「魚」
どうやら「連載」らしいので追加してみた。
ひどくさむいよるでした。雪がふり、でんしゃはのきなみちえん、うんきゅうです。
まちのあかりはひるとよるのくべつをあいまいにしています。もう夜?このふゆにかいめの雪の夜でした。このくらやみのなか、一人のあわれな少女が低いてーぶるにしょうひんをひろげていました。
頭にアルファベットの「Y」ととんぼをいめーじしたこんとはいいろの帽子(とんでもない田舎でないとまず見かけることはないでしょう)をまぶかにかぶり、足には「ベンサン」とよばれるポリ塩化ビニールのサンダル。くつしたははいていません。ええ、はいていないのです。かぜとおしをよくする。それはみずむしちょうのだいいちげんそくなのです。
それで少女はじべたのうえに、どこからひろってきたのか?ちいさなさうなまっとをしいてろてんをひらいていました。
「魚っち、魚っちはいかがですか?」
りょうあしはさんだるのすきまからしみこんでくるつめたさのため白くなっておりました。少女はてーぶるにとけいをひろげています。日がな一日、誰も少女から何も買いませんでした。わずかいちえんだって少女にあげるひとはおりませんでした。
時たまくちから「はぁぁ」とたちあがるしろい息が少女のかなしさをものがたっていました。
と、「けっしてぁゃιぃ」紳士が少女のまえをとおりすぎてすうほあるいたあと、ふたたび少女の前にやってきました。
「ほぉ、時計かい?でもパ◯モンだろ?」
紳士に、いっしゅん少女はおどろいたいたようなかおをしました。だって、こえをかけてくれるとはおもわなかったからです。
つぎのしゅんかん、少女の表情にひが灯りました。まっくらな、くろいインクを流したような、つきもほしもない夜空のような目にあけのみょうじょうがきらめいたのでした。
「ええ、パ◯モンです。ろじょうでほんものなんてうってるはずありません。でも、つくりはほんものよりうえです。じしんがあります」
少女の変貌にちょっと驚いた表情を魅せた紳士は不敵な笑顔で応じると、少女の前にしゃがみ込みました。
「ちょっと見せてもらおう。実は私はパ◯モンには詳しいのだ。おっ!これは?」
「ONEGAです」
「ONEGA!パ◯モンだと言い切るところが実にいい!造りもすばらしいね。で、きちんと機能するのかい?」
「もんだいありません。ぷっしゃーはぜんぶダミーです」
「いや、意味ないじゃん!」
「ほんもののOMEGAでたいむけいそくするばかはいません。とけいですよ?とけい!ストップウォッチなんてかざりです。えらいひとにはわからんのです。OMEGAのくろのぐらふきのうつかってる馬鹿オーナーなんてこのよにそんざいしません」
「言い切るなよね・・・確かに校正が必要な機械式時計だとタイムも正確とはいえないな・・・なるほど。ホントしっかり造ってある。本物のロゴ付けたら結構売れるだろうな。ふん、これは・・・「ROREX」っぽい。となると「ROLAX」かな?」
「ROLAX?あんなのくそです。「R・OLEX(R・俺ックス)」。これがさいきょう!」
「大喜利みたいになってるよ。これは「TAG HEUER」か」
「「TAG HAUER」です。にたつづりをさがすのにとってもくろうしたんです。かってください」
「そこかい!」
「HAUERはきこりといういみです。パ◯モンにしてはりっぱだとおもうのです」
「なるほどね。でも、これってムーブメントはクオーツじゃないか」
「ろてんできかいしきのパ◯モンがかえると思っている人は、きっとアタマもこわれてます。クオーツムーブメントはやすいいし、精度はぶっちゃけきかいしきいじょうです。それにあんしんのシ◯ズン製だからひんしつにもんだいはありません」
「妙な所にこだわってるな」
「時間を正しく伝える。それが時計なのです。何が正しいのかわかんないこの世の中、せめて時間くらいは正確じゃないとパ◯モンですらなくなります」
「なんとなくわかるような、わからんような・・・これは?ピゲだな」
「チゲです」
「なんで」
「・・・ここんとこ寒かったんで」
というと少女のお腹がぐうっと鳴りました。
「これはコンスタンタン・・・タン?」
「3もじついかするとバランスがくずれるので、はいちに苦労しました」
「ネタにしようとする意欲がすげい。これはカルチェっぽい」
「carouchaです。わかるひとはかくじつに昭和です」
「よかった・・・俺わかんないわ・・・」
「これはフラ◯ク三浦ね」
「ミ浦です」
「三浦じゃないのね?」
「いんすぱいあです。ネタで裁判に勝ったのは凄いと思ってます」
「律儀だね」
「ふふっ。同業者の仁義ですよ」
「いや、あれパ◯モンじゃないから!ここから国産か。カ◯オのG-SHOCKのパ◯モンだね。G-SHOCKのパ◯モンは結構あるぞ?どこが売りなんだ?」
「GASIOのC-SHOCKです。製造元にショックという逸品!C国製のムーブメントを探すのにとっても、とっても苦労したんです。買ってください!」
「なんでガラクタ以下のもんを買わにゃならんのだ!たしかにショックだろうなぁ~。それと、あんまり煽ると共◯党に頃されるぞ!」
「これを作る時には良心の呵責に苛まされました。あの国だと時間ですら正確じゃなんです。時計に対するぶじょくです!自己批判対象です」
「そこまで言わんても・・・」
「じゃぁ、買って下さい」
「やだよ!どんな罰ゲームだよ!」
「これはSEIKOだね」
「SAIKOです」
「ネーミングがベタじゃない?」
「よくわかりませんがしょうわのころからの伝統だときいています。みずいろぬころぼっとにも登場したゆいしょあるブランドです。東京ばな奈くらい有名です。けど、ムーブメントはシチズンですから安心ですよ?」
「S◯IKOに真正面から喧嘩売ってやがる。しっかし、パ◯モンでこの質感、存在感。今後が楽しみだ」
紳士がそういうと少女は悲しそうなかおになりました。
「これがさいごなのです。ぶざいをぜんぶつかって「創った」のです。わたしのさいこうけっさくなのです。もうぶざいもありません。シチズンのムーブメントもつかいきりました。いえも、もぉ、ありません。これがうれなければ、あとうるものはこのからだぐらいです。ああっ!なんてふこうなのでしょう・・・」
「あのさ・・・お前、男だろ?そういう趣味なん?」
「さむいひに、おにゃのこがとけいをうってたら、だれか立ち止まってくれるんじゃないかなとおもったのです」
「考えは間違ってないけど、無理がある。まずその便サンだ」
「(水)むしをかってるので・・・」
「治療しろ!治療!」
「さむいと(水)むしもしんでしまうんじゃないかとおもうのです。それでもかわれそうになりました・・・ボクが・・・」
「え?そっちのケあんの?」
「ツナギのおにーさんが、そこのベンチにすわって、さむいのにじっぱーをひらくと、おもむろに、やら・・・」
「すとぉぉぉぉっぷ!セリフはいいから!で、お前、そっち系なの?大事なことだから2度聞く。お前、そっち系?」
「ぼくはノンケです」
「よし。わかった。俺んトコに来い。これもなんかの縁だ。俺んトコで時計作れ!お前の腕なら世界中を納得させられる」
「だませるのまちがいじゃないんですか?」
「騙された事を知らないのと、知ってて騙されたフリをするのとでは全然違う。オレは騙されたフリをして買ってもらえる時計を売りたい」
そう言って紳士が差し出した名刺には「矢木時計工房」の名前が刷り込まれていた。
「まず、メシを食おう。腹減ってるんだろ?奢ってやる」
「吉野家の汁ダクギョク大盛りがいいです。吉野家は安いけどほんものなのです」
手早く露天を片付けた少女、もとい少年は、ペタペタと便サンを鳴らしながら時計工房の主と2人で吉野家のある方角に消えていった。
2人の行方は定かではない。
数年後「本物以上の質感(疾患)」と称えられる稀代のネタ時計「ゴゥト(矢木)ウォッチ」世界中を席巻することになったとだけ伝えておこう。
「魚」は結構無理矢理感があった。
軽いノリで始めたが、5話位で終わりそうで怖い。




