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恋に不器用なケモミミBL♂溺愛イケ甘ダリ黒豹×恋愛難美人バーテン雪豹『ロドンのキセキ◆瑠璃のケエス◆輝石ノ箱ヨリ◆芽吹』連載中  作者: 偲 醇壱
◆ Ice and a litttle water ◆

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Drop.006『 Ice and a litttle water〈Ⅰ〉』【2】

(実家だってんならまだしも、俺が一人暮らししてるのは、花厳さんも知ってるし……)

 では、誰に“怒られる”というのか。

(あと考えられるような相手がいるとしたら……、隣人とか……、大家とか……? ――もしかして、壁薄い家に住んでるかもって心配してんのか……?)

 もしそうであるならば、何となく合点がいく。

 だが、そのような心配であれば、桔流には無用である。

 何せ桔流は、バーテンダーとしても、モデルとしても、給料には恵まれている。

 そのため、25歳という年齢にしては、大分と良い条件の物件に住んでいるのだ。

 そんな桔流は、その旨を踏まえ、手早く返事を送信した。

 すると、タイミングが良かったのか、花厳からの返事はそこから数分で返ってきた。

『分かりずらくてごめんね

 怒られないかっていうのは、恋人さんにって意味だったんだ』

「――恋人?」

 すぐさま折り返されてきた返信に更に疑問が深まり、桔流は思わず声を出して復唱した。

 そして、ハッとして耳を澄ませた。

(聞かれて……ないよな……)

 とある事情から、かれこれ長い間恋愛というものを避けてきた桔流が、たったの一度でも“恋人”などと呟いたと知れれば、同僚たちがこぞって問い詰めてくるに違いない。

 そのような事から、周囲に人の気配がないか耳をそばだてた桔流だが、しばらくして安堵の息を吐いた。

 そして、改めてスマートフォンと向き合い、メッセージを打ち込んだ。

『そういう心配だったんですね

 こちらこそ、察しが悪くてすみません

 でも、そういう事なら大丈夫ですよ

 俺、恋人いないんで』

 花厳を安心させるため、普段より少し多めに絵文字を交えたメッセージを打ち終えると、桔流はメッセージを送信した。

 そして、自身の返事がメッセージ欄に表示されたのを確認すると、

(どこまでも相手に気を遣っちゃう人なんだな)

 と、苦笑した。

 ✦

 その頃――。

(なんだ……違ったのか……)

 桔流からの返信を確認した花厳は、すっかり脱力していた。

 桔流と初めて二人きりで食事をした時。

 会話の中で、桔流は、花厳と同じバイセクシャルである事を知った。

 そして、いつからか花厳は、そんな桔流に自覚もないままに惚れていた。

 それゆえに、花厳は昨晩。

 桔流が酷く親しげに接していたがために、あのカラカル族の青年が桔流の恋人であると思った。

 だが、それは誤解であった事が、今しがた判明した。

 花厳は、それに安堵した。

 そして、

(まったく、何をホッとしてるんだか……。――これは自分で思ってる以上に、重症かもな)

 と、自身に呆れながらも今一度スマートフォンと向き合った花厳は、桔流からの誘いを喜んで受ける旨を伝えるべく、メッセージを綴った。

 

 ✦

 

 数日後――。

 翌日の予定が互いにフリーとなっているその日の夜。

 桔流は、仕事終わりの花厳と待ち合わせ、自宅へと招いた。

 家に招かれるなり、向かい合って食事をするのに程よい上品なテーブルに案内された花厳は、早々にキッチンに立った桔流を見るなり、

「せっかくの休日なのに、料理をさせるのは申し訳ないな」

 と気遣ったが、桔流は嬉しそうに笑って言った。

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