先生とパパに褒められた
「アニエス、今日の特訓の成果はどうだった?」
「また新しく一つ、魔法を完璧に使えるようになったよ!」
にっこりと笑って得意げにそう言えば、パパは私の頭を撫でた。
「さすがは俺の娘だ。覚えが早い」
「最初の頃は正直言ってどうなるかわからなかったけど、特訓を繰り返しているうちに段々と魔法の習得のスピードが速くなってね。魔法のセンスは普通だと思っていたけど、どうやら才能が眠っていただけみたい。この調子なら、魔力の量は少なくとも魔法の腕は最高になるよ」
アリス先生が少し興奮した様子でパパに言う。
「僕の愛弟子は天才だ!」
「最初の頃はどうなるかわからなかったが、アニエスが努力の天才で助かったな」
「えへへ。努力の天才なんて、最高の褒め言葉だよ」
パパとアリス先生にめちゃくちゃベタ褒めされて、によによしてしまう。
パパもアリス先生も大好き。
「アニエス、ところで一つ相談がある」
パパが緩んでいた頬を引き締めて私を見る。
ありゃ、なにかあったのかなと姿勢を正して聞いた。
「皇帝陛下が、またお前に会いたいらしい」
「へえ、いい度胸してるね」
アリス先生の空気がピリッとしたので、宥める。
「皇帝陛下にはもう謝ってもらったし、本当にもういいんだよ」
「アニエスは優しすぎる」
ピリピリしたアリス先生に、パパは言った。
「どうやら今回は、皇帝陛下のためだけの話じゃないらしい」
「…というと?」
「第一皇子殿下の相手を、アニエスに頼みたいらしい」
それを聞いてアリス先生の雰囲気が和らいだ。
「ああ、あの方の…うん、まあ悪くないんじゃない?多分アニエスも気にいると思うし」
「美少年なの?」
「ふはっ…んん、美少年だよ。ただちょっと素直じゃないから、アニエスと交流して少しでも矯正して欲しいんじゃないかな」
なるほど。
イケメンならオールオッケー!!!
「第一皇子殿下のお相手、いくらでもするよ!」
「うん、アニエスは自分に正直だね」
「そこがこの子の良いところだ」
パパもアリス先生も最早私の面食いには慣れたらしい。
ともかく、第一皇子殿下と出会えるのが楽しみになった。
周りが好みの美形や美女で固められて、最近は特に心がほくほくである。




