表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋に不器用なケモミミBL♂溺愛イケ甘ダリ黒豹×恋愛難美人バーテン雪豹『ロドンのキセキ◆瑠璃のケエス◆輝石ノ箱ヨリ◆芽吹』連載中  作者: 偲 醇壱
◆ Recipe choice ◆

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/66

Drop.001『 Recipe choice〈Ⅰ〉』【1】

 

 

 

「すっかり涼しくなってきたねぇ」

 秋色に移り変わって久しいメニューを丁寧に拭き、次の来客に備えテーブル席を整えているバーテンダーに、常連客の男が声をかけた。

 その声に応じるように、バーテンダーは常連客の方へと顔を向けた。

 すると、そこでは、イヌ族らしい人懐こい笑顔を浮かべた常連客が、椅子から垂らした茶色の尾をゆるゆると左右に振っていた。

 そんな常連客にひとつ微笑むと、純白の毛色にダークグレーの柄を交えた艶やかな毛並みを持つそのバーテンダーは、自身の長く太い尾を揺らしては言った。

「そうですね。夜は特に――」

 

 

 ― Drop.001『 Recipe choice〈Ⅰ〉』―

 

 

「はぁ……。そろそろ夏も終わりかぁ。寂しいなぁ」

 今度は駄々をこねるような様子で尾を振りだした常連客に、バーテンダーは変わらず微笑みながら問う。

「夏。お好きなんですか?」

 常連客は、少しはしゃいだ様子で頷く。

「そう! 俺、夏が一番好きなんだよねぇ。――桔流(きりゅう)君は? 夏、好き?」

 “桔流”と呼ばれたバーテンダー――宝利(ほうり)桔流は、常連客の問いに、エメラルドグリーンの瞳を揺らがせる。

 そして、少し考えるような様子で顎に手を添えると、

「う~ん。そうですねぇ……」

 と言い、軽く首を傾げた。

 その右肩では、伸ばされた後ろ髪を結って作られた小ぶりな三つ編みが、ゆるりと揺れる。

 そんな桔流は、少し考えた後、

「夏……。――僕は……、少し苦手かもしれません」

 と、苦笑しながら言った。

 すると、ほろよい気味の常連客はふにゃりと笑い、言った。

「あはは。そっか~。――まぁ、桔流君は、夏より冬が似合うもんねぇ」

「ふふ。そうかもしれません」

 桔流は、優しく微笑む。

 そんな桔流に対し、常連客が“冬が似合う”と言ったのは、桔流がユキヒョウ族の獣亜人(じゅうあじん)だからだった。

 桔流達のように、耳や尾など、身体の一部にのみ獣の名残(なごり)を残し、二足歩行で生活し、言葉でコミュニケーションを図りながら文明を発展させてきた者達は、生物学上――“獣亜人族”と分類されている。

 その獣亜人族の先祖達は、かつて、“ユキヒョウ族は、その祖先となるユキヒョウの(けもの)族達と”――といったように、四足歩行で暮らす獣亜人族の祖先――“獣族”のうち、各々と近しい遺伝子構造を持つ獣族の生息地で共に暮らしていた。

 しかし、時代と共に獣亜人族の文明が発展してゆくと、科学の力により、どの地域でも、それぞれの体質に合わせた居住環境を作り出せるようになった。

 また、そんな獣亜人族たちが、時代と共に種を越えた子孫繁栄をも行ってゆくと、彼らの遺伝子構造にも変化が起こり始めたのだった。

 そして、その変化は、獣亜人族達の体質にも変化を及ぼす事となり、現代の獣亜人族ともなれば、たとえ、祖先が暑さに弱い種族であっても、真夏の外出も問題なくできる――といったように、より一層、居住環境に縛られない体質を手に入れていったのである。

 その結果――。

 獣亜人族達は、祖先の性質や生息地に囚われない暮らしができるようになり、現代では、誰もが、どの土地でも快適に暮らせるようになった。

 それゆえ、ユキヒョウ族である桔流も、祖先の故郷からは程遠い、――夏は暑く、冬は寒い、四季折々の気候が巡る瓊本(にほん)の首都、――祷郷(とうきょう)が、出身地かつ現住地なのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ