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母の手に愛のキスをつけて

子供たちが中学生の頃から

私は学校に行く直前に

毎朝、

「いってらっしゃい!

愛してるよ!大好きよ!」

と言い続けている。


体調が悪く寝込んでいても

子供たちがどんなに慌てていても

私は言い続けている。


愛の言葉を毎日重ねることで

私に愛されている実感が湧き

特に、長男の

思春期の感情が落ち着いてくれたらと思い、

始めた習慣だった。


自分が母に

愛されているという実感は

一種の自信につながり

絶対的な安心感は

不安定になりやすい思春期の心を

落ちつかせてくれると思ったのだ。


この習慣を始めて半年ほど経ったときには

長男の感情の激しさも少しずつおさまっていき

どうしたらいいのか

わからなかった私も

落ち着いていた。


ただ自分が落ち着いて

余裕が出てくると

かわいい息子たちをからかいたいと言う思いが

心の底から溢れ出し

ついついやりすぎてしまうことがある。


ある朝、

長男氏が学校行った時に

タイミングが合わず

「愛してるよ!大好きだよ!」

言えなかった時があった。


仕方がなかったことだったが

どうしても気が落ち着かず

長男氏が帰ってきたときに

リベンジしようと心に決めた。


その日の夕方、

長男氏が帰ってきたとき

私は素早く玄関近くに待機し

両手を広げ長男氏を抱きしめようと

待ち構えていた。


長男氏に気づかれないように

待機していたが

何かを察した長男氏は

カバンで自分をガードして

部屋の中に入ってきたのだ。


カバンを挟んで

お互いに譲り合う気配のない長男氏と私。


私だってここで諦めるわけにはいかない。

私には長男氏に

愛を伝えなければならないと言う

重大な儀式があるんだから。


カバンを盾に

ジリジリと進んでくる長男氏に対し

私は自分の手にチュチュとキスをして

長男氏がカバンをつかんでいる手に

素早く左右に一回ずつ軽くタッチした。


「うわ!やめろ!」


長男氏私が声を上げ

一瞬たじろいだ瞬間を逃さず

さらに自分の両手に

リップ音を立ててキスをして

右に左に動く長男氏に向けて

連続タッチする。


「やめろ!ママ!」


「おかえりベイビー!

朝に伝え忘れていた愛を

今10倍にして伝えるわ!」


「いや!いらんし!」


鞄でガードするのを諦め

手を伸ばして

私を避けようとするが

長男氏が伸ばしてきた手にも

千手観音バリの素早さで

私のキッス付き手を重ねる。


「ああああぁ〜!」


断末魔のような声をあげて

ジリジリ後に追い詰められる長男氏。


母のしょうもない行動で

どんどん追い詰められていくのは

長男氏も可笑しいらしく

ニヤニヤ笑いながら


「やめろ〜!」


と言っている。


本気で嫌がってはない。


いや、嫌がってはいるが

笑いが止まらない。


やがて、壁に背中がつき

長男氏は逃れられないと悟る。


「ふふふ〜

もうこれでママの好きに

愛してもいいのだな♪」


「これ以上は勘弁して!」


泣き笑いの長男氏を見て

なんだか気が済んだので


「良いだろう♪」


と解放してやった。


明らかにホッとした長男氏は


「なんなんだよ!

帰ってきてすぐ!」


と笑いながら

手洗いうがいに向かいます。


しょうもない事で笑えて

愛の言葉を

全力で表現できた私は

満面の笑みで


「ママが長男氏を

愛してるってことを

実感してもらうことで

幸せを感じてもらおうと思って♡」


と伝えると


「いらん方法思いつくな!」


と言われました。

めっちゃ笑ってましたが。


思春期ってさ

子供の心も体も

大人に追いついてくる頃じゃん。


ということは

親が文字通り

全身全霊、全力で

体を張った愛を

思いっきり表現して伝えても

怪我しないってことだよね!


そう私は考え

私は全身全霊、全力で

今日も

子供たちに変わらず愛を伝えています。


くだらない事で

親子で笑うのが好きです。

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