ああ…天使様扱いが加速した…
皇室の家族関係が良くなってホッとしていたのもつかの間。
私はそのせいで時の人となってしまった。
フェルナン様と遊ぶために皇宮に行くと、必ずヒソヒソされる。
『あの方が狂犬と呼ばれる侯爵様の一人娘…』
『大賢人様にも侯爵様にも愛される姫君…』
『猛獣を飼いならす天使…』
この程度の噂なら前からされていたからまあ、仕方ないかと思える。
しかしそれがさらに加速した。
『皇帝陛下と皇后陛下の冷え切った仲を取り持った天使様…』
『第一皇子殿下の冷たい心を溶かした姫君…』
『皇室の一番のお気に入り…』
うーん。大げさ。
ただ、たしかにフェルナン様は私と仲良くなってから他の人への対応も優しくなったらしい。
それは良かったと思う。
でも。
「注目されすぎて疲れるよー」
「まあ今回の件に関して、皇帝陛下からも皇后陛下からもめちゃくちゃ感謝されてるからねぇ…」
「噂が飛び交うのも無理はない」
「うー」
「だが、アニエスが嫌だというなら黙らせるか?」
パパの言葉に首を振る。
「そこまでじゃない」
「ならいいが」
パパは相変わらず過保護だ。そこも好きだけど。
「さあ、有象無象に構ってないで第一皇子殿下のところに行こうか。そうすれば気にならないでしょ」
「うん」
「よっと」
アリス先生が私を抱っこする。
そしてフェルナン様の元へちょっとだけ早足で向かった。
ちなみにそれをみた皇宮で働く女の人たちは、キャーキャー言って私を羨ましがっていた。
わかる、アリス先生イケメンだもんね。
パパはそれを呆れた目で見ていて、アリス先生は慣れたものらしく微笑んでいただけだった。
「というわけなんです」
「人気者は大変だな?」
フェルナン様に先ほどの出来事を愚痴れば、フェルナン様はくすくす笑う。
「笑い事じゃないのにー」
「ごめんごめん。でも、困り顔も可愛いからつい」
そこまで言ってハッとしたように口を押さえるフェルナン様。
お顔が真っ赤で可愛いから、助け舟を出す。
「え?何か言いました?聞き取れなくて」
「あ、うん。いや、なんでもない」
本当は聞こえてたけど聞こえなかったふり。
ああ、フェルナン様は可愛いなぁ。
「でも、本当に困った時はオレに言いなよ?助けてあげるからさ」
「はい!頼りにしていますね!」
そう言って微笑めば再び真っ赤になるフェルナン様。
なんでそんなに真っ赤になるんだろうと首をかしげる私に、なんでもないといいつつ頬に手を当てるそぶりはめちゃくちゃ可愛くて皇后陛下もこんな感じで皇帝陛下にデレてるのかなぁと想像を膨らませた。
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