わあ、典型的なダメなタイプの聖女様だぁ…
今日は、教皇猊下からの依頼で中央教会の聖女さまのお話係になるために来た。
そのため、パパやアリス先生は付いてきていない。
緊張しつつ、聖女さまの待つ部屋に入室した。
「…」
「はじめまして、聖女さま」
何故かぽかんとした顔でこちらを見つめる聖女さまに声をかける。
「え、ま、待って。次期侯爵さまは?」
「あ、それ私です。父の後を継ぐ予定なんです」
「はぁ!?女のくせに!?」
女のくせにと言われてカチンときたが、言われ慣れてるといえば言われ慣れているので無理をしてニコッと笑った。
「はい、次期女侯爵ですね」
「何よそれ!?狂犬って呼ばれてるイケメンの父親そっくりって聞いたけど!?」
「…そっくりですよ?幼い頃は始祖である大賢人たるアリス先生や、父と瓜二つと言われていたくらいです。今だって父やアリス先生の女版ってレベルでそっくりですし」
「はぁ!?女版って…騙したわね!」
「騙すって…」
なるほど、どうやら彼女も典型的な面食いらしい。
それも私より厄介なタイプの性格との合わせ技。
そして地位や権力やお金のある男性が好きとみた。
で、私が侯爵家の『御令息』だと思ってウキウキしていたわけだ。
実際には『御令嬢』でがっかりして、逆ギレをかましていると。
「アンタなんてお呼びじゃないのよ!今すぐイケメンな貴公子さまと交代しなさいよ!」
わあ、物語でみたような典型的なダメなタイプの聖女様だぁ…ざまぁされるタイプだぁ…。
関わりたくないけど普段良くしてくれる教皇猊下のお願いだしなぁ…。
「とりあえず落ち着いてください。楽しくお話しませんか?」
「地位や権力やお金を元から持つような胸糞悪い女なんかと話すことなんかないわよ!」
荒んでるなぁ。
どんな生育歴でここまで自己中心的な聖女さまが生まれたんだろう。
むしろ何故この子が聖女さまに選ばれたんだろう。
謎だ。
いやでも、聖女さまに選ばれたくらいだから性根は腐ってないのかも。ちょっと荒んでるだけで。
「そう仰らずに、どうか私と仲良くなっていただけませんか?」
「嫌、絶対に嫌。アンタなんかとなんで仲良くならないといけないのよ。この嘘つき」
「嘘つきも何も、初対面なのですが」
「次期侯爵さまがお話相手になってくれるって言われたら、普通期待するでしょ!?」
「そうは仰いましても」
まあたしかに私たちの年齢なら貴公子との恋愛に夢を見る気持ちもわかるけど。
「帰って!」
「んー…」
別に私としては正直帰りたい。
美少女は好きだがここまで捻くれていてはどうしようもない。
でも教皇猊下からの依頼だしなぁ。




