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恋に不器用なケモミミBL♂溺愛イケ甘ダリ黒豹×恋愛難美人バーテン雪豹『ロドンのキセキ◆瑠璃のケエス◆輝石ノ箱ヨリ◆芽吹』連載中  作者: 偲 醇壱
◆ LemonJuice ◆

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Drop.014『 LemonJuice〈Ⅰ〉』【4】

(なんで……)

 来る日も来る日も、法雨に頼み込み、許される限りの時間を仕事に費やした。

 だが、どれだけ忙しくしても、桔流は、花厳の事をまるで忘れることが出来なかった。

 とはいえ、幸い、その花厳に関する葛藤が、仕事に影響を及ぼす事はなかった。

 しかし、背丈のある黒髪の客や、クロヒョウ族の客が来店する度に、店の入口を見てしまう――といった事は、度々とあった。

(おかしい。――簡単に忘れられると思ったのに……)

 そして、そんな苦心の日々が続き、桔流が悩みに悩んでいた、とある日。

 仕事を終えた桔流が、更衣室で着替えをしていると、

「桔流君。この後、ちょっと付き合いなさい」

 と、法雨が声をかけた。

 “付き合いなさい”、というのは大抵、閉店後の酒の誘いである。

 そんな法雨の言葉に、桔流は素直に頷いた。

 ここ数日、酷く悩み抜いていた事もあり、その日の桔流も、ちょうど、酒の力に頼りたいところだったのだ。

 そのような事もあり、桔流は、それから手早く着替えを済ませると、私服の状態でフロアへと向かった。

 すると、フロアのソファ席に法雨が居た。

 そんな法雨は、桔流がフロアに出てくるなり手招きをした。

「いらっしゃい」

「はい」

 桔流は、それに応じると、法雨のもとへと向かう。

 そして、そのまま法雨の隣へと腰かけると、法雨が言った。

「あれから、どう?」

 “あれから”――というのは、花厳と気まずい別れ方をしたあの夜から――、という事だろう。

 そんな“あの夜”の翌日には、法雨に大いに迷惑をかけた。

 だからこそ、法雨には、これ以上、迷惑も心配もかけたくない。

 そのような思いから、桔流は、さっぱりとした笑顔を作り、

 ――もう大丈夫です。

 と、言いたかった。

 しかし、

「………………」

 それは、叶わなかった。

 何せ、大丈夫――どころではないからだ。

 桔流は、花厳を忘れようと決めた。

 そうであるにも関わらず、それからの進展は皆無だ。

 そのような状態を、心配をかけたくない法雨に、果たしてどう伝えろと云うのか。

「駄目――みたいね」

「すいません……」

 そして、結局心配をさせてしまう結果となった事から、桔流は耳を下げながら謝った。

 すると、法雨は桔流の肩に手を添えて言った。

「ヤダ。謝らないでちょうだい。責めてるんじゃないんだから。――それどころか、アナタはむしろ、もうちょっと塞ぎこんだら――ってくらい、仕事もきっちりこなしてる。だから、謝る事なんてひとつもないわ。――でもね、“だからこそ”尋いたのよ」

「え?」

 それに、桔流が首を傾げると、法雨は真剣な面持ちで続けた。

「無理してる。――そう、思ったから」

「………………」

 そんな法雨に、見事に自身の状況を当てられた桔流は、言葉がなかった。

 法雨は、紡ぐ。

「ねぇ。桔流君。――アタシね。今回の事があったからってだけで、こんなに心配してるんじゃないの」

「え? どういう事ですか?」

 それに、桔流が首を傾げると、その桔流と向き合うようにして、法雨は言った。

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