レスフィーナ・ローレンツの憂鬱
「レスフィーナ・ローレンツ貴様を王族侮辱罪で投獄する」そんな王太子の声が耳に強く残っているそしてレスフィーナの最後の願い・・・・「消えてなくなってしまいたい」という絶望感と共に目を覚ます。
目をあちこちに走らせる・・・・あれっ? なんか体が動かないんだけど・・・・・どう見ても牢獄、しかもかなり汚くて薄暗い、天井の上の方に小さい窓っぽいものが二つあって其処から唐牛で太陽の光が入ってきている・・・・・。
何で動かないんだ? ってこういう場合、どうすれば・・・・とか考えているとフラッシュバック、なんか記憶が戻る感じで多分この体に人物の記憶が頭に流れ込んでくる・・・・加護によって巻き戻される時間、そして断罪での死・・・・・すり減っていく魂、今世でも城で王妃教育と称して虐められ蔑まれる日々、そして男爵令嬢に婚約者を奪われ戦争が勃発したタイミングで投獄されたらしい事などが頭に浮かんでは消える。
なんか混乱してきたな・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
そもそも生前の名前が出てこないんだよね・・・・記憶は・・・・あぁそうか、確か安藤日高・・・・性別は分からん・・・・男っぽかったような気もする、まあいいか・・・・今は伯爵令嬢、元だけど、流れ込んできた記憶で混乱したが頭が整理されてきたようだ、今の名前は一応レスフィーナ、家名はローレンツで伯爵家らしい・・・
らしいというのは6歳の時に王太子妃の教育と称して王宮に強制的に連れてこられたのだ、其れ迄は伯爵家の離で生母と共に暮らしていた、母親は家の人間には疎まれていたらしく体も弱かったので寝たり起きたりの姿しか記憶にはない、周りからは平民の母親から生まれた庶子として扱われていた、母親が死ぬとき自分のスキルをレスフィーナに譲渡してくれたのでマジックバックのスキルと簡単な回復魔法が使えるようだ、この世界ってスキルがあるのか、母親から譲渡されたってことはそう言うのもありの世界? なのかな・・・・。
と思ってはみたがなんか体が動かないしどんどんだるくなっていく、生命の危機なのかと思いかけた時、目の前に光の板、画面と言った方がいいか、それが出てきて日本語で書いてある、前世は日本人だったからかな?
名前レスフィーナ・(アンドロメダ)・ローレンツとかいてある、あれ真ん中の奴は何だ? と思ったら吹き出しが漫画みたいに・・・・・”アンドロメダ:アルトラス帝国皇族にのみ現れる真名、称号を受け継いだ皇族のみに与えられる”という事が書いてある・・・・・これって女神の御加護ってやつか? 大変ありがたい・・・・アルトラス帝国の皇族って何だろう・・・・レスフィーナとしての記憶には全く出てこないワードだ、と言うか状態が瀕死って書いてある、体が動かない原因ってこれか? 回復魔法覚えたんだよな記憶では・・・・”レフェクティ”だっけ?
・・・
・・・
なんか小さく体が光った、けど変化はなかった。
瀕死だから復活の呪文? なのかな? ・・・”メディキーナ”・・・
・・・・
・・・・
・・・・
発動しない代わりにスキルボードが現れた、ポイントが二万六千ある何故? 吹き出しが表れて(魂の経験値分)と書いてあるので転生前のとかも入ってるのか・・・・回復魔法レベル1しかないので六千使ってカンストしてみるレベル100迄あった色んな魔法が100個ほど追加されたが今は復活魔法だ・・・・・”メディキーナ”ともう一度唱えてみる、今度は虹色に強く光る、・・・・手が動いた成功したらしいマジックバックも1000使ってカンストしてみるとレベル10でストレージに変化(無限倉庫)と書いてある中になんか入ってないか確認すると鍵と手紙そして銅貨10枚に銀貨10枚が入っていた。
手紙は母親からレスフィーナに向けての手紙だ、そこには『困ったらアルトラスとの国境の辺境に在る自由都市に在る商業ギルドを訪ねるように』と書いてあった。
此の鍵は何だろうか? ジーっと見てると吹き出しが表れて(自由都市スール・ラステル商業ギルド魔法口座の鍵)と出た同時に絶対鑑定のスキルが表示される・・・・どうやらこれは安藤日高が習得したスキルのようだ、そう書いてるし・・・・・。
というか記憶が流れ込んで知ったことがいくつかあるが投獄されたのは王太子に冤罪をかけられたことによるものらしい、小説と一緒だなこの辺は・・・・小説では牢獄で死んでしまう運命だったレスフィーナに今自分がなっていた・・・・つまりそういう事か、いやまて・・・・確か5年後に魔王が誕生するんだよねあの小説、伝説の勇者が魔王化してだれも止められないで最後は滅びてしまうんだよ、確か世界毎・・・・・そんな話だった、うん・・・・・どうすんの? これも任されたってことなのかな? さすがにないよねそれは・・・・・。
この時点で摘んでるような気もするけど・・・・などと考えていると扉をガチャガチャする音。
扉を開けて衛兵がやってくる。
衛兵1「おい生きてるのか?」
衛兵2「いや死んでるだろう流石に3週間も食事なしなんだから・・・・惨い事をするもんだな、流石に同情する」
衛兵1「聞かれたらどうすんだ、そんなこと思ってても言うな」
そんな声が扉を開けた音の後聞こえたのでだるい体をゆっくり起こしてみた。
!!
衛兵2「!!生きてるのか?」
衛兵1「生きてたか、おい・・・刑の執行だそうだ、お前はこの後王都からの追放刑に処される境界の城門の外まで馬車で移動だ立て」
木製の手錠をつけられて連行されるらしい、裏門まで暗い通路を縄で腰を繋がれて連行される、幌馬車に乗せられて城外壁の城門の外まで半日ほどの行程だった。
町の様子は王都にしては寂れてるような印象を受ける、最近まで帝国と戦争をしていたらしいのでしょうがないのか・・・・レスフィーナが拘束されてすぐに始まったようだ・・・・小説では負けたんだよね王国の方が・・・・。
現実でも同じなんだろうか?
そして衛兵が羊皮紙の執行文を読み上げる。
衛兵1「罪人レスフィーナ元伯爵令嬢を王都領域から追放刑に処するものである」
衛兵2「まあそのままってわけじゃねーから」
そう言って手錠を外してぼろい皮のマントと黒パンの入った袋を手渡された。
城門がゆっくりと閉ざされた、もうすぐ夕暮れだ道は東と西に分かれている・・・・確か自由都市の途中にある深淵の森とかいう場所で魔王が復活するんだっけ・・・・・女神がなんかそれに関して落ちる時言ってたような気もする・・・・あの小説の話ししたってことは関係あるよねやっぱり・・・・・行きたくないなぁ・・・・・。
黒パンをかじりながらとぼとぼ深淵の森の方向に西へ石畳の道を歩き出すのだった。
自由都市にとりあえず向かおう手紙にも書いてあったし・・・・・。