25話:悪役令嬢(リリア):あなたは私の手の中
今夜は私がリエルを好きにする。
キスを交えて脱がし合った後、ベッドに腰かけさせた。リエルが座っている場所の前には、今夜のために移動させた姿見が置いてある。
そして、私が後ろからリエルを抱きしめる。この腕の中に好きな人がいる充実感で満たされていく。
「リエルは私のものよね?」
「もちろんです。私の全てはリリア様のものです……!」
「そう……よかった」
抱きしめている腕の力を少しだけ強くする。
「はぅ……」
腕の中で身悶えするリエルが可愛らしくて、もっとしたくなる。しかし、手を止めてリエルの髪に触れる。
手でそっとリエルの髪をかき分けると、綺麗なうなじが見えた。美味しそうなうなじに唇で触れて、強めに吸った。
「あうっ……」
しっかりとキスマークを繊細な肌に刻み込む。キスをした場所にチロリと舌を這わせて、リエルに告げる。
「私の痕で首輪をかけてあげる」
「わぁ……素敵です」
リエルの顔がうっとりとした表情に変わるのを鏡越しに見て、私の所持欲が刺激される。
「リエル…私の愛しいリエル……ふふふっ……もう離さない」
愛しい相手と愛し合う、とても幸せな時間。
◆ ◆ ◆
【ヒロイン(リエル)】
朝、リリア様よりも先に目が覚めた。
昨晩、私がリリア様より早く寝ていた……というより攻めで先に気絶していたからかも。
リリア様の穏やかな寝顔にうっとりしながら、最初に寝顔を見た時のことを思い出す。
「こんな関係になれるなんて、夢にも思わなかった……」
初めて出逢った日のことは今でも鮮明に思い出せる。あの時、見惚れた相手が恋人になって、生活を共にできる幸せを改めて嚙み締める。
「リリア様に相応しい相手として見られるように、頑張りますね」
誓いを立てて、起こさないように気を付けてキスをした。
リリア様のひんやりとした手を握って、私もまた眠りにつくためにまぶたを閉じる。
私たちの時間は重なり合い、これからも続いていく。
いつまでも、いつまでも……。




