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Drop.019『 CocktailGlass〈Ⅰ〉』【5】
「そう? ――じゃあ、俺が先に選んでもいい?」
桔流は、不思議そうにする。
「え? 花厳さんが選ぶんですか?」
花厳は頷く。
「うん。――実は、今の俺の前には、ちょっと特殊な選択肢があってね」
桔流は、それに、首を傾げる。
「“特殊な”……? ――どんな選択肢ですか?」
花厳は、そんな桔流を優しく抱き締めると、耳元で言った。
「――逃がさない」
桔流は、その花厳の声に全身が熱を帯びるのを感じた。
「――そういう不意打ち……、ずるいですよ……。――でも、そうしてほしいです。――俺の事。もう二度と、離さないでください……」
花厳は、そんな桔流を抱き締めながら、艶やかな髪にそっと口付けると、言った。
「任せて」
それに、桔流も身を寄せるようにする。
「嬉しいです……」
花厳は、その桔流をさらに愛おしげに抱き締めると、次いで、そっと身を離しては、愛を紡ぐ艶をやんわりと塞いだ。
そんな二人は、それからしばらくの間――。
ゆったり食んでは、やんわりと食まれながら、互いの欲心を焚き付け合った――。
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