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恋に不器用なケモミミBL♂溺愛イケ甘ダリ黒豹×恋愛難美人バーテン雪豹『ロドンのキセキ◆瑠璃のケエス◆輝石ノ箱ヨリ◆芽吹』連載中  作者: 偲 醇壱
◆ Stir ◆

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Drop.010『 Stir〈Ⅲ〉』【4】

「そう。二つです。――今。花厳さんの目の前にある選択肢は、俺を“逃がすか”――、“逃がさないか”――、の二つだけなんです。――因みにですけど、俺がさっき選んだのは、花厳さんに、この選択肢を“与える”――という選択肢です。――という事で、俺の番は終わりましたから、今度は花厳さんの番ですよ。――あ。ついでに言っておくと、この選択肢は時間制限付きなので、ちょっと急いでくださいね」

「えっ。時間制限?」

 そんな桔流の言葉を真剣に聞いている中、ふと付け足された想定外の言葉に、花厳は首を傾げた。

 すると、桔流はひとつ頷き、しばし真剣な面持ちで言った。

「はい。そうです。――実は俺……。今……。――ちょっと、眠いんですよ」

「………………え?」

 花厳は、その桔流の言葉をすぐには理解できず、困惑した。

 桔流は言う。

「いつも以上にお酒が入ってるからだと思うんですけど……、今の俺。このまま、ちょっとでも目ぇ閉じたら、即寝落ちできそうな感じなんです……。――だから、とっとと選んで、今のうちに目を覚まさせてくれないと……、――マジで……このまま寝ます」

 そんな桔流の言葉に、花厳は、思わず小さく笑った。

 また、そんなやりとりを機に、これまでしばし張りつめていた寝室の空気が、一気に軽くなったようにも感じられた。

 その中、花厳は、桔流がこれまでの間も、ずっと眠気と戦ってくれていたのかと思い、その桔流に愛らしさも感じつつ、

「それは、申し訳ない事をしたな。頑張ってくれてありがとう。――早く選ぶね」

 と言って笑うと、改めて桔流と向かい合い、言った。

「――じゃあ、俺も選ぶけど、――もし、嫌だと思ったら、ちゃんと言ってね。――すぐにやめるから」

 桔流は、それにひとつ笑うと、楽しげに言った。

「ふふ。それ。よく言われますけど。――途中でやめられた人、見た事ないです」

 その桔流の言葉に、花厳も笑う。

「ははは。それは仕方ないよ。――君みたいな美人さん相手に気持ちを抑えるのはひと苦労だろうからね。――でも、安心して」

 そんな花厳は、そこでひとつ区切る。

 そして、桔流の頬を優しく撫でると、微笑みながら続けた。

「――絶対にやめるから。――君は、俺にとって、心から大切にしたい人だ。――そんな君を、傷つけるなんてしたくないからね」

 桔流は、その花厳の言葉にくすぐったそうに笑う。

「ふふ。――確かに、花厳さんなら、やめてくれそうです」

 そして、そんな花厳に添えられた大きな手に頬を寄せると、

「――でも」

 と、言った。

 花厳が、それに不思議そうにすると、桔流はゆっくりと音を紡いだ。

「――やめないで、いいですから」

 すると花厳は、少しばかり眉を上げると、愛おしげに苦笑して言った。

「それはまた……、凄い煽り文句だね」

 桔流は、そんな花厳を上目遣いに見ては言う。

「だって、花厳さん。――これくらい言わないと、キスから先に進んでくれなさそうですし」

 それに、さらに煽り立てられた花厳は、

「ははは。なるほど」

 と、楽しげに笑うと、

「世話をかけるね――」

 と続けた。

 そして、桔流がそれに応じ、言葉を紡ごうとした時。

 花厳がその身を寄せ、桔流にその言葉を呑みこませた。

 桔流は、その不意の感触に、思わず短く息を吸った。

 そうして、食むようにして触れ合わせた柔らかな感触を味わう度――、その奥でひたりと擦り合わせる感触を味わう度――、互いの理性は融けてゆく。

 これまでにないほどに近い距離で互いの呼吸を感じ合う度――、互いの本能が熱を纏ってゆく。

 まだ、どこも初めて触れ合ったばかりだと云うのに、五感からの伝達が瞬く間に脳を痺れさせ、本能を覆っていた理性を荒々しく剥き上げてゆく。

 そんな――、何をしても互いを掻き立ててしまうようなひと時に呑まれ、彼らの心は、際限なく蕩けていった――。

 

 

 

 

 

Next → Drop.011『 WhiteRum 』

 

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