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恋に不器用なケモミミBL♂溺愛イケ甘ダリ黒豹×恋愛難美人バーテン雪豹『ロドンのキセキ◆瑠璃のケエス◆輝石ノ箱ヨリ◆芽吹』連載中  作者: 偲 醇壱
◆ Stir ◆

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Drop.009『 Stir〈Ⅱ〉』【1】

 

 

 

 桔流(きりゅう)花厳(かざり)が、色とりどりのマカロンで心を満たしてから幾日かが経ったその日。

(あ。これ美味そう。――でも、明後日は、花厳さんがワイン用意してくれるって言ってたし。――これは、その次の食事で出そうかな……)

 ネットショッピング中に見かけた季節モノのワインを眺め、桔流はふと、そんな事を考えていた。

 その翌々日の事。

 桔流が目をつけていた“だけの”――その季節モノのワインは、美しい飾りを施され、無事、桔流のもとへとやってきたのであった。

 

 

 ― Drop.009『 Stir〈Ⅱ〉』―

 

 

「――花厳さん。やっぱ、滅茶苦茶モテるでしょう……」

 無事に手元にやってきた季節モノのワインを見つめ、半目がちに桔流は言った。

 花厳は苦笑する。

「や、やだな。本当にそんな事ないってば。――どうして突然そんな事……――あ。もしかして、これ、飲んでみたいワインだった?」

 そして、桔流の様子から状況を察したらしい花厳が悪戯っぽく尋ねると、桔流は、

「………………まぁ」

 と、わざとらしく不満げな返事をした。

 冗談と分かっているからか、花厳はそんな桔流の反応に楽しげに笑うと、

「良かった」

 と言って、酷く嬉しそうにした。

(なんか、ここまで心の中見透かされると、逆に悔しい……)

 そして、桔流がそんな悔しさに悶々としていると、その様子も愛らしく感じたのか、花厳は、

「あはは」

 と、無邪気に笑った。

 そんな花厳の笑顔に、桔流は、

(あと、この笑顔が悔しい˝……! 可愛い˝……!)

 と、心の中で悶絶した。

 実のところ、最近よく見かけるようになった、この――花厳の少年のような表情や一面に、桔流は大分と“やられて”いた。

 自身より三つほど年上のこの男は、いつだって自分よりも一枚上であった。

 無論、時には、桔流の追及に対して動揺を見せる事はあった。

 だが、例えそのような一面があっても、花厳の“落ち着きのある大人な男性”――という印象が揺らぐ事はなかった。

 しかし、最近。

 そんな花厳が、不意に、少年のような無邪気さを見せるようになったのだ。

 そして、その結果。

 桔流は、その花厳が見せるようになった新たな一面に――、そのギャップに――、見事に心を“やられた”のであった。

 しかし、これほどまで心乱されるようになっても、桔流は未だ、花厳への恋心を抱く事は出来ていなかった。

 そのような事から、桔流は、此度も再び眼前に現れた“花厳少年”に心乱されながら、ひとつ思った。

(はぁ……。――花厳さんのギャップにこんだけテンション上がるんだから、俺が普通なら、もうとっくに恋人同士にもなれてたんだろうな……)

 そんな桔流は、そう思い、その事実を改めて自覚したからか、やんわりと胸が締まるのを感じた。

 そして、ふと、数時間前の事を思い出すと、今度は、とある人物に宛てて、桔流は思った。

(――俺……、やっぱ、新しい恋なんて、無理ですよ……。――法雨(みのり)さん)

 その数時間前の事。

 バーでの仕事を終えた桔流が、更衣室で仕事着から着替えていると、そこへ、その日は遅出となっていたバーの店長――仙浪法雨がやってきた――。

 ✦

 その晩。

 花厳との食事を控えていた桔流は、仕事を終えるなり更衣室に入ると、手早く仕事着を脱いだ。

 そして、桔流が私服に袖を通していると、遅入りの法雨が更衣室へと入ってきた。

 そんな法雨は、

「お疲れ様」

 と、桔流に挨拶をすると、歩みを進めた。

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