Drop.012『 WhiteCuracao〈Ⅰ〉』【6】
桔流はそれに、またくすぐったそうに笑うと、
「じゃあ、お利口さんに寝る代わりに、こっちにもください」
と、小首を傾げ、艶っぽく花厳を見つめると、唇を微かに開く。
花厳はそれに、しばし瞳の色を揺らがせると、
「――甘やかすなぁ。君は」
と言い、桔流の頬に手を添えては、その誘惑に食む様にして応じる。
そして、やんわりと食み合うようにしては、その奥の敏感さを味わった――。
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その後。
結局は“もう一回”を強請り始めた桔流を宥めるべく、不意を突くようにしてその大きな手で急かし窘めては、彼を頂きまで追い立てた花厳に、桔流は、肩で息をしながら言う。
「――ずるい……ですよ……。――こんな時だけ……激しくするの……」
そんな桔流が息を乱しながらぐずると、桔流を果てさせるなり、手早く桔流の肌を綺麗にした花厳は笑う。
「ふふ。ごめんね。――あんまり時間をかけると、負けちゃいそうだったから。――痛かった?」
「いえ。――すんごい気持ち良かったし……、激しくされてすんごい興奮しました……」
「ははは。ご満足いただけて何より」
桔流は、そんな花厳に未だ不満そうにすると、
「今日はもう大人しく寝ますけど。――次は勝ちます」
と言い、眉間に皺を寄せ、険しい表情で口を尖らせた。
「楽しみにしておくよ」
そんな桔流にまたひとつ笑い、腕の中に納まった桔流をそっと抱くようにすると、花厳は、
「おやすみ」
と言い、改めて前髪に口付けた。
桔流は、それにぱっと身を起こすと、花厳の首筋に軽く口付け、
「おやすみなさい」
と返し、再び花厳の腕の中に戻った。
それに、
「うん。おやすみ」
と返すと、花厳は、そんな桔流を愛おしげにそっと抱きしめた。
桔流は、その安心感に満たされた腕の中で、ひとつ思った。
(やっぱり……花厳さんのそばに居ると、幸せだって感じる……。――だから、今はまだ、はっきり自覚できないけど、――これからもまた、こうして花厳さんと一緒に過ごしてさえいれば……、――もしかしたら、本当に、――いつかは、俺も……)
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