大人になってもパパと先生の溺愛っぷりは変わりません
「おはよう、パパ!アリス先生もおはよう!」
「おはよう、アニエス。アリスティドはシャキッとしろ、ほらおはよう」
「んん…アニエス、おはよう…ジャックもおはよ…」
相変わらず夜型人間なアリス先生は眠そうに目をしょぼしょぼする。
「眠い…」
「ほらアリス先生起きてー!一緒に食堂行くよー!」
アリス先生の手を引いて食堂に連れて行く。
アリス先生はずっと相変わらずだ。
一方でパパはといえば、まだまだ若く見えるけれどダンディーな雰囲気も漂うようになった。
よりかっこよくなったパパも好み!
ご飯を食べて、食べ終わった頃にはやっとアリス先生は元気になった。
「じゃあ今日は何をしてすごそうかな」
今私は、アリス先生からもう卒業を言い渡されて魔法は習っていない。
パパから少しずつ領地経営とか侯爵として必要な知識を教えてもらっているけれど、それ以外の時間が空いている。
「アニエス、もし時間があるなら一緒に日向ぼっこでもしない?」
「アリス先生、まだ眠いの?」
「いや?もう眠くないけど、愛弟子とシエスタも悪くないだろ」
「まだお昼寝には早いけど…まあいいか」
アリス先生と手を繋いで私の部屋に向かう。
カーテンを開けて日の光がベッドに届くようにして、ベッドの上で二人で日向ぼっこする。
「いやぁ、しかし子供の成長は早いね。アニエスがもう十七歳だなんて」
「アリス先生、寂しい?」
「うん、ちょっと寂しいよ。まだまだ可愛がっていたいのに」
「今でも十分過保護なままじゃんか」
私がそう言えば、アリス先生は言う。
「そりゃあ可愛い愛弟子だもの」
「アリス先生ったら」
「ずっとこうして、ジャックとアニエスとわちゃわちゃ楽しく過ごせればいいのにな」
…アリス先生は、いずれ私たちにおいて逝かれることになる。
今からもう、成長を感じるだけで寂しいんだろうな。
「アリス先生、大丈夫」
「うん?」
「アリス先生を一人にしないよ。私が居なくなる日が来ても、将来私の子供達がきっとアリス先生と一緒にいてくれる」
アリス先生はちょっと寂しそうな、でも嬉しそうな顔で笑った。
「そうだね。ずっとずっと、変わらず君たちを見守り続けるよ」
始祖様、そして私のお師匠様。
どうかこの人が、孤独になりませんように。
そのためには子孫繁栄も必要なんだろうけれど、過保護なパパは未だに私の婚約者を決めていません。
この歳でまだ婚約者が決まっていないのは、私と私の周りの人…ロックくんとアルヴィアちゃんとフレデリークくんくらいだ。
ちなみにフェルナン様は最初は婚約者が決まるのを何故か嫌がっていたけれど、今では婚約者と上手くやっている。幸せそうなラブラブな姿を見ると嬉しくなる。
「でも婚約者、まだ決まらないね」
「多分ジャックは、アニエスに自分で婚約者を選ばせてあげたいんじゃないかな」
「自分でかぁ」
特にまだ今世では初恋も経験していない。
面食いと恋は別である。
でも自分で選ぶなら、やっぱり相性のいい人がいいなぁ。
あと、パパの過保護に耐えられる人。




