんだし欲しいもののひとつやふたつぐらいあるよ」

「例えば?」

「えっと……今はとりあえず服が欲しいかな」

「そうじゃない」

「えっ」

 気づくと、少年は私の目の前に立っていた。


「君が欲してるのはそんな曖昧な物じゃない、もっとハッキリしたものだろ?」


 闇の中から暗く、重い二つの光が私を見つめている。

 もう何がなんだか分からない。

 そもそも、さっきからこの少年は何を言っているのだろうか。

 私はなぜこんな森の中に居るのだろう。


 様々な疑問が私の頭の中をグルグルと回りだしたとき、少年はまたクスクスと笑って「まあ、そう焦らせなくてもいいか」と呟いて私から離れてもりの中へ歩き出していった。

「君は起きな。もう朝だよ」


 少年の背中は、もう闇の中に消えて見えなくなっていた。

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