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恋に不器用なケモミミBL♂溺愛イケ甘ダリ黒豹×恋愛難美人バーテン雪豹『ロドンのキセキ◆瑠璃のケエス◆輝石ノ箱ヨリ◆芽吹』全21話  作者: 偲 醇壱
◆ Shake ◆

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Drop.017『 Shake〈Ⅰ〉』【5】

「桔流君? どうしたの?」

 花厳が、そうして問うたのは、桔流の様子がおかしい事に気付いたからだ。

 先ほどまで、ブーツを脱ごうとしていたはずだった桔流は、未だ、ブーツを履いたまま、玄関に佇んでいる。

 その上、そんな桔流は、少しばかり俯いている。

 その様子に、花厳は今一度、桔流の名を呼んだ。

「桔流君?」

 すると、桔流は、俯いたまま、静かに紡ぎ始めた。

「――……花厳さん。――俺、花厳さんに、尋きたい事が、あるんです……」

 花厳は、それに、優しく応じる。

「……なんだい」

 だが、敢えてしばし離れた桔流との距離を、詰める事はしなかった。

 今、下手に距離を詰めれば、桔流はまた、あの扉の向こうへと逃げ出してしまうような気がしたのだ。

 だからこそ、花厳は、その場を動かず、桔流に応じた。

 桔流は、ぎこちなく紡ぐ。

「俺が……、花厳さんの話をちゃんと聞かずに帰った――あの日に……、花厳さんが俺に見せた、“あの贈り物”って……、――“前の”と……同じやつですよね……」

 声が、震える。

(駄目だ……頑張れ……)

 ここで己の感情に負けては、花厳から本当の答えを聞けないかもしれない。

 ほろほろと哀しみを伝わせる桔流に、あの花厳が情を抱かないわけがない。

 だからこそ、今はまだ、自身の感情に耐えなければ――。

 桔流は、再び決壊を始めようとする涙腺を今一度窘めると、静かに黙し、天井の照明を映した廊下を見つめながら、花厳の言葉を待った。

 そんな桔流に――、そんな桔流の問いに――、花厳は、ゆっくりと紡いだ。

「――……うん。――ごめん」

 今の桔流が、最も聞きたくなかった言葉を――。

 

 

 

 

 

Next → Drop.018『 Shake〈Ⅱ〉』

 

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