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恋に不器用なケモミミBL♂溺愛イケ甘ダリ黒豹×恋愛難美人バーテン雪豹『ロドンのキセキ◆瑠璃のケエス◆輝石ノ箱ヨリ◆芽吹』連載中  作者: 偲 醇壱
◆ Ice and a litttle water ◆

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Drop.007『 Ice and a litttle water〈Ⅱ〉』【3】

「――あのさ、桔流君」

「はい?」

 沈黙の中、不意に名を呼ばれた桔流は、首を傾げ、きょとんとした表情で花厳に応じた。

 花厳は、そんな桔流を見つめて思う。

(たとえ、一生寄り添える恋人になれなかったとしても、せめて俺が、桔流君の思い込みを変えるきっかけだけでも作れたら……)

 そして、そんな思いを胸に、花厳は、不思議そうに見返してくる桔流を改めて見据え、言った。

「――もし、君さえ良ければ、なんだけど、――俺と、そういう関係になってみるのはどう?」

「――……え?」

 桔流は、その予想外の提案に、しばし目を見開いた。

 しかし、言葉の意を解すと、すっと目を逸らしては目を伏せ、ゆっくりと言った。

「――……やめておいた方が、いいと思います」

 そんな桔流に、

「俺じゃ、見合わない?」

 と、花厳が言うと、桔流は慌てて首を振る。

「まさか! ――花厳さんは素敵な人だと思います。――それこそ、俺には勿体ないくらいに」

 そして、そんな咄嗟の言葉を紡いだ桔流だったが、すべて紡ぎ終えたところで、一度上げた顔も目も再び伏せると、今度は耳も下げてしまった。

 しかし、そんな桔流を前にしても、花厳は引かなかった。

「それは俺もだよ。桔流君」

 花厳は、優しい声色で、ゆっくりと言葉を紡ぐ。

「――桔流君みたいな素敵な子は、俺なんかには勿体ないと思う。――でも、どうやらそんな君も、俺を素敵だと思ってくれてるみたいだ。――建前で言ったんじゃないなら、君は俺の事を“勿体ない”とまで言って、高く評価してくれてる。――なのに、それでも、“やめておいた方がいい”って言うのは、どうしてかな」

「それは……」

 花厳の問いに、桔流は戸惑う。

「――うん」

 花厳は、そんな桔流に穏やかに頷き、優しく見守った。

 そんな花厳に見守られ、しばしの沈黙を挟んだ桔流は、しばらくして、おずおずと言葉を紡いだ。

「――……俺はきっと、あなたを好きにはなれないから」

 花厳は、そんな桔流に優しく問い返す。

「どうして、そう思うんだい」

 桔流はそれに、ぎこちなく紡ぐ。

「俺は、これまで……、どんなに努力をしても、好きだと言ってくれた人を、“恋愛的に”好きになる事が出来なかった……。――だからきっと、今回もそうだと思うんです。――たとえ、“人間的に”は好きになれても、“恋愛的に”好きになる事は、たとえ花厳さんであっても、きっと出来ないと思うんです……。――それに」

 桔流はひとつ区切ると、さらに俯く。

 そして、苦しげな表情を浮かべると、弱弱しく続けた。

「――せっかく、――せっかくこうしてお食事したり、お話ししたり出来るようになったのに……。――一度でも恋人になってしまったら、もう二度と、友人には戻れなくなっちゃうじゃないですか……」

「――………………」

 花厳は、その桔流の言葉に、黙したまま、しばし目を細める。

 そんな花厳に見詰められながら、桔流はさらに続ける。

「俺は、これからも、花厳さんと色々なお話がしたいです。――だから……ここで花厳さんとお付き合いしてしまって、最後まで恋愛感情をもてなかった結果、花厳さんと二度とお話し出来ないような、花厳さんの元恋人――なんて事になるのは……、――俺は……嫌です……」

「――……なるほど」

 そして、桔流が思いの丈を紡ぎ終え、花厳がそれに幾分かの間を置いて頷くと、桔流は頭を下げた。

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