欲しいもの?
「何か欲しいものはないか?」
「え?なんで?」
「今まで誕生日もろくに祝ってやらなかったからな。もう七歳の誕生日が過ぎてしばらくになるし、少しはわがままも聞いてやろう」
なるほど。
今更だなとは思うけど、パパの素敵なお顔に免じて許してあげよう。
ああ、今日もパパのお顔が尊い。
「じゃあ、パパと一緒にお出掛けしたい!」
「そんなことでいいのか?」
「うん!」
「なら、とっておきのところへ連れて行ってやろう」
「わーい!!!」
どこに行くんだろう?…楽しみ!!!
「…わぁ!!!」
「やはりこういうのが好きか」
「そりゃ好きじゃなきゃ執事さんにお願いしないよ!」
連れてこられたのは、遊園地。
めちゃくちゃ気合の入ったアトラクションがたくさんある、我が領の自慢の遊園地だ。もちろん、魔法とかも駆使して安全性も抜群なアトラクションばかり。
ここは私の前世の知識を元にたくさんのアトラクションを作って設置した遊園地で、観光施設の中では我が領の稼ぎ頭とも言える。
もちろん我が領はパパが手腕を発揮して、観光以外もすごいけど。広大な領地があるから、農業とか特にね。
作ってってお願いしたのは私だけど、いざ出来上がったものを見ると感動する。遊びに連れてきてもらえるとも正直思ってなかったし。それと同時に、私が前世の記憶を取り戻してからもうそんなに時間が経ったのかとびっくりする。
「もうこんなにきっちり遊園地が作れちゃったんだ…」
「このくらい、魔法も使えば三ヶ月で完成するだろう。前の世界はよほど不便だったのか」
あ、そういやそうでした。
…いやでも、それでも記憶を取り戻してから五ヶ月目だよ。
あの塩対応のパパと五ヶ月でここまで仲良くなれたと思うと、やっぱり感動。
「…なんだ?」
「ううん。たしかに魔法がないって意味では不便な世界だったかも」
「そうか」
今日はパパに余計なことを言わないで、この素敵空間を一緒に楽しもう。
「じゃあパパ!行こう!」
「ああ」
パパの手を掴んで、さっそくアトラクションに向かって歩き出した。