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Drop.009『 Stir〈Ⅱ〉』【5】
花厳は、冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターをグラスに注ぐ。
その中、花厳は、先ほどの桔流の言葉を反芻する。
(“気が抜けるから”――か……。――それ。どういう意味なんだろうね。桔流君)
花厳は、きんと冷えた水がグラスで躍るのを眺めながら、しばし目を細めた。
その後。
「――気持ち悪くない? 大丈夫?」
桔流の元へと戻った花厳は、グラスを手渡しながら、再び桔流を案じた。
すると、桔流はゆるりと頷き、言った。
「はい……。だいじょぶです……。――どっちかっていうと……きもちいかんじ、なので……」
「――……そうか。――それなら、良かったよ」
そんな桔流が、いつもよりも酷く無防備なため、花厳は、桔流から返ってくる言葉を良いように曲解してしまいそうになる脳を窘めた。
そして、そんな自身を改めて律すると、特に何を意識するでもなく、純粋な心遣いから桔流に言った。
「桔流君。――横になった方が楽だったら、ベッド使ってくれてもいいからね」
すると、桔流は、ほぼ閉じかけていた瞳をふと開き直すと、
「ふふ」
と笑い、隣に寄り添う花厳を見上げた。
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