Drop.020『 CocktailGlass〈Ⅱ〉』【1】
もどかしいほどにゆったりと互いを味わい合う中――、ふと、花厳が言った。
― Drop.020『 CocktailGlass〈Ⅱ〉』―
「――そういえば、桔流君。――今更だけど、今日はもう、この後の予定はないのかな?」
問われた桔流は、吐息を零す柔らかな艶を花厳の親指になぞられながら、蕩けた瞳で言う。
「はい……。――今日は……仕事だけなので……」
「そうか。それなら良かった」
花厳は、それに目を細めて微笑むと、桔流の頬を撫でながら言う。
「でも……、イヴまで仕事なんて、大変だね」
桔流は、その花厳の手に心地よさそうにすると、ゆるりと笑った。
「ふふ。俺が好きで、毎年出てるんです。――クリスマスもそう」
花厳は、次いで、そんな桔流の首筋をやんわりと撫でながら問う。
「そうなんだ。――じゃあ、明日も仕事なんだね」
その花厳からやんわりと与えられる刺激に目を細めながら、桔流は応じた。
「はい……」
すると、花厳はそこで、
「――なら……」
と、言うと、桔流の肌を愛でる手を止めた。
「?」
それに、不思議そうにすると、桔流は、花厳に瞳で問うた。
花厳は、目を細めると、悪戯っぽい表情で続ける。
「この続きは……、明日、――仕事が終わってからの方がいいかな?」
すると、それに応じる様に色を含んだ笑みを浮かべた桔流は、ゆったりと花厳に身を寄せ、やんわりと口付けては、触れ合わせたまま言った。
「イヤです……。今シてください……」
花厳は、それにまた目を細めると、薄紅から覗く誘いをひとつ絡め取るようにしては、言った。
「こういう時の桔流君は、特に強請り上手だよね。――凄く可愛いよ」
桔流は、そんな花厳を、熱を帯び始めた瞳で見つめ返すと、微笑んだ。
「ふふ。そう言う花厳さんは、こういう時、――意地悪になりますよね」
花厳は、それに笑って言う。
「あぁ、そうだね。ごめん。――桔流君が可愛いから、ついね。――反省するよ」
それに、桔流も楽しげにすると、またひとつ啄むようにして言った。
「反省は、しなくていいです……。――俺、花厳さんから意地悪されると、逆に興奮するので……。――だから、もっと意地悪してくれても、いいですよ……」
花厳は、そんな桔流に、愛おしげに笑む。
「それは駄目だよ、桔流君。――俺は単純なんだから、あまりそういう事で喜ばないでくれ。――君に悦ばれると、善くない性癖にまで目覚めそうだから」
桔流は、それにも楽しげに笑った。
「本当ですか? ――それは、楽しみですね……」
そんな桔流に苦笑すると、花厳は、
「楽しみにするのも禁止。――こういう時の桔流君は、いけない子だな」
と言い、またやなわりと口付けながら桔流の腰にその手を添えると、優しく言った。
「おいで――」
その低い声に誘われた桔流は、抱き寄せられるまま花厳の首に腕を回すようにすると、その膝に跨ぎ乗る様にしては、すっかりと仕上がった熱を寄せた――。
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そうして、ソファで蕩け合ったひと時の後。
未だ冷めやらぬ熱を宥める様にやんわりと食み合う中、花厳は言った。
「――そうだ。桔流君。――明日は、俺もお店に行って大丈夫かい? ――もちろん、一人のお客さんとして。――せっかくなら、クリスマスの夜も、君と同じ場所で過ごしたいなと思って……。――迷惑かな」
そんな花厳に、桔流は嬉しそうに言った。




