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恋に不器用なケモミミBL♂溺愛イケ甘ダリ黒豹×恋愛難美人バーテン雪豹『ロドンのキセキ◆瑠璃のケエス◆輝石ノ箱ヨリ◆芽吹』全21話  作者: 偲 醇壱
◆ LemonJuice ◆

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Drop.014『 LemonJuice〈Ⅰ〉』【2】

 一人暮らしの桔流は、家に帰れば、文字通り“一人きり”になる。

 だからこそ、桔流は、“外”に居たかった。

 外に居れば、少なくともそこは、“他の誰かと共有している空間”という認識から、一人よりは大いに気が楽だったのだ。

 さらに、この店のそばに居られれば、なお安心できた。

 この店には、法雨をはじめ、この店で働く同僚たちが居る。

 桔流にとって、この店は、酷く温かい、もうひとつの“帰る場所”だった。

 だからこそ桔流は、昨晩。

 今は誰も居ないと分かっていても、縋るように、この店に来てしまったのだ。

 だが、だからといって、法雨は、凍え死ぬかもしれないようなヤケを起こす事を、よしとはしなかった。

 そんな法雨は、桔流に言う。

「――前にも言ったでしょ? 独りがヤな時は、まずアタシに連絡なさい。――連絡さえくれれば、例え熱く抱かれてる最中でも、すぐに来てあげるから」

 その法雨に、――本来ならば、素直に礼を言うべきところだが、後半の言葉が気になりすぎてしまった桔流は、ぎこちなく言った。

「え。い、いや。――そこまではちょっと……」

 すると、その応答に満足そうにした法雨は、ひとつ笑った。

 そんな法雨が、再び桔流の両頬をその手で温め、やんわりと目元を撫でては、

「ふふ。少しだけど、顔色良くなってきたわね。――まったく。イケメンがこんなに目腫らすほど悲しい目に遭うなんて駄目よ。――イケメンっていうのはね、ベッドの中で攻められてる時にだけ啼くので十分なの。――分かった?」

 と言うと、やはり後半が気になってしまった桔流は、次に黙した。

「………………」

 法雨は、それに、半目がちに迫る。

「ちょっと。何黙ってるの。――そこはハイって言うんでしょ」

「ハ、ハイ」

 そして、桔流が素直に従うと、法雨はまた満足そうに微笑み、安心したような面持ちで、桔流の頭を撫で、言った。

「さて。――それじゃあ、今からホットミルク作ってきてあげるから、それ飲んで体の中も温めなさい。――甘いものは心の栄養よ」

 桔流は、それに素直に頷く。

「はい。――ありがとうございます」

 そんな桔流に、法雨はにこりと笑う。

「いいえ。――じゃ、ちょっと待っててちょうだい」

「はい」

 そうして、その場から法雨が離れると、桔流は、法雨の手の温もりの余韻を感じながら、柔らかなブランケットたちで、その身を温めた。

 ✦

「――そう……」

 法雨は、温かい紅茶に口を付けながら、桔流の隣に腰かけ、静かに言った。

 桔流は、法雨お手製のホットミルクが入ったマグカップで手を温めながら、黙して頷いた。

 桔流は、昨日の花厳との出来事を、法雨へと打ち明ける事にした。

 そして、一通りの話を聞き終えると、法雨は、しばし考えるようにしてから言った。

「――そうねぇ。――その感じなら、アタシとしては、アナタの“早とちり”に賭けたいけれど……。――とはいえ、“あの時”と同じ物を出してくるっていうのは、どちらにしても無神経ね」

「………………です、かね……」

 そんな法雨に、桔流が迷いながら言うと、法雨はひとつ苦笑し、言った。

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