新しいお友達は顔の素晴らしく良い双子
「アニエス、新しいお友達を見つけてきたよ」
「本当に?アリス先生ありがとう!」
「どこの誰だ」
「オニクス辺境伯家の双子だよ」
「…たしかあそこのガキは」
しーっ、とパパの唇に自分の人差し指を当てるアリス先生。
首を傾げているとアリス先生は私に向き直ってにっこり笑う。
「顔は抜群にいい双子だから楽しみにしてね」
「わーい!」
「…まあ、いいか」
パパはなんだか諦めたような顔をしているけど、なんだろう。
そして迎えた、辺境伯家の双子との対面の日。
「お初にお目にかかる。ぼくはフレデリーク・クロード・オニクス。よろしくね」
イケメンな男の子に手を差し伸べられて、握手する。
「うん!私はアニエス・ベルト・アメティスト。よろしくね!」
フレデリークくんはとても顔が良い。
好き。
そして、男女の双子と聞いていたのにフレデリーク君そっくりの子に目を向ける。
二人とも短髪で同じ顔なのに、ドレスを着ているとイケメンというより可愛く見える不思議。
「あ、あ、えっと…おれ、アルヴィア・エリー・オニクス。よ、よろしくね…?」
こて、と首をかしげる可愛らしい女の子…今、おれって言った?
オレっ娘なのかな?
可愛い、好き。
「うん、仲良くしてね!」
にっこり笑うと、アルヴィアちゃんは「はうっ」と言って手で顔を覆ってしまった。
可愛いなぁ。
「あ、あ、そうだ。おれ、アニエスちゃんのためにお菓子作ってきたんだけど…いる?」
「え、いいの!?ありがとう!嬉しい!」
「う、うんっ!はいっ!」
「わあ!ラッピングも可愛い!」
「えへへ、ラッピングもおれがしたんだよ」
アルヴィアちゃんは手先も器用なんだなぁ。
「すごいね!ラッピング解いちゃうのもったいないなぁ…」
「まあまあ。弟がせっかく作ったんだ。食べてあげてくれ」
「…弟?」
きょとんとする。
まさか。
「…アルヴィアちゃんが弟で、フレデリークくんはお姉さん?」
「ふふ、そうだよ」
フレデリークくんは悪戯っぽく笑う。
「…」
「…」
「…やっぱり、気持ち悪い?」
アルヴィアちゃんは不安そうに聞いてくる。
フレデリークくんは見定めるように私を見る。
私は。
「す…」
「す?」
「すきー!!!」
アルヴィアちゃんとフレデリークくんに抱きついた。
「え?え?え?」
「可愛い上に属性てんこ盛りとか最高の双子だよー!!!控えめに言って好き!!!とっても大好き!!!」
「え、あ、う…」
アルヴィアちゃんは私に抱きつかれてしどろもどろ。
フレデリークくんは興奮する私を見て驚いた後、笑った。
「思ったより変わったお嬢さんだね」
「だって好きなんだもん!」
「ふふ、こんな子初めてだ」
にっこり笑うお顔はとても美しい。
将来は美人さんだな。
「あう…おれ、男の子だから!あんまり抱きついちゃうのはダメだよ…!」
「えー…」
「だ、ダメだって!」
「そんなぁ…」
しょんぼりして離れる。
アルヴィアちゃんは顔真っ赤。
ちゃんと男の子なんだなぁ。
「まあ、拒絶されなくてよかったじゃないか」
「うん…でもでも!可愛い女の子にぎゅってされたら照れちゃうよ!」
「おやおや。ごめんね、アニエス。弟が騒がしくて」
「可愛いから全然いいよ!」
「おれは良くないー!」
可愛い。
この双子、とにかく可愛い。




