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Drop.013『 WhiteCuracao〈Ⅱ〉』【5】
寒さもあってか、その桔流の溜め息は、震える声を交えた、大変情けないものとなった。
そんな溜め息に、より一層情けなさを感じたせいで、また涙腺が我儘を零し出した。
だが、桔流にはもう、そんな涙腺に構ってやる気力はなかった。
桔流は、涙腺を好きにさせながら、ふと、その場所から見える、星々の隠れた、暗い夜空を見上げた。
(あ~あ……。――そっかぁ……)
そして、そのまま後ろにもたれるようにすると、後頭部をごつりとぶつけ、背後の鉄扉にその身を預けた。
(俺……、もう、――ちゃんと好きだったんだなぁ……)
寒空の下――。
桔流は、ふ、と弱々しく嘲笑すると、震える声で紡いだ。
「今更おっせぇんだよ。ばーか……」
そして、両膝を抱え、そのまま両の腕でぎゅっと抱くようにすると、ほろほろと溢れる雫で、冷えた膝を濡らした。
それからしばらくの間。
桔流は、ただただ、いじけた幼子のように身を縮めると、声を殺しながら、しんしんと泣いた。
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