表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋に不器用なケモミミBL♂溺愛イケ甘ダリ黒豹×恋愛難美人バーテン雪豹『ロドンのキセキ◆瑠璃のケエス◆輝石ノ箱ヨリ◆芽吹』連載中  作者: 偲 醇壱
◆ Ice and a litttle water ◆

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/61

Drop.007『 Ice and a litttle water〈Ⅱ〉』【5】

「違わないです……」

 すると、花厳はひとつ笑み、

「うん。――それなら、俺は辛くないよ」

 と、穏やかに言った。

 そして、そのまま桔流を真っ直ぐに見つめると、ゆっくりと続けた。

「――俺はね、桔流君が誰も好きになれない――なんて事はないと思うんだ。君はきっと、自然と誰かを好きになる機会を逃し続けてここまできたから、そう思うようになってしまっただけだと、俺は思う。――だから俺は、それが君の思い込みだって事を証明したい。君は、ちゃんと恋が出来る子なんだって事を、証明したいんだ。――そのためにも、君に俺を好きになってもらうための時間がほしい」

 その花厳の真摯な想いを受け、桔流はひとつ小さく息を吐いた。

 そんな桔流に、花厳はさらに紡ぐ。

「――そして、もし駄目だったら。その時はそのまま、ずっと友人で居よう。――だから、桔流君。――どうか俺に、少しだけ、――時間をくれないかな」

 そして、そう紡ぎ切った花厳は、次いで、桔流を真っ直ぐに見た。

 すると、桔流は少し戸惑うようにしたが、今一度息を吐くと、花厳を見つめ返し、言った。

「――……分かりました」

 花厳は、それに目を細めて笑う。

「本当に?」

 そんな花厳に、桔流は、こくりこくりと頷く。

 すると、花厳は笑い、酷く嬉しそうに言った。

「ありがとう。桔流君。――凄く嬉しいよ。頑張るね」

 桔流は、そんな花厳の様子から、花厳が本気で自分の事を想ってくれているのだと感じた。

 それゆえ、桔流は、そんな花厳を好きになるために、自身も出来る限りの努力をしようと思った。

 しかし――。

「――あぁ、そうだ。桔流君。――これは、念のためなんだけど」

 そんな桔流の決心は、花厳によって即座に解かれる事となった。

「は、はい。――なんでしょう?」

 首を傾げた桔流に、花厳はにこやかに言った。

「桔流君は、――“俺を好きになろうとしなくていいからね”」

「………………え?」

 そんな花厳の言葉を受け、心底理解が出来ないといった表情で、桔流は問うた。

「え? え? な、なんでですか? ――好きになろうとしないと、好きになれないですよ?」

 対する花厳は、その桔流の困惑を楽しむかのようにして笑うと、言った。

「うん。――桔流君は、そこから変えていこう」

 桔流はそれに、大いに首を傾げる。

「“そこから”?」

「そう」

 花厳は、ゆっくりと頷く。

「――努力をして相手に好きになってもらうのは恋だけど、努力をして相手を“好きになろうとする”のは恋じゃないんだ。桔流君。――云うなれば、後者は“愛する事”に近いだろうね。――あるいは、克服や受容、または許容かな」

「そ、そうなんですか?」

 ――どうして好きになってくれないの。

 その言葉は、これまで、桔流が幾度となくぶつけられてきた言葉だ。

 そして、それは、花厳がこれまで幾度となくぶつけられてきた言葉でもあった。

 少しでも情を抱いてしまう者は、その言葉を押し付けられながら、情をかけている相手に悲しむ姿を見せつけられ続けると、これ以上悲しませないために、その相手を“好きにならなくてはいけない”――と感じるようになる。

 だからこそ、そのような恋愛ばかりを経験してきた桔流は、――好きになり、恋をするためには、“好きになるための努力が必要だ”と思うようになってしまったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ