Drop.015『 LemonJuice〈Ⅱ〉』【1】
桔流は、大学生になっても、高校時代と変わらず、“正しい恋愛”についての答えを見つけられずにいた。
そのため、桔流は結局、キャンパスライフを楽しみながらも、恋愛においては、告白をされてはとりあえず付き合い――、長続きせずに別れ――、また告白をされてはとりあえず付き合い――、という、負の連鎖のような恋愛を繰り返していた。
その中、男性同士の恋愛――というものも経験したが、結局はそれも、桔流にとっての希望とはならなかった。
同性相手という事から、“女性相手よりは気遣いにおける気苦労が少ない”――という、多少の気楽さがあったのは確かだ。
しかし、なんやかんやと恋が絡めば、恋愛とは総じて、疲れるものに変わりはなかったのだ。
そのような事から、桔流は、恋愛に対し、――“恋愛とは、結局、酷く面倒くさいものであり、時間と金を無駄に浪費するだけのものである”というラベルを貼った。
そして、恋愛にそんなラベリングをして以降、桔流は、“恋愛”そのものから、距離を置く事を考えるようになったのである。
― Drop.015『 LemonJuice〈Ⅱ〉』―
“好きです”――と、告白され、付き合ってはみるものの、その相手に芽生えるのは“情”のみであった。
例え、“人として好き”――というところまで至れたとしても、その相手に対し、“この人を他の人にとられたくない”――という感情が、桔流の中に芽生える事はなかった。
つまり、その当時の桔流は、“本当に”、――たったの一度も、“自分から誰かを好きになる”という経験が出来ずにいたのだった。
そんな日々の中で、当時の恋人と大変手間のかかる別れ方をした数日後の――とある日。
桔流は、思ったのだ。
――やっぱり、恋愛とか、付き合うとか、しない方が良い。
――疲れるし……、時間も金も勿体ない……。
――今なら、ちょうどフリーだし。もう、恋愛はこれきりにしよう。
そして、桔流は、その日をきっかけに、“恋愛とも”、お別れをした。
そんな桔流が、それからしばらく、告白の嵐をかいくぐりながら、なんとか恋愛と距離を置き続けて、半年ほどが経った頃の事――。
ついに、桔流は――、初めての恋をした。
桔流は、その時。
初めて、“自分から誰かを好きになる”という事を経験をしたのだ。
――自分から誰かを好きになった事はない。
それは、桔流が花厳についた、自分を護るための嘘だった。
実のところ、桔流は過去に、この一度だけ、自分から恋をする――という経験をしていた。
だが、桔流は、“いつ、どのようにして好きになったのか”――は、この時も分からなかった。
花厳が言っていたように、――“いつの間にか好きになっていた”のだ。
それゆえ、桔流にとって、恋が不可解なものである事は、恋をして以降も、変わる事はなかった。
「桔流君は、本当に優秀だね。――僕の研究室に入ってくれて凄く嬉しいよ」
桔流が恋をした――桔流の初めての想い人は、そう言うと、桔流に微笑んだ。
桔流は、その男が自分を褒めてくれる事に――、自分の行いを喜んでくれる事に――、酷く大きな幸せを感じていた。




