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恋に不器用なケモミミBL♂溺愛イケ甘ダリ黒豹×恋愛難美人バーテン雪豹『ロドンのキセキ◆瑠璃のケエス◆輝石ノ箱ヨリ◆芽吹』全21話  作者: 偲 醇壱
◆ Shake ◆

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Drop.018『 Shake〈Ⅱ〉』【1】

 

 

 

 桔流(きりゅう)の問いに、花厳(かざり)は確かに頷き、はっきりと謝罪の言葉を述べた。

 それが、すべての答えであった。

 桔流の予感通り、やはり“あれ”は、以前のものと同じ、あの“瑠璃色”であった。

 つまり、花厳と例の元恋人は、何かしらの経緯の果て、復縁する事になったのだ――。

 

 

― Drop.018『 Shake〈Ⅱ〉』―

 

 

 ――実は、俺。

 ――今度、改めてプロポーズするんだ。

 あの晩。

 桔流が遮った言葉の先に紡がれるのは、そんな告白であったのだろう。

 ――だから、もう君とは居られない。

 さらには、そんな言葉も添えられたのかもしれない。

「――………………」

 桔流の視界は白く染まり、眩暈を生じた。

 真っ白なヴェールの隙間から覗く廊下は、微かに揺らぎ始める。

 桔流は、その中、なんとか溢れそうになる感情を堪えた。

(なんだ……。やっぱりこうなるんじゃねぇか……)

 運命に弄ばれ、つい希望を抱いてしまった悔しさに、桔流は奥歯を噛みしめる。

(好きになんて……、なるんじゃなかった……)

 どうせ、誰かを好きになっても、こうして辛い結末を迎えるだけなのだ。

 希望など、抱くものではないのだ。

(もういいや……。答えは出たし、全部終わった。――もう……帰ろう……)

 桔流は、大きな落胆の中、この場から立ち去るため、振り返ろうとした。

 だが――、出来なかった。

(何してんだよ……。――もう、全部終わっただろ……)

 桔流は、溢れそうになる想いを必死に堪えながら、振り返ろうとする。

 しかし、桔流の身体は、指先ひとつすら、桔流の意志に従おうとしない。

(なんだよ……。希望なんて、もう残ってないんだよ……)

 先ほど紡がれた、花厳からの言葉で、真相もすべて解明されたのだ。

 そして、桔流が、もう、この家に居て良い存在ではなくなった事も、はっきりと分かったのだ。

 そうである、はずなのに――、桔流の中には、未だ、諦めの悪い花厳への希望が、粘り強く居座り続けていた。

 そんな希望に対し、桔流は退席を促す。

(もう……、全部終わったんだって言ってんだろ……)

 希望をもつという事は――。

 期待をするという事は――。

 先々に良い未来がない場合、心の傷を酷くするだけの猛毒にしかならない。

 桔流は、それをよくよく分かっている。

 しかし、宿主がそれを分かっていても、桔流の心は、希望をひしりと抱いて離さない。

 その心は、桔流に訴えるのだ。

 まだ、花厳は、すべてをはっきりとは言っていないではないか。

 だからこそ、まだ、希望が失われたわけではない。

 もしかすると、花厳は、この後。

 “でも”――と紡ぎ、さらに続くその先の言葉で、桔流を、絶望の淵から救ってくれるのかもしれない。

 もうすぐ、花厳は、この沈黙を破り、救いの言葉を紡いでくれるのかもしれないのだ――。

 桔流は、そう必死に訴える心に、そこでまたひとつ、抵抗した。

(そんな事……あるわけ)

 その時。

 しばらくの沈黙を破り、花厳は静かに紡いだ。

「本当に、ごめん……」

 だが、そうして新たに紡がれた花厳の言葉は、やはり、桔流を落胆させるものだった。

 桔流は、吐き捨てるようにして思う。

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